-東欧地域-
第7節 東 欧 地 域
わが国と東欧諸国との関係は,経済関係を中心として発展を続けてきており,本年度においてはルーマニアおよびブルガリアとの間に通商航海条約が調印され,経済関係の拡大の基盤がいっそう強化された。
わが国は,東欧諸国とは政治体制を異にしているが,地理的に遠隔な関係にあることでもあり,政治面においてはとりわけ問題もない。従って,わが国とこれらの諸国との関係は,今後とも経済分野を軸として発展を続けることが予想される。
1969年における日本の対東欧(東独を含む)貿易は,輸出9,527万ドル, 輸入は11,747万ドルで,総額は2億1,318万ドルになり,前年同期に比し輸出は13%増加し,輸入も3%増加し,また総額では8%の増加をみたが,日本の貿易総額に占める割合は0.7%であった。
貿易額による順位では,第1位はポーランドで5,774万ドル,以下東独3,681万ドル,ルーマニア3,647万ドル・ユーゴースラヴィア2,631万ドル,チェッコスロヴァキア2,504万ドル,ブルガリア2,050万ドル,ハンガリー1,070万ドルの順となっている。
同年においても対東欧貿易が全体としてなお伸び悩みの傾向を示したのは,主として,輸出面ではルーマニア,ユーゴースラヴィアおよびブルガリア向け輸出の大宗であった船舶が,これらの各国の現行長期経済計画に基づく船舶需要に対する手当が一巡したことなどの結果,買付けが手控えられたこと,また輸入面では,その重要品目であった銑鉄および石油製品(ルーマニア)などが先方の内需増加などの影響で振わなかったためと見られる(ただし,ブルガリアのみ輸入は前年並み)。
ただし,その中にあって,ポーランドおよび東独との貿易はいずれも約20%増の伸長ぶりを示したが,その理由は,輸入面では,前者の場合コークス用炭の買付が前年同期に比し15.4%,また後者については銑鉄の買付が同じく37.3%それぞれ増加した一方,「化学繊維,合成繊維」などの化学工業品および機械を中心に輸出がそれぞれ2.5倍および2倍の増加を示したことによるものである。
なお,同年5月26日~27日,東京において日本・ポーランド経済混合委員会(第2回)会議が日本側有田外務省欧亜局長,ポーランド側ストルーシ外国貿易省第二局長を団長とする双方代表団の間で開催され,両国間貿易・経済関係増進につき意見の交換が行なわれた。
(1)日本・ルーマニア通商航海条約
日本・ルーマニア間通商航海条約締結のための交渉は,1969年4月14日から東京において日本側有田外務省欧亜局長,ルーマニア側ペトレスク外国貿易省第三局長を代表とする両国代表団の間で行なわれ,同月24日右交渉は妥結し,9月1日,愛知外務大臣と来日中のブルティカ・ルーマニア外国貿易大臣との間で同条約の署名が行なわれた。
両国は,この条約で出入国,身体および財産の保護,強制軍事服役からの免除,内国課税,経済活動,出訴権,関税,海運などの事項について最恵国待遇の相互供与に合意している。
ルーマニアはわが国にとり東欧諸国中主要貿易相手国の一つであり,この条約の締結は,両国間の貿易経済関係のよりいっそうの発展に大きく寄与するものと期待される。
(2)日本・ブルガリア通商航海条約
日本・ブルガリア間の通商航海条約締結のための交渉は,1969年11月10日から東京において日本側有田外務省欧亜局長,ブルガリア側ムラデノフ外国貿易省通商協定局長を代表とする両国代表団の間で行なわれ,同月22日右交渉は妥結し,1970年2月28日在ブルガリア山下大使とアヴラモフ・ブルガリア副首相兼外国貿易大臣との間で条約の署名が行なわれた。
この条約は日本・ルーマニア通商航海条約とほぼ同じ内容となっている。
わが国の対ブルガリア貿易は近年めざましい発展を遂げており,この条約が両国間の貿易経済関係のよりいっそうの発展のために持つ意義は大きいものと考えられる。