-大洋州地域-

 

第2節 大洋州地域

 

 

1.オーストラリアとの関係

(1)概  説

最近の日豪関係は,両国経済関係の急速な発展と,アジア・太平洋地域の先進国として両国が同地域の政治的安定と経済的繁栄に対し有する共通の利害関係とを背景に,緊密の度を深めている。日豪両国間の貿易経済関係は,わが国の経済発展に伴う鉄鉱石,石炭等の工業原材料に対する需要の拡大ならびに豪州における資源開発ブームに伴う輸入需要の拡大を反映して,引き続き順調な発展を遂げている。1969年のわが国の対豪輸出は,4億7,600万米ドル,対豪輸入は,12億4,300万米ドルに達しており,わが国は豪州の全輸出額の約4分の1を占める豪州最大の輸出相手国となっている。かかる貿易経済関係の急速な緊密化は,豪州政府の保護主義的関税政策,資源輸出に関するガイドライン政策等に由来する諸問題を生じつつも,両国友好関係の強固な基盤を形成している。

政治面においては,日豪両国は二国間関係の発展にいっそう努力する一方,アジア・太平洋地域の平和と安定に関する共通の利害関係を背景に,広く国連,ASPACなどの各種の国際場裡において引き続き密接な協調を図っている。また1969年6月には,ASPAC閣僚会議出席のため訪日したフリース外務大臣と愛知外務大臣との間に,閣僚レヴェルの協議が開催され,さらに同年10月には,キャンベラにおいて第3回日豪事務レヴェル協議が開催され,主としてヴィエトナム,中国問題を含む現下のアジア情勢につき卒直な意見の交換が行なわれている。

なお,1968年11月に署名が行なわれた日豪間の漁業に関する協定については,1969年7月25日に東京で批准書交換が行なわれ,同年8月24日より発効している。

(2)貿易通商関係

1969年のわが国の対豪輸出は4億7,600万米ドルで,対前年比14.3%の伸びを示した。これは豪州経済が資源開発ブームにより順調な拡大を続け,特に機械機器に対する需要が旺盛であったことによるものである。また,同年のわが国の対豪輸入は,鉄鉱石,石炭,小麦等の著しい輸入増大により,12億4,300万米ドルに達し,対前年比35%という飛躍的な伸びを示した。

豪州政府は国内産業保護のために,関税引き上げ,暫定措置の援用,反ダンピング税の賦課等を依然ひんぱんに行なっており,1969年においては鉄鋼(うす板)のnormalvalue改訂が行なわれたこと,従来ほとんど援用されていなかったsubstitutenotice制度が一部繊維品につき適用されたことなどが特に注目された。

この一年間は,両国経済関係の急速な緊密化にもかかわらず,両国間に経済関係の問題が比較的少なかった年であるといえる。ただし,1969年末より,豪州連邦政府がタスマニア州からの木材チップの対日輸出契約につき輸出価格が低すぎるとしてその承認を拒否し,わが方需要者側がこれに反発する声明を発表するという問題が発生しているほか,JAPEX(AUS)社のクィーンズランド沖での石油試掘計画が・グレート・バリア・リーフを汚染する可能性があるとする現地住民の反対運動により,延期を余儀なくされるという問題が発生している。

なお,ここ数年来の懸案であった日豪協力によるコンテナ海運輸送問題については,豪州国立海運会社(ANL)と川崎汽船の提けいが実現し,1969年9月より配船が行なわれている。

また1969年5月,東京において第7回日豪経済合同委員会が開催され,日豪両国の民間経済人の間で卒直な意見の交換が行なわれている。

 

2.ニュー・ジーランドとの関係

 

 ニュー・ジーランドはアジア諸国との関係を強化しつつあり,とくに「アジアにおける安定勢力」としてのわが国との関係は,近年ますます緊密化している。

 日本とニュー・ジーランドとの貿易も順調に増大した。すなわち,1969年のわが国のニュー・ジーランドに対する輸出は8,000万米ドル,輸入は1 億4,400万米ドルに達し,それぞれ対前年比17%および19%の伸びを示している。輸出の伸びは鉄鋼,機械機器,繊維品,化学品などの伸びによるもので,輸入の伸びは,羊毛,木材,羊肉などの伸びによるものである。

 ニュー・ジーランド政府は,近年,貿易面で過大な対英依存から脱せんとして,わが国との貿易拡大を目指しており,1969年6月にはモリアーティ商工次官が,また同年10月にはマーシャル副首相がそれぞれ来日し,わが国政府関係者と両国間貿易拡大の可能性につき意見の交換を行なっている。

 政治面においては,ニュー・ジーランドとわが国とは,共にアジア・太平洋地域の先進自由主義国家として,広く国連,ASPAC等の場で引き続き密接な協力を行なっている。特に二国間の分野では,1969年10月,ウェリントンにおいて第3回日本・ニュー・ジーランド事務レヴェル協議が開催され,両国が共通の関心を有する各種の国際問題につき卒直な意見交換を行なった。

太洋州地域要人来往訪一覧表

 

 

目次へ