-国際的な各種交流のいっそうの促進-

 

第6節 国際的な各種交流のいっそうの促進

 

 近年わが国の経済規模は,世界第3位となったが,この規模は,今後10年間にさらに約3倍の伸長を見るものと考えられる。しかしながら,かかる経済発展を実現するためには,一面において,所要の市場,資源,技術等の確保のため国際的な交流をいっそう促進することが必要であり,他面,わが国の商品,資本の急速な海外進出に伴って,各種の摩擦が発生しないよう配慮 する必要がある。

 このためには,わが国経済が今日あるをえたのは自由貿易を基調とする世界経済の開放的体制に負うところが少くないこと,国際的交流は相互稗益の原則に基づいてこそ永続するものであること,およびわが国の国力増大に伴いわが国が経済,社会,科学技術面で国際社会に果すべき責務が飛躍的に増大しつつあることを認識し,この認識に応じた内外政策を実施して行くことが要請されるであろう。

 従って,政府は,今後各種輸入制限の軽減ないし撤廃の促進,資本取引のいっそうの自由化等に努め,経済の開放体制の完成を急ぐことはもち論,世界貿易の円滑な発展の基礎をなす安定した国際通貨体制の維持についても,近年の国際収支の黒字基調,外貨準備の増加等を背景に,わが国の役割に対する期待と要請が高まっていることにかんがみ,所要の施策によって国際金融の均衡維持のため貢献すべく努力する方針である。

 さらに,科学技術面での国際交流と協力は,わが国の発展にとっても不可欠のものであるので,今後政府としては,海洋開発,宇宙開発,原子力平和利用等の重要分野はもち論,ひろく各種の産業技術の交流促進のための国際的協力に積極的に参加する方針である。また,環境安全問題,都市問題,教育問題等を含みひろく現代社会の諸問題と呼ばれる分野においても,国際的な対策の樹立,あるいは問題解決のための方策についての国際的な情報の交換が緊急の必要事となっているので,急速な経済,社会の変革に伴い発生しているこの種問題に現にとり組みつつあるわが国としては,国際協力に積極的に参加し,わが国の努力の成果を人類の福祉のために供するよう努力しなければならない。

 

 

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