第4節 南 北 問 題
南北問題は今後人類が取組むべき最大の課題の一つである。発展途上国の経済開発が進み,これら諸国が政治的,社会的に安定を達することは,世界平和のために望ましいばかりでなく,わが国自身の要請とも合致する。南北間の格差は依然として縮小していないが,またわが国の経済力の増大を背景に,発展途上国からはもとより,先進諸国からも南北問題解決のため,わが国の果たしうる役割について,ますます期待がよせられている。国連においても70年代を「第2次国連発展の10年」として積極的に,南北問題に取り組む姿勢をとり,本年秋の国連総会で,70年代の発展戦略を採択すべく目下検討が進められている。わが国としても,援助量のいっそうの増大と援助条件の緩和,技術協力の拡充,民間投資の促進等と共に発展途上国との片貿易の是正,開発輸入の促進,特恵関税の供与などを積極的に配慮する考えである。なお,わが国の援助の重点はアジア地域にあり,この方針には変りないが,わが国経済力の向上に伴い,今後は世界的視野に立ち,事宜に応じ,中近東,アフ リカないし中南米等の地域に対する援助をも拡充していく方針である。