-基本的指針-
第2節 基 本 的 指 針
いつの時代においても,一国の対外政策の第一の課題は,国とその国民の安全の確保であり,それを達成するためには,抑止力および万一の場合に備えての防衛,外国との善隣友好外交,国内の民生の安定,更に進んで国際的な民生安定と秩序作りを含む総合的な施策が必要であり,そのどの一つにしても,ないがしろにして目的を達成することは不可能である。
防衛問題については,わが国の自衛力の整備を図り,その足らざるところを日米安全保障条約によって補完するのが政府の方針である。これと並行して優るとも劣らない重要な外交上の課題は,国際緊張の緩和と平和のための秩序の形成という目標に向かってとみに重きを加えている国際的責任を積極的に果たすことである。それはまた貿易立国たるわが国が,民主主義と自由という体制の下で平和と繁栄を続けるためには当然とるべき指針である。具体的には各国との友好関係と相互理解のいっそうの増進,南北問題の解決への貢献,国連の強化と軍縮のための努力,そして国際的な各種交流のいっそうの促進が,わが国外交の進むべき方向となろう。