-米 中 関 係-

 

第4節 米 中 関 係

 

 

1.米中関係の意義

 

 これまでのところ米中関係は,米中ソの三国の関係の中で最も実体が少ないものであるが,それにもかかわらずソ連が米中接近に異常な関心を示していることは三国間関係に占める米中関係の潜在的な重要性を示すものといえよう。中共が米国との接触を単に米,中二国家関係の調整という目的からだけでなく米中ソ三国の鼎立関係の中でのパワー・ポリティックス的な立場から進めているか否かは未だ不明であるが,強いイデオロギー的拘束にもかかわらず中共がその方向を示し始めたところに,今日の国際政治における米中関係の重要性がある。

 

2.米国の態度

 

 ニクソン政権となり米国の中共政策は活発化の傾向にある。米国は実務面での中共との関係改善の姿勢をうち出し,69年7月ニクソン大統領のアジア訪問直前に対中共渡航制限緩和措置などを発表し,12月には対中共貿易緩和措置を発表する一方,ロジャーズ国務長官は,中共との会談再開のためのアプローチをする用意があるとの立場を再三にわたって表明した。

 

3.中共の態度

 

 中共は現在,米国よりもソ連の方に安全保障上の強い脅威を感じているものと考えられる。従って米帝はソ修とならび中共の最大の敵であるとする中共の基本的態度は不変であるものの,中共は一方ではソ連を牽制するその効果を期待しつつ,他方では米国との交渉により台湾問題の解決の可能性を探究するとの見地から米国への接近を考えているものとみられる。

 

4.米中会談の再開

 

 中共との緊張緩和のための,このような姿勢,諸措置を背景として米国は69年12月3日,ワルシャワにおいて中共側に68年1月以来開催されていない米中会談の再開(69年2月20日に予定されていた第135回会談は中共の駐オランダ代理大使の米国亡命事件を口実に中共側が無期延期した),にいつでも応じる用意がある旨の米国の意向を伝えた。結局70年1月20日,米中会談が再開されるにいたったが,会場はポーランド政府提供の会場ではなく,ワルシャワの米中両国の大使館で交互に行なわれることになった。さらに1ケ月後の2月20日,第136回米中会談が開催された。

 

 

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