大洋州諸国と日本
日豪両国間の貿易額は近年飛躍的増大を示しており、一九六七年には往復一一・五億ドルに達し、現在、オーストラリアはわが国にとって米国に次いで最も重要な貿易相手国となっている。一方、わが国は一九六六年以来オーストラリアにとって最大の輸出相手国となっている。
わが国のオーストラリアからの輸入は、羊毛、石炭、鉄鉱石、小麦、砂糖、肉類など、わが国にとって不可欠の工業用原料および食糧品が中心であるが、一九六七年には西オーストラリアからの鉄鉱石買付の本格化、食糧品、石炭等の買付増加等により、七億九、〇〇〇万ドルと前年比一六・六%の伸びを示した。
わが国のオーストラリアへの輸出は、鉄鋼、自動車、化学品、繊維品等であるが、一九六七年には繊維品、化学品および自動車の伸び、前年大幅な減少をみた鉄鋼の伸び等により、前年比二〇・五%も増加し三億六、〇〇〇万ドルに達した。
オーストラリアは、自国産業の保護を目的として、暫定関税賦課、基本関税の引上げ、ダンピング税賦課等の関税上の保護措置を頻繁に行なっており、これがわが国の輸出に及ぼす影響も少なくない。わが国としてはこれら豪側の保護措置については、それがわが国の輸出を不当に抑制することのないよう、そのつど申し入れるとともに、機会あるごとに、オーストラリアの関税政策がわが国の輸出に与えるべき影響につき充分考慮を払うよう要請している。
オーストラリア政府は、近年海運問題につき積極的な動きを示しており、一九六七年九月には、自国荷主の保護のため、海運同盟活動の規制を目的とする独占禁止法海運条項を施行したほか、一九六七年一一月にはフリース運輸大臣およびウイリアムズANL会長が来日して、日豪合弁コンテナ海運会社設立計画につき、日本側関係者と意見の調整を行なった。これらの問題については、日豪両国の政府間および民間の接触を通じて、利害関係の調整および協力関係の樹立をはかるべく努力が重ねられている。
日豪間の政府および民間レベルでの人的交流はさらに頻繁に行なわれるようになった。特に一九六七年一〇月には佐藤総理が訪豪し、ホルト首相を始めとするオーストラリア政府首脳と会談を行なった結果、日豪租税協定交渉が開始されたことは、日豪経済関係の一層の発展のための大きな成果であった。また一九六八年二月にはマッキュアン副首相兼貿易産業大臣、シンクレア社会事業大臣、ウェスタマン貿易産業省次官、カーモディ関税総監が来日して、日豪経済関係につき、わが国政府首脳と意見を交換した。民間においても、一九六七年四月には東京において第五回日豪経済合同委員会が開催され、両国経済人間の交流が推進された。また同委員会を契機に米国、ニュー・ジーランド、オーストラリア、日本の民間経済人により構成される太平洋経済委員会の設立が正式に決議されるに至ったことが注目される。
わが国のニュー・ジーランドとの貿易額は、一九六七年に往復一億七、六〇〇万ドルとなっている。わが国のニュー・ジーランドからの輸入は、羊毛、酪農品、木材等が中心であるが、一九六七年には、ニュー・ジーランド羊毛の価格が大幅に下落したため、酪農品、木材、羊肉等の伸びにもかかわらず、全体としては対前年比一・三%の減少を示し、一億一、二〇〇万ドルに留まった。一方わが国の対ニュー・ジーランド輸出は、繊維品、機械類、鉄鋼等を中心としているが、一九六七年には、ニュー・ジーランドが国際収支難からライセンス枠をさらに削減したにもかかわらず、機械、金属製品、合成繊維、化学品等の輸入が増大したため、六、四〇〇万ドルと対前年比八・七%の増加を示した。
なお、ニュー・ジーランドは一九六七年一一月、イギリスのポンド切下げを契機に、一九・四五%の平価切下げを行なっている。
わが国の対ニュ・ージーランド輸出にあたっては、輸入ライセンス制、英連邦特恵関税等が問題となっているが、他方、ニュー・ジーランド側はわが国が同国の農産品の買付を増大するよう要求している。一九六七年一〇月佐藤総理がニュー・ジーランドを訪問した際に、これらの問題を含め、両国経済関係の諸問題につき、事務レベルでの意見交換が行なわれた。