中近東アフリカ地域

 

1 モーリシアスの独立による同国承認と特派大使の派遣

英国直轄植民地であったモーリシアス島は、一九六八年三月一二日「モーリシアス」の国名のもとに独立した。

モーリシアスの独立式典は、三月一〇日から一三日まで首都ポートルイスにおいて挙行され、福田篤泰衆議院議員が特派大使として右式典に参列した。また、政府は、同特派大使を通じ、三月一二日付三木外務大臣発ラングーラム首相あて書簡をもって、同国を承認する旨通告した。

目次へ

2 ザンビアとの租税条約締結交渉

かねてザンビア政府より租税条約の締結交渉開始方申入れがなされていたところ、わが方としても、ザンビアが日本からの企業進出を強く希望しており、この際ザンビアに対する投資環境の整備を計っておくことが望ましいとの見地から、この申入れに応ずることとし、一九六七年九月ナイロビ(ケニア)において交渉を行なった。交渉は順調に進捗し、同年九月二九日本条約本文に仮署名が行なわれた。

目次へ

3 東アフリカ三国との航空協定締結交渉

東アフリカ三国(ケニア、ウガンダ、タンザニア)は、三国の共有する東アフリカ航空の日本乗入れにつきわが方と予備的話合いを行なうために、一九六六年三月代表四名を訪日せしめたが、その後協定締結のための正式交渉開始方を提案して来た。わが方としても、航空市場としてのアフリカの重要性ならびに将来の日本航空のアフリカ路線開設の可能性にかんがみ、右提案をいれて、一九六七年七月東京において交渉を行なった。その結果、大幅な合意に達したが、なお若干最終的な詰めが残っている。

目次へ

4 日本漁船のだ捕

一九六八年二月九日、モーリタニア沖(モーリタニアの主張する領海内)で操業中の中央漁業公社所属第一海幸丸は、モーリタニア政府の沿岸警備艇により、領海侵犯のかどでだ捕され、ポール・エチエンヌ港に連行された。在セネガル大使館は同船舶および船員の釈放のため、三回にわたり館員を現地に派遣してモーリタニア政府と折衝を行ない、同船舶および抑留船員は三月七日釈放された。釈放に際し、船主側はモーリタニア政府に二、〇〇〇万CFAフラン(邦貨二、八八〇万円余)を支払ったほか、没収された漁具の買戻しに二五〇万CFAフラン(邦貨三六〇万円余)を支払った。

目次へ

5 リベリア共和国大統領就任式典に対する特派大使の派遣

リベリアは、一九六七年一二月三一日より一九六八年一月三日まで、首府モンロヴィアにおいてタブマン同国大統領の第六期就任式典を挙行することとし、わが国に対しても同式典に代表派遣方の招請があった。よって、わが国は、同国との伝統的友好関係にかんがみ、田中栄一衆議院議員を特派大使として派遣することとし、同議員は、右期間中リベリアにおいて各種行事に参列した。

目次へ

6 駐日コンゴー(キンシャサ)大使館の開設

コンゴー民主共和国は、一九六七年七月一日付で同国の駐日大使館の開設とフランソワ・ジョゼ・ミサノ臨時代理大使の着任を正式に通報してきた。

目次へ

7 在大阪ガーナ総領事館の閉鎖

ガーナ政府は、一九六八年二月九日付口上書をもって、在大阪ガーナ総領事館を、やむをえざる財政上の理由により閉鎖する旨通報してきた。なお、同総領事館は一九六六年一一月一日付で開設されたものである。

目次へ

8 要 人 の 来 日

(1) レバノン航空協定使節団

シアヴァルシ・トリギアン公共事業・運輸省運輸総局長官を長とするレバノン航空協定使節団は、わが国とレバノン共和国との間の航空協定締結交渉を行なうため一九六七年五月二五日より六月二日まで来日し、六月二日外務省において、牛場外務事務次官・トリギアン運輸総局長官の間で協定の署名が行なわれた。

目次へ

(2) サウディ・アラビア交通大臣

サウディ・アラビアのムハンマド・オマル・タウフィーク交通大臣は一九六七年一〇月一八日来日し、同月二六日佐藤総理大臣を表敬訪問し、ファイサル国王の佐藤総理大臣あて親書を手交の上、国王の意を体し、わが方に対し、アラブ、イスラエル紛争に関するアラブ側の立場を支持方要請するとともに、同年六月の同国王より総理あて親書で要請のあったジェルサレム聖地についての支持を重ねて強く要請した。

目次へ

(3) イスラエル国会副議長

イツハック・ナヴォン・イスラエル国会副議長は一九六七年六月一九日から二一日まで来日し、この間六月二〇日三木外務大臣と会談した。同副議長はエシュコル・イスラエル首相の特使として、同首相の佐藤総理大臣あて親書を携行し、中東戦争後の

平和問題に対するイスラエルの立場を説明するため訪日したものである。

目次へ

(4) ヘブライ大学総長

エリアフ・エラット・ヘブライ大学総長(元在米、在英大使)は一九六七年九月三〇日から一〇月七日まで来日し、一〇月三日牛場外務事務次官と会見した。同総長は政府の特使として大使の称号を与えられ、中東問題に対するイスラエルの立場を説明するため訪日したものである。

目次へ

(5) トルコ国務大臣

ヒュサメッティン・アタベイリ・トルコ国務大臣(宗教担当)は、故吉田元総理の国葬儀に参列のため、一九六七年一〇月二九日から一一月三日まで来日した。

目次へ

(6) イスラエル外務次官補

アルトゥール・ルーリー・イスラエル外務次官補は一九六八年三月二〇日より二四日まで来日し、三月二一日近藤外務審議官と会見した。

目次へ

(7) アフリカ諸国の要人および主な使節団

一九六七年四月 マダガスカルのルシャ設備運輸通信大臣ほか五名

 五月 ザンビア貿易使節団(チンバ商工貿易次官ほか八名)

    セネガルのティアム外務大臣ほか一名

    コンゴー(キンシャサ)のツンバ商工会議所会頭

    タンザニアのビロン最高裁判事ほか一名

 七月 東アフリカ航空協定交渉団(東アフリカ共同役務機構運輸閣僚委員会ムエンドワ議長ほか六名)

 八月 マラウィのチンボ大蔵大臣ほか二名

    エティオピア貿易協定交渉団(アベベ・レッタ商工大臣ほか三名)

 九月 ナイジェリアのサレム警察庁長官ほか一名

一〇月 中央アフリカのバンギ市カロー警視総監

    ダホメのザンスー外務大臣ほか一名

    ケニアのニヤムウエヤ外務大臣ほか一名

一一月 タンザニアのカラーゲ大統領府次官ほか一名

    タンザニアのボマニ経済開発大臣ほか三名

    ウガンダのカジム・ラッカ国会議員ほか一名

一九六八年一月 コンゴー(キンシャサ)のカルメ国際協力局長

    ナイジェリアのアラナムN・P・M・C(ナイジェリア一次産品輸出公社)支配人ほか一名

 二月 コンゴー(キンシャサ)のルテテ外務貿易次官ほか四名

 三月 シエラ・レオーネのビクター・ジョージ商工農業次官

    ガボンのカッサ・マプシ経済大臣ほか一名

目次へ