東 欧 地 域

 

1 北方領土問題

一九六七年七月訪ソした三木外務大臣は、コスイギン首相と会談した際、北方領土問題に言及したのに対し、同首相は平和条約に至らざる形においてのなんらかの「中間的文書」の作成検討方を提案した。わが方は右提案を受け、この際領土問題をも含むあらゆる日ソ両国間の懸案を再検討するとの立場より、六七年末よりモスクワにおいてソ連側と交渉を開始している。右交渉においてわが方は、国後・択捉両島は歯舞群島・色丹島とともに日本固有の領土であり当然日本に返還さるべきものであるとの従来よりの一貫した立場を堅持している。

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2 日ソ領事約条と領事館設置問題

(1) 日ソ領事条約の発効

一九六六年七月二九日東京において椎名外務大臣と訪日中のグロムイコ外務大臣との間で署名された日ソ領事条約は、一九六七年三月二九日第五五国会に提出され、五月二五日衆議院本会議において、六月一四日参議院本会議において各々可決された。同条約は七月二一日の閣議において批准が決定され、同月二四日モスクワにおいて、訪ソ中の三木外務大臣とグロムイコ外務大臣との間に同条約の批准書の交換が行なわれた。かくして同条約は同条約の規定により、批准書交換の日から三〇日目にあたる八月二三日に発効した。

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(2) 領事館設置問題

領事館の相互設置に関する日ソ両国間の交渉は、一九六六年一〇月三一日よりモスクワにおいて開始されていたが、一九六七年五月一九日右交渉は妥結し、ソ連側との間に往復書簡を交換した。右書簡により、わが方はナホトカ市に、ソ連側は札幌市に各々総領事館を設置し、その管轄区域は各々ナホトカ市、札幌市とすることが合意された。右合意に基づき、わが方は同年七月九日に在ナホトカ日本国総領事館を開設し、ソ連は同年一〇月九日札幌市に在札幌ソヴィエト連邦社会主義共和国連邦総領事館を開設した。

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3 要 人 の 往 来

(1) 三木外務大臣のソ連訪問

三木外務大臣は、夫人とともに、第一回日ソ定期協議を行なうため、ソ連政府の招待により一九六七年七月二〇日訪ソし、同二五日まで滞在した。その間、同大臣はコスイギン首相、バイバコフ副首相、グロムイコ外務大臣、及びクズネツォフ外務第一次官とそれぞれ会談したほか、さらにレニングラード市への視察旅行を行なった。

以上の会談においては、日ソ両国関係の諸問題、および両国がその解決に関心を有する国際的諸問題について意見の交換が行なわれた。更に、三木外務大臣は、グロムイコ外務大臣との間に日ソ領事条約の批准書を交換し、イシコフ漁業大臣と日ソ漁業技術協力協定に署名し、またバカーエフ海洋船舶大臣との間に日ソ海難救助協定の補足に関する書簡を交換したほか、モスクワの科学アカデミーにおいて講演を行なった。

三木外務大臣のソ連訪問については、日ソ両国の共同コミュニケ(資料編参照)が発表された。

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(2) ソ連のバイバコフ副首相の来日

バイバコフ・ソ連副首相兼連邦国家計画委員会議長は、夫人とともに、日本政府の招待により一九六八年一月一六日来日し、二月一日まで滞在した。その間同副首相は佐藤総理大臣、および三木外務大臣とそれぞれ会談し、両国がその解決に関心を有する国際的諸問題、及び日ソ経済協力問題を含む日ソ両国間の諸問題について意見の交換を行なったほか、水田大蔵大臣、椎名通産大臣、及び宮沢経済企画庁長官とそれぞれ会談した。

更に同副首相は関西への視察旅行を行ない、滞日中を通じて各種の工業を視察し、わが国の財界首脳と会談した。

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(3) 川島特使の訪ソ

川島衆議院議員は佐藤総理の特使として一九六七年五月一八日より同二四日まで訪ソし、この間コスイギン首相、ミコヤン連邦最高会議幹部会員等と会談した。

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(4) ソ連のスピリドノフ連邦最高会議連邦会議議長の来日

スピリドノフ連邦最高会議連邦会議議長は、夫人とともに、衆参両院議長の招待により一九六七年七月四日より同一三日まで来日し、この間佐藤総理大臣、三木外務大臣等と会談した。

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(5) 三木外務大臣の東欧三国訪問

三木外務大臣は、夫人とともに、一九六七年七月二五日から同二七日までポーランド、同七月二七日から二九日までチェッコスロヴァキア、同七月二九日から三一日までハンガリーをそれぞれ公式訪問した(詳しくは資料編の共同コミュニケ-チェコについては新聞発表-参照)。

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(6) ルーマニアのマネスク外務大臣の訪日

コルネリウ・マネスク・ルーマニア社会主義共和国外務大臣は、夫人とともに、日本政府の招待により一九六七年五月三一日より同六月七日まで日本を公式訪問した(詳しくは資料編の共同コミュニケ参照)。

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