二 国際連合における活動とその他の国際協力

 

 

国際連合第五回特別総会

 

1 概   観

国連第五回特別総会は、一九六七年五月二一日開催され、南西アフリカ問題、平和維持活動問題、宇宙空間の開発および平和利用に関する国際会議の延期問題を審議し、六月一三日閉会した。

今回の特別総会は、前年の第二一回通常総会における南西アフリカ問題および平和維持活動に関する各決議(「わが外交の近況」第十一号六一頁および六六頁参照)において、これら二つの問題を審議するため、その開催が決定されたものであり、また、宇宙空間の開発および平和利用に関する国際会議の延期問題は、宇宙空間平和利用特別委員会の勧告にもとづいて、事務総長の要請により、第五回特別総会において審議されることとなったものである。

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2 南西アフリカ問題

(1) 一九六六年の第二一回国連総会において、南西アフリカに対する南アフリカ共和国の委任統治権が終了し、南西アフリカは国連の直接の責任の下に入ることを決定するとともに、特別委員会を設置し、同地域の施政を行なうための措置を検討せしめ、その結果を第五回特別総会に報告せしめるとの趣旨の画期的な決議(二一四五)が採択された(第十一号六一頁参照)。

(2) この特別委員会は、エティオピア、ナイジェリア、セネガル、アラブ連合、パキスタン、日本、メキシコ、チリ、イタリア、カナダ、米国、フィンランド、ソ連、チェッコの一四カ国から構成され、一九六七年一月一七日より約二カ月にわたって審議を重ねたが、結論を出すに至らず、第五回特別総会に対する委員会の報告において、(一)南西アフリカ理事会およびコミッショナーを設置して、同地域の暫定的直接統治を行なわしめ、一九六八年六月までに独立を達成せしめることとし、南ア政府がこの措置に同意しない場合は、安全保障理事会が、憲章第七章の強制措置を南アに対して発動するとのエティオピア、ナイジェリア、セネガル、アラブ連合よりのアフリカ案(パキスタン支持)(二)アフリカ案とは同趣旨であるが、南西アフリカ理事会の直接統治を予定しながらも、その前提として、南西アフリカ理事会は、南ア政府に対し、南西アフリカの施政権の期限付移譲要求を行ない、南アが同意せざる場合は、その結果を第二二回国連総会に報告するものとし、必ずしも、安全保障理事会の対南アフリカ強制措置によって強行せんとの趣旨ではないメキシコ、チリーよりのラテン・アメリカ案(日本支持)(三)事務総長の特別代表を任命し、南西アフリカ独立のための諸条件を検討し、その結果を第二二回国連総会に報告せしめるとするイタリア、米国、カナダの西欧案の三決議案が並記されるにとどまった。

(3) 第五回特別総会における南西アフリカ問題審議は、四月二四日より五月一九日にかけて右の南西アフリカ特別委員会の報告にもとづき行なわれた。

四月二六日、アジア、アフリカ四九カ国より委員会報告中のアフリカ案と同趣旨の決議案が提出されたが、その後アジア・アフリカ・グループとラテン・アメリカ・グループ間で協議が進められた結果、五月一八日、実質的には特別委員会報告中のラテン・アメリカ案の趣旨を内容とする決議案が、アジア、アフリカ、ラテン・アメリカ六八カ国共同決議案(わが国は共同提案に参加しなかった)として提出された。

この決議案は、五月一九日、表決に付され、賛成八五(わが国を含む)、反対二(南ア、ポルトガル)、棄権三〇(オーストラリア、ベルギー、ボツワナ、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、アイスランド、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、マラウイ、マルタ、オランダ、ニュー・ジーランド、ノールウェー、スウェーデン、英国、米国、キューバ、モンゴルを含む三〇カ国)をもって採択された(決議二二四八)。

(4) わが国松井代表は、五月四日の一般討論において発言し、(一)南西アフリカ特別委員会が結論を見るに至らなかったことは、残念であるが、このことは本問題の困難性を示すものである。(二)国連の今後の行動は決議二一四五を基礎とするものでなければならない。(三)最初のかつ最も重要な措置は原住民の民意の確認である。(四)平和的方法によって解決を図ることが肝要である。(五)従って、同地域の現実の施政担当者との接触が必要である、等の諸点を強調した。

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3 平和維持活動

第五回特別総会における平和維持活動問題の審議は、六六年の国連総会の決議(第十一号六六頁参照)に基づいて行なわれたものであるが、六七年再開された平和維持活動特別委員会においては、国連財政救済のための自発的拠金問題、将来の平和維持活動の経費支弁方式問題、国連の平和維持活動への参加のための要員、役務等の各加盟国における準備の問題等をめぐり、引き続き加盟国間の意見が鋭く対立した。そして同委員会は五月一六日に総会に対する委員会報告を採択し、その中で総会に対し、(1)国連の全加盟国、特に先進国に対し、自発的拠金を行なうよう訴え、(2)平和維持活動特別委員会に対し、審議を継続して、平和維持活動の経費の支弁問題、平和維持活動への参加のための準備の問題に関する諸提案を再検討し、次回総会に報告書を提出することを要請する趣旨の決議を採択するよう勧告した。

総会本会議は五月二三日、平和維持活動特別委員会が勧告した右決議を賛成九〇、反対一、棄権一一をもって採択して、特別総会における平和維持活動問題の審議を終了した。

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