対カナダ移住の現況
カナダ政府は、一九六二年、移住法施行規則を改正し、カナダの経済開発に必要な人材を、技能及び教育を基準として、広く世界各国から受入れる政策をとるに至ったが、わが国については、六六年度から、本格的に高度技能者を中心とする移住者の受入が行なわれることとなった。
一九六六年六月にカナダ政府は東京にカナダ大使館査証部を開設し、移住担当官を置いて、カナダ移住の説明、移住申込みの受付け、選考、査証の付与等カナダ移住に関する事務を開始した。
同年九月には、カナダ移住省のマルシャン移住大臣一行が外務省の招待により約一週間にわたって訪日した。訪日の主目的はカナダ大使館査証部の開所式に出席すること及び日・カ両国の友好親善関係を深めることであったが、椎名外務大臣との会見に際しては、対カナダ移住を日・カ協力の下に進めることについて意見の交換が行なわれた。
その後、六六年一〇月には、カナダの首都オタワにおいて、第四回日・カ閣僚会議が開かれ、その共同声明の中で、日・カ両国が協力してカナダ移住を推進することが確認された。
以上を通じ、本年は移住に関する日・カ両国の協調態勢が強化された。カナダ移住者の選考は東京のカナダ大使館査証部で行なわれているが、日本側も海外移住事業団により、カナダ移住の啓発、移住希望者の申込受付等を行なっている。このような日・カ双方の協調的努力の結果、移住者の数は昨年に比べ著しい増加を示した。
一九六六年一月から一二月までに東京において移住査証を付与された日本人は四〇七名であり、移住先を地域別にみると、トロントを中心とするオンタリオ州が一五四名で、ヴァンクーヴァーを中心とするブリティッシュ・コロンビア州が一五〇名である。