貿易、経済関係の使節団及び要人の交流

1 政府派遣貿易経済使節団の海外訪問

(1) 第二次訪ソ経済使節団

政府は、一九六六年九月五日から二五日まで新井友蔵同和鉱業社長を団長とする第二次訪ソ経済使節団を派遣して、極東・シベリア開発に関係のある現地(東シベリアのウドカン銅鉱山を含む)視察を行なうとともに、バイバコフ・ソ連副首相兼国家計画委員会議長等ソ連政府要人とシベリア開発協力問題に関し話合いを行なわしめた。

(2) 欧州農業調査団の派遣

政府は、一九六六年一〇月一日から一一月一日までの三二日間にわたり、東畑四郎農政調査委員会事務局長を団長、小倉武一農林水産技術会議会長を副団長とする「欧州農業調査団」一行八名をEEC加盟諸国ならびにEFTA加盟主要国に派遣した。

一行は、デンマーク、ベルギー、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、スイス、イタリアの諸国を歴訪し、各国の政府関係当局、EEC事務局その他関係方面から説明を聴取すると共に関連事項の現地視察を行ない、EEC共通農業政策の動向及び前記諸国の農業施策の実態等をつぶさに調査して、今後のわが国の農業の在り方に資する充分な成果をあげて帰国した。

(3) アラビア半島市場調査団の派遣

山本良雄伊藤忠商事(株)常務取締役を団長とする第二次アラビア半島市場調査団(団員七名)は一九六六年一一月一日より一二月一〇日まで四〇日間にわたりアラビア半島地域(クウェイト、サウディ・アラビア、バハレーン、カタル、トルシャル・ステイツ、アデン、イエメン、アラブ連合)、を訪問し、これら地域の開発計画、金融事情、貿易制度の調査を行なうとともに各国政府高官および業界代表と会談した。

(4) 中米・カリブ海経済調査団の派遣

三菱商事江森盛久氏を団長とし一一名からなる外務省派遣中米・カリブ海経済調査団は、二月下旬から一カ月、メキシコ、エル・サルヴァドル、グァテマラ、ドミニカ共和国、ジャマイカ、プェルト・リコを歴訪し、経済情勢及び経済開発計画の把握片貿易問題の実態分析、輸出振興策の研究に従事した。

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2 海外からの貿易経済関係要人の来日

(1) カナダ・アルバータ州マニング首相一行

カナダ・アルバータ州マニング首相夫妻は政府の招待により閣僚一名及びその他の随員を同伴し、一九六六年五月一八日わが国を訪問し、五月二八日まで滞在した。

同首相一行は本邦滞在中、総理をはじめとする政府首脳、財界人と会談し、本邦産業施設を視察した。この結果同州との間で日加合弁企業をはじめとする経済交流が一層活発化した。

(2) 米国オハイオ州貿易使節団

米国オハイオ州ローズ知事を団長とする同州貿易使節団一行六七名は、一九六七年三月三日来日、八日間にわたり滞在し、東京及び関西財界人と懇談、各地を視察した。

(3) サリンガー・オーストリア産業院総裁一行

オーストリア政財界の有力者である同国産業院ルドルフ・サリンガー総裁一行五名は、外務省賓客として、一九六六年九月二三日から二五日まで、わが国を訪問した。同総裁は三木通商産業大臣及び下田外務事務次官と会見、牛場外務審議官と日本とオーストリアとの貿易に関して意見の交換を行なったほか、トランジスター・ラジオ工場を視察した。

(4) フランス上院議員団一行

オーギュスト・パントン氏を団長とするフランス上院経済企画委員会一行八名(うち秘書一名)は、一九六六年九月一八日来日し、重宗参議院議長を表敬訪問し、運輸、建設、農林の各省及び国鉄関係者と会談したほか、主として交通運輸関係を視察し、一〇月三日離日した。

また、グスターブ・アルリック氏を団長とする同院財務委員会一行五名(うち秘書一名)は、わが国の経済成長の財政金融面及び輸出政策に関し調査するため一九六七年三月一八日から二八日まで滞日し、その間、重宗参議院議長、田中外務政務次官を訪問、経済企画、大蔵、通産の各省及び日銀、経団連その他業界代表者と会談を行ない、造船、時計等の工場を視察した。

(5) イタリア経済使節団

イタリア下院議員アルフレド・パルダーニ・グエッラ氏を団長とし、民間業者を主体とする一行二七名のイタリア経済使節団は、特にイタリアの対日輸出関心品目に関する調査のため、一九六七年一月二八日から二月九日まで滞日した。一行は、参議院事務総長、外務、通産両事務次官、その他関係者を表敬したほか、各業種別グループに分れて東京及び大阪の工場等を視察し、日本側関係業界代表と意見の交換を行なった。

(6) メキシコ商工大臣

メキシコ商工大臣オクタビオ・カンポス・サラス氏夫妻は、外務省賓客として一九六六年四月九日来日、椎名外務大臣、三木通商産業大臣等と会談し、同一九日離日した。

また、同大臣の訪日に際し、日本とメキシコ両国の経済界の要人が四月一一日および一二日の両日会合して第二回日墨経済協議会を開き、両国間の貿易拡大、経済技術協力関係の緊密化等に関し活発に意見の交換を行なった。

(7) ガイアナ経済開発大臣

一九六六年五月二六日独立した南米ガイアナの経済開発大臣J・H・トーマス氏ほか二名が同年七月二日から八日まで訪問し、経済企画庁中野事務次官、外務省西山経済協力局長、鶴見経済局次長等と会談、新独立国ガイアナに対するわが国の経済援助を要請したほか、同国開発のための機材買付検討のため業界ともかなりの接触を行なった。

(8) ジャマイカ商工大臣経済顧問

一九六六年三月二七日から四月三日の間ジャマイカ商工大臣経済顧問H・E・プリースター博士が来日し、三木通商産業大臣、通産省幹部、官民関係者と会談し、両国経済関係の改善について意見の交換を行なった。

(9) ペルー鉱業銀行副総裁

ペルー鉱業銀行のアルフォンソ・バロン・エグレン副総裁ほか三名は、一九六六年七月一七日から八月八日まで本邦に滞在し、関係産業施設の視察等を行なった。

(10) ヴェネズエラ中小企業金融委員会視察団

ヴェネズエラ中小企業金融委員会(同国勧業省の下部機関で、中小企業に対する金融その他の育成にあたっている)視察団一行八名は、一九六七年三月一九日から四月二日まで本邦に滞在し、関係産業施設等を視察した。

(11) アリハニ・イラン経済大臣

アリ・ナギ・アリハニ・イラン経済大臣は日本・イラン両国間の経済貿易関係促進について意見を交換するため一九六六年四月二日から七日まで来日した。

その間椎名外務大臣、三木通商産業大臣と会見したのをはじめ、外務、大蔵、農林、通産各省の幹部と意見の交換を行なった。

(12) アプジュ・トルコ村落大臣

サービット・オスマン・アブジュ・トルコ村落大臣は随員五名を帯同し一九六六年四月一八日より一〇日間訪日した。

滞日中坂田農林大臣、正木外務政務次官を表敬し、また東京および関西で灌漑施設、農業協同組合、農耕機械工場、農家等の視察を行なった。

(13) ドウワィジ・クウェイト企画庁長官

アハマド・アル・ドウワィジ・クウェイト企画庁長官は国連専門機関会議に出席の帰途一九六六年五月一一日より一週間滞日した。

その間椎名外務大臣を表敬訪問したほか、外務省局長、経済企画庁局長等と会談し、またNHK、電気通信機工場等の見学を行なった。

(14) イラク経済使節団

シャウキ・イラク経済省経済局長を団長とするイラク経済使節団は一九六六年五月一七日より同月二五日まで来日し、政府関係者と九月に期限の到来するイラクとの間の貿易協定更新のための意見交換を行なうとともにデーツ処理工場等の見学を行なった。

(15) ジャービル・クウェイト商工大臣

アブダッラー・アル・ジャービル・クウェイト商工大臣は夫人および随員三名を帯同し一九六六年九月二六日来日した。

同大臣夫妻は天皇、皇后両陛下に拝謁したほか、佐藤総理大臣、三木通商産業大臣、田中外務政務次官、川島自由民主党副総裁と会見、東京および関西において金属工場、造船所等の見学を行ない一〇月五日帰国した。

(16) シャンデルリ・アルジェリア工業エネルギー省特別顧問

アブデルカデル・シャンデルリ・アルジェリア工業エネルギー省特別顧問は一九六七年三月六日より一〇日間滞日し、外務、通産当局との会談ならびに金属、造船、鉄鋼、精油工場等の見学を行なった。

(17) ポーランド外国貿易大臣

日本政府の招待でポーランドからトロンプチンスキー外国貿易大臣が一九六七年二月一九日から二七日まで来日し、総理をはじめ政府首脳、財界人と会談し、各地の産業施設を視察、二月二四日、日本・ポーランド経済混合委員会の設立等に関する共同コミュニケが発表された。

(18) ブルガリア外国貿易大臣

日本政府の招待でブルガリアよりブディノフ外国貿易大臣が一九六七年三月二二日より二九日まで来日し、総理をはじめ政府首脳、財界人と会談し、各地の産業施設を視察、二八日日本とブルガリアとの間の一九六七年より一九七一年までの五カ年貿易支払協定に署名した。署名に際し、共同コミュニケが発表された。

(19) ソ連ロシア共和国第一副首相

日本政府の招待でソ連からヤスノフ・ロシア共和国第一副首相が一九六六年一〇月十四日より二二日まで来日し、大阪における第二回ソ連商工業見本市の開会式に出席し、政府首脳、財界人と会談し、各地の産業施設を視察した。

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3 貿易経済関係諸会議の開催

(1) 日本・カリフォルニア会第二回会議

(イ) 日本・カリフォルニア会は、一九六四年の岩佐経済使節団の訪米を契機とした日本・カリフォルニア間の経済関係の緊密化をはかろうとする機運の醸成を背景とし、政府の対米経済外交の実施にあたっては、地域別、州別にきめ細かい対策を講ずべきであるとの認識とも合致し、和田前サンフランシスコ総領事と岩佐団長とのイニシャティヴによって民間個人べースの会として六四年一二月に設立されたものである。

(ロ) 本会は、日本とカリフォルニア州の実業人並びに学者の中から選ばれた会員の相互理解と親睦を深めることを目的とし、随時の会合、共通の関心ある一般経済問題の研究、日本とカリフォルニア州との間の貿易、その他の経済問題についての意見の交換、その関係改善への努力を行なうもので、第一回会議は川奈(伊東)において、米側からピーターソン・アメリカ銀行頭取以下二〇名から成る代表団の参加を得て、六五年一〇月二八日から三日間にわたり開催された。

(ハ) 第二回会議は、カリフォルニア州パームデザートにおいて、六六年一一月三日から三日間にわたり開催された。

会議では、先ず双方の議長が過去一年間の展望と今後の抱負を述べたのち、それぞれ自国の最近の経済情勢と見通しについて報告が行なわれ、更に日米双方の出席者が四つのグループに分かれ、日米間の政治経済問題(日本の資本自由化、カ州バイ・アメリカ法、ダンピング問題)カ州と日本との貿易経済関係、共産圏問題、共産圏を除くアジア各国の政治経済問題の諸点が討議された。

(2) 第一回日仏経済合同委員会

(イ) 日仏経済委員会は、日仏両国の財界、産業界間の直接の意思疎通を図る目的で一九六五年秋結成されたもので、その第一回合同会議は、一九六六年五月五日、六日の両日にわたり、パリで開催された。会議には、日本側石坂経団連会長を委員長として団員一七名、随員一二名、フランス側はピエール・シユドロー氏を委員長として団員二四名、随員一五名が出席し、全体会議のほか、金融、化学、重機械及び重電、エレクトロニックスの四部会に分れて、技術交流の促進を中心とする討議が行なわれた。

(ロ) わが方代表団は、会議に先立ち、五月四日ポンピドウ仏首相を表敬訪問し、四〇分にわたり会談した。

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