ラテン・アメリカ地域
椎名外務大臣は、国際連合第二一回総会に出席した後、アルゼンティン、ブラジル両国政府の招待により、一九六六年九月二五日から一〇月一日まで両国を公式訪問した。
同大臣はアルゼンティン滞在中、オンガニア大統領、マルティネス・パス内務大臣兼臨時外務大臣、サリメイ経済大臣、その他アルゼンティン政府要人と会見し、またブラジル滞在中、当時のカステロ・ブランコ大統領、ピオ・コレイア臨時外務大臣、カンポス企画大臣等ブラジル政府要人と会見し、これら両国との友好親善関係の一層の緊密化を図った。なお、同大臣は両国滞在中、在留同胞と交歓し、邦人関係企業を視察した。
(1) ガイアナ 一九六六年五月二六日
佐藤洋之助 (衆議院議員)
(2) バルバドス 一九六六年一一月三〇日
光藤俊雄 (駐ヴェネズェラ大使)
(1) コスタ・リカ 一九六六年五月八日
永田亮一 (衆議院議員・元外務政務次官)
(2) ドミニカ共和国 一九六六年六月三〇日
綾部健太郎 (衆議院議員・元運輸大臣)
(3) グァテマラ 一九六六年七月一日
島村一郎 (衆議院議員)
(4) コロンビア 一九六六年八月七日
篠田弘作 (衆議院議員・元国務大臣)
(5) ボリヴィア 一九六六年八月六日
臼井 健 (駐ボリヴィア大使)
チリ下院議員カルロス・シボリ第二副議長ほか議員四名、および家族の一行九名は、一九六六年五月一四日来日し、五月二三日離日した。一行は衆議院議長に表敬したほか、新聞社、電子工業等を訪問した。
オスピーナ・ペレス元コロンビア大統領は夫人及び令嬢を同伴し、一九六六年六月一八日来日、同月二四日まで滞在した。同氏は滞在中、わが国の文化、産業、特に農繁協同組合、牧場の視察等を行なったが、同氏の地位に鑑み、必要な便宜供与を行なった。
アルゼンティン大統領特使アルバロ・アルソガライ元経済大臣は、オンガニア新政権の政策を日本政府首脳に説明するため、一九六六年九月一二日来日、天皇陛下に謁見し、総理、外務大臣、大蔵大臣と会談したほか、財界要人と懇談し一六日離日した。
ブラジルのサン・パウロ州次期知事アブレウ・ソドレー氏は、外務省の賓客として随員帯同、一二月五日来日し、一二月一〇日離日した。同知事は、滞日中、天皇陛下の謁見、総理、外務大臣、東京都知事、大蔵及び通産当局と会談、外務大臣主催晩餐会、全国知事会主催晩餐会等のほか、経済、産業、交通、教育、報道関係者と懇談した。
ブラジル次期大統領コスタ・イ・シルヴァ元帥は夫人及び随員帯同、一月一三日特別機で来日し、一月一九日離日した。政府はコスタ・イ・シルヴァ次期大統領夫妻を公賓として接遇した。滞日中天皇、皇后両陛下の午餐、総理との会談、外務大臣晩餐会、経団連、商工会議所、貿易会、日伯中央協会、移住事業団共催午餐会等の公式行事のほか、京都視察及び産業施設の視察が行なわれた。
ブラジル外務大臣ジュラシー・マガリヤンエス氏は、夫人及び随員帯同、一月二三日来日し、一月二七日離日した。政府は、マガリヤンエス外務大臣夫妻を公賓として接遇し、滞日中天皇、皇后両陛下の謁見、総理及び外務大臣との会談、外務大臣主催晩餐会、経団連、商工会議所、貿易会、日伯中央協会、移住事業団共催午餐会等の公式行事を行なった。マガリヤンエス外相滞日中、日伯租税条約が署名調印せられた。
フランシスコ.オルリッチ前コスタ・リカ大統領一行三名(随行者は前大統領府大臣マリオ・キロス、現法王庁大使フランクリン・アギラール)は観光の目的で一九六七年二月一八日来日、同二四日香港に向け離日した。政府は前大統領たる地位にかんがみ、一行に対し旅行、視察等の便宜を供与した。
チリ海軍練習艦エスメラルダ号(艦長ロベルト・ケリー中佐以下二七八名)は、遠洋航海の途次、一九六六年五月二七日東京港に入港、わが国朝野と交歓を行なったのち、六月二日離日した。なお、チリのアルトウロ・プラット協会から、プラット提督の胸像が、海上自衛隊に贈られることとなり、六月一日その贈呈式が挙行された。
一九六六年四月一三日、政府は二月中旬より三月初旬にかけて、パラグァイ南部地域(同地城には戦後の邦人移住者約六〇〇〇名が定着している)を襲った水害に対する見舞金として、パラグァイ政府に対し、米貨三〇〇〇ドルを贈った。
一九六六年一〇月一七日ペルーの北西部に発生した地震で首都リマ市はじめその他の諸都市に甚大な被害が出た。
日本政府は見舞金として米貨五〇〇○ドルを同国政府に、別に五〇〇〇ドルを罹災在留邦人見舞としてペルー中央日本人会に贈った。
一九六六年九月下旬ドミニカ共和国南西部を襲った台風により、死者一二〇名、負傷者五〇〇名以上及び農産物の損害一〇〇〇万ドルに達する被害が生じたので、日本政府は見舞金として五〇〇〇ドルをドミニカ共和国政府に贈った。
カリフォルニア半島南端附近の海上にて操業中の第八海形丸は、一九六六年八月二八日、メキシコ沿岸警備艇に領海侵犯容疑でだ捕され、ラ・パス港に連行された。以来在メキシコ大使館は同船の釈放のため、メキシコ政府と折衝を行なったが、同船は罰金等合計五七〇〇ドル余を支払った上、九月二二日ようやく釈放された。
エクアドル近海にまぐろ漁業に出漁中の静岡県の第一五千代丸は、一九六七年二月一七日エクアドルの領海侵犯の
容疑でだ捕されたが、同船は罰金等合計一六二○○ドル余を支払った上、三月八日釈放された。
中南米諸国から、日系社会の中堅幹部として活躍している優秀な二世を招致し、わが国の産業、文化を視察せしめ、日本の歴史、伝統、現状につき充分な理解を持たせるとともに、併せて各々の専門分野について見学研究せしめる二世研修計画を昭和四〇年(一九六五年)度に引続き、一九六六年九月一一日から四五日間、ブラジル四名、ペルー二名、アルゼンティン、メキシコ及びパラグァイ各一名計九名を招致して実施した。
在留邦人が、ペルーのリマ市に建設中の日秘文化会館に対し三、二〇○万円(第二年度分)及びボリヴィアのラ・パス市に建設する日ボ文化会館に対し二、五二〇万円を建設費の一部補助として援助した。
一九五四年以来打診を続けて来た租税条約締結に関し、ブラジル政府は一九六五年末に至り交渉に応ずる意向を示したので、第一回交渉を一九六六年八月リオ・デ・ジャネイロにおいて、第二回交渉を十月東京において行ない、妥結に達した。一九六七年一月二四日来日中のブラジルのマガリヤンエス外務大臣と三木外務大臣との間で署名が行なわれた。
一九六七年一月一四日沖繩の琉球銀行において、同銀行の小切手を偽造、行使し、約八万米ドルの現金を詐取した同銀行員二名がペルーに逃亡した事件が発生した。外務省は警察庁からの要請に基づき、本件処理に必要と思われる被疑者二名の所在確認、日本へ帰国方説得、同人等身柄の保護等の諸措置を在ペルー大使館に訓令した。同大使館はペルー国際警察機構と協力、同月二七日リマ発CPAL機で前記容疑者二名(宇野昌及び真栄城守治)を本邦に送り返して来たので、同人等の身柄は同日羽田空港に到着と同時に警察庁側に引渡された。