大洋州地域
一九六七年三月二八日、ハズラック・オーストラリア外務大臣は、日本政府の公賓として来日したが、滞在中、三木外務大臣と二回にわたり正式会談を行なった。右会談においては、中国、ヴィエトナムを初めとするアジア情勢および国連政策等、両国が関心を有する国際政治問題につき忌憚のない意見の交換が行なわれた。特に、アジア・太平洋連帯協力の問題については、三木外務大臣よりその基本的構想について所見の開陳があり、ハズラック外務大臣よりその趣意に積極的に賛同する旨の見解表明があり、アジア・太平洋地域における協力を更に促進するため両国とも一層努力することに意見の一致をみた。両外務大臣は、今回の訪問によって可能となった大臣級会談が両国にとり重要であるとの認識を確め合い今後とも両国共通の諸問題について互いに緊密な連絡を保つことに合意をみた。
また、ハズラック外務大臣は佐藤総理大臣および三木外務大臣が早い機会に豪州を訪問するよう希望した。
日豪関係は貿易関係の伸長とともに緊密化の一途をたどっているが、政治問題についても密接な協調連絡を促進すべき要請が年を追って高まって来たので、わが方の提案により、一九六七年一月一六、一七両日キャンベラにおいて政治問題に限定した日豪事務レベル協議を開催した。
同協議には、日本側より千葉大使のほか、本省より北原欧亜局長など、豪側より、マッキンタイヤ外務省副次官など外務省及び関係各省幹部が出席した。協議では、ヴィエトナム問題、中国問題、ASPAC、国連政策及び東南アジア地域における多角的協力等について、きめの細かい隔意なき意見の交換が行なわれた。同協議終了後、双方ともこの種の協議が両国にとり価値のあるものと認め、次回協議を東京で両国の都合のよい時期に開催することに合意した。
日本・ニュー・ジーランド政務関係事務レベル協議は一九六七年一月一九日及び二〇日の両日ウエリントンにおいて日本側北原欧亜局長ほか(在ニュー・ジーランド近藤大使同席)ニュー・ジーランド側ホワイト外務次官代理ほかとの間で、ヴィエトナム、中共、国連政策及び東南アジアにおける多角的協力問題を含む広範な国際問題につき意見の交換を行なった。
今回の協議において両国代表団は、アジア・太平洋地域における連帯感が著しく増大していること、及び同地域における協力がなお一層必要であることを確認するとともに、かかる協議が定期的に行なわれるべき旨の希望を表明した。
わが国は、日豪関係の発展に伴い、在豪各地に逐次わが国公館を設置して来たが、鉄鉱石の輸入等による豪州西オーストラリア州との貿易関係の急速な緊密化にかんがみ、一九六七年一月一日より同州首都パース市に総領事館を開設し、初代総領事に、種谷清三総領事が任命された。
海上自衛隊練習艦隊(あきづき、たかなみ、おおなみ、まきなみの四隻、乗組員一、一〇〇名)は、水谷司令官指揮のもとに一九六六年七月八日より九六日間、ニュー・ジーランド(ウエリントン、オークランド)、オーストラリア(シドニー、メルボルン、キャンベラ(司令官及び幹部のみ))、フィリピン、中華民国の四カ国を訪問するとともに、途中グアム、ヌーメア、スーバ、那覇の各地に寄港した。今回の訪問はオーストラリア、ニュー・ジーランドについては一九六二年に引続き第二回目の訪問であり、フィリピン、中華民国については戦後初めての訪問であったが、各地において極めて友好的雰囲気のうちに各種行事を終え日本と訪問各国との間の友好親善関係の増進に多大の効果をあげたものと思われる。
水谷司令官は訪問各地において各国要人に対し表敬訪問を行なうとともに、乗組員による各種施設の見学、有志による柔道、剣道等の親善競技を行ない、人気を博した。
ハズラック・オーストラリア外務大臣は夫人及び随員二名を帯同し、一九六七年三月二八日来日し、四月二日まで日本政府の賓客として接遇された。
ハズラック外務大臣夫妻は、滞在中、天皇・皇后両陛下より拝謁を賜わったほか、同外務大臣は佐藤総理大臣と懇談、また、三木外務大臣と二回にわたり会談(1 日豪外相会談の項)を行なった。また、同外務大臣一行は、関西旅行を行ない、わが国の伝統的文化を観賞した。
豪州ニュー.サウス・ウェルズ州アスキン首相は、夫人及び秘書官一名を帯同し、一九六六年七月九日来日し、同月一八日まで滞在したが、わが国は、同州との密接な関係にもかんがみ、同首相一行を同期間中、外務省賓客として接遇した。
アスキン首相夫妻は、滞在中、天皇・皇后両陛下より拝謁を賜わったほか、同首相は佐藤総理大臣、椎名外務大臣及び三木通産大臣と懇談した。また、同首相一行は関西旅行を行ないわが国の伝統的文化・産業施設を視察した。
豪州西オーストラリア州ブランド首相は、夫人及び随員四名を帯同し、一九六六年五月七日来日したが、わが国は同州との密接な関係にもかんがみ、同首相一行を同月一四日まで外務者賓客として接遇した。ブランド首相夫妻は滞在中、天皇・皇后両陛下より拝謁を賜わったほか、同首相は、佐藤総理大臣、椎名外務大臣及び三木通産大臣と懇談を行なった。また、同首相一行は関西旅行を行ない、わが国の文化・産業施設を視察した。
シェルトン.ニュー・ジーランド関税大臣は、ASPACソウル会議出席の帰途、一九六六年六月一七日より同月二五日まで訪日し、佐藤総理大臣、椎名外務大臣、三木通産大臣、松野農林大臣を表敬訪問、懇談ののち、各地工場見学、視察訪問を行なった。