大洋州地域

 

1 在ブリスベン領事館の開設

わが国は、日豪関係の緊密化、特に両国間の貿易量の急速な増大に鑑み、かねてより、日豪貿易上重要な位置を占め、日本の企業進出も増加しつつあるクインズランド州に領事館を開設することを検討して来たが、この程、一九六六年一月一日を以て、同州の首都ブリスベン市に領事館を開設し、初代領事として北郷領事が任命された。

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2 ニュー・ジーランド漁業水域問題

(1) ニュー・ジーランドは、一九六五年九月「領海及び漁業水域法」を制定し、一九六六年一月一日よりこれを実施した。この法律は、ニュー・ジーランド領海(幅三マイル)の基線のとり方を規定するとともに、その外側に幅九マイルの漁業水域を設定し、同水域より外国漁船の漁業を排除することを狙いとしている。

ニュー・ジーランド近海には、従来よりトロール及び網底はえなわ漁業のため、わが方漁船が多数出漁しており、前記法律が実施されれば、わが方漁船は重大な影響を蒙ることになるので従来よりニュー・ジーランド側の動きには重大な関心を払って来ていた。

(2) わが方は、確立せる国際法によれば、沿岸国が一方的に漁業水域を設定しても特別の合意なき限り、第三国を拘束することにはならないとの基本的立場をとっており、この立場に基づき、ニュー・ジーランド側とは外交経路を通じ鋭意折衝を行なって来たが、一九六五年一二月、藤崎条約局長ほか名をウエリントンに派遣し、駐ニュー・ジーランド近藤大使を補佐せしめるとともに、先方との交渉に当らしめた。

(3) このウエリントン交渉の結果、わが方より、本件漁業水域問題の最終的解決のため、問題を国際司法裁判所に付託することを示唆したが、次のステップとして、わが方から同裁判所への共同付託のための詳細な提案をニュー・ジーランド側に提示することが取決められるとともに、双方は、両国間の友好関係に鑑み、事態を悪化せしめないように努力することが合意された。

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3 ニュー・ジーランド軍艦の訪日

ニュー・ジーランド海軍の巡洋艦ロイヤリスト号(艦長ヴァラント大佐、乗員五五〇名)は、一九六五年九月一七日より同二二日まで小樽港を親善訪問し、地元市民の歓迎を受けた。

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4 要人の来日

(1) 豪州連邦議会議員団

豪州連邦政府ゴードン・フリース運輸大臣を団長とする豪州連邦議会議員団七名及び随行員二名は、衆参両議院議長の招待により、国会の賓客として、一九六五年六月一日から同七日迄来日した。一行は滞日中、衆参両院各議長又び佐藤総理、椎名外務大臣、松浦運輸大臣に表敬訪問するとともに各地を旅行し産業施設、史跡、文化、財等を視察した。

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(2) ハーバート豪州クインズランド州労働産業大臣

ハーバート豪州クインズランド州労働産業大臣は、ジョンソン次官補を帯同し、インドで開催された第一五回太平洋地域観光協会年次大会に出席する途次、日本に立ち寄り、一九六六年一月一五日から同一九日迄滞在した。同大臣は滞日中、堀労働事務次官を表敬訪問するほか、運輸省、経済企画庁等の幹部と会談し、また、東京都々内水産施設などを視察した。

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(3) ホリオーク・ニュー・ジーランド首相

ホリオーク・ニュー・ジーランド首相(兼外相)は、政府の招待により、夫人及びマッキントッシュ外務次官以下の随員とともに一九六五年六月三〇日から七月七日まで訪日した。

同首相夫妻は、滞日中、天皇・皇后両陛下から拝謁を賜ったほか、佐藤総理大臣及び椎名外務大臣と会談した。この会談では、重要な国際問題及び両国が共通の関心をもっている諸問題について討議され、特に、日本・ニュー・ジーランドの友好関係を更に促進するため両国政府は一層努力し、今後もこのような高いレベルにおいて相互に密接な連絡を保ってゆくことが合意された。

同首相夫妻は、このほか大阪、京都、名古屋を訪問し諸行事に出席した。

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