三 わが国と各国との間の諸問題

 

 

公海の漁業などに関する国際協力

 

1 国際捕鯨問題

(1) 国際捕鯨委員会特別会合

一九六五/六年漁期以降の南氷洋における捕獲頭数につき、科学的資源評価結果を考慮の上、勧告することを目的とした国際捕鯨委員会特別会合が一九六五年五月三日より六日までロンドンで開催され、わが方からは藤田捕鯨委員以下の代表が出席した。

この会合においては(イ)一九六五/六年漁期の捕獲総頭数は四、五〇〇BWUとする。(ロ)一九六六/七及び六七/八年漁期においては更にこれを削減し、一九六七/八年漁期の捕獲総頭数を持続的生産量以下とすることの二点を骨子とする勧告が採択された。

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(2) 国際掃鯨委員会第一七回会合

国際捕鯨委員会第一七回会合は一九六五年六月二一日より七月二日までロンドンで開催され、わが国からは藤田捕鯨委員以下の代表が出席した。主要な討議点は次のとおりである。

(イ) 南氷洋における捕獲総頭数

前記の五月の特別会合の際の勧告がその儘採択され、(イ)一九六五/六年漁期は四、五〇〇頭、(ロ)六六/七、及び六七/八年漁期においては更にこれを削減し、一九六七/八年漁期には持続的生産量以下とする旨の付表修正が行なわれた。

(ロ) 国際監視員制度

この制度は、協定が発効しながら実施されるに至っていないが、早期実施を要請する旨の決議が採択された。

(ハ) 北太平洋捕鯨

(i)一九六六年以降五カ年間のしろながす鯨の捕獲禁止、(ii)ざとう鯨の一九六六年一カ年の捕獲禁止が付表修正として採択され、更に、一九六六年早々、北太平洋捕鯨四カ国(日、米、加、ソ連)会議を開催することが取り決められた。

(ニ) 母船式捕鯨によるまっこう鯨の捕獲禁止

北緯四〇度から南緯四〇度までの水域において母船式捕鯨によるまつこう鯨の捕獲を禁止する旨の付表修正が採択されたが、わが国は、この禁止措置は充分な科学的理由がないとの理由で反対し、のちに異議の申立を行なった。

(ホ) 南半球における基地捕鯨問題

南氷洋における母船式捕獲枠の減少に関連して、基地捕鯨の今後の取扱いが問題となったが、(i)基地捕鯨の捕獲量を増加しないこと、(ii)母船式の捕獲枠を決定するにあたっては基地よりの捕獲量も考慮すべきこと等を内容とする勧告が採択され、一九六六年六月の国際捕鯨委員会第一八回会合前に、南半球における基地捕鯨問題討議のための関係国会議を開催することが取決められた。

(ヘ) 南氷洋捕鯨国別割当

現在の南氷洋国別割当取極は一九六五/六年漁期終了と共に失効することになっているので、爾後の漁期における配分率について、日本・ノルウェー・英国・ソ連及びオランダの五カ国間で話合いが行なわれたが、合意をみなかったので、適当な時期に再たび会議を開くことになった。

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(3) 南氷洋捕鯨五カ国東京会議

一九六五年六月のロンドンでの国際捕鯨委員会第一七回会合における南氷洋捕鯨五ケ国会議の際の申合わせに基づき、一九六五年九月一日より七日まで東京において同会議の継続会議が開催され、わが方からは藤田捕鯨委員以下の代表が出席した。

五ケ国代表は、一九六六/七漁期以降の、各国の国別割当問題、国際監視員制度の実施問題等について討議したが、何れの問題についても合意をみぬまま会議を終了した。

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(4) 北太平洋捕鯨会議

国際捕鯨委員会第一七回会合における勧告に基づき、北太平洋捕鯨四ケ国(日、米、加、ソ連)会議が一九六六年二月七日より一七日までホノルルで開催されわが方からは藤田捕鯨委員以下の代表が出席した。

(イ) 科学者会議

二月七日より一二日まで開催された科学者会議においては、北太平洋水域における鯨資源の科学的分析が行われ大要次の勧告が行なわれた。

(i) 白ながす鯨の五ケ年間禁漁(一九六六~七〇)は変更されるべきでない。

(ii) 一九六六年一年間のざとう鯨の捕獲禁止は更に一年間延長されるべきである。

(iii) 母船式操業水域におけるながす鯨の捕獲は持統的生産量以下に抑えられるべきである。

(iv) まっこう鯨のめすの捕獲は、現状より著るしく増加さるべきではない。

(ロ) 捕鯨委員会議

四ケ国捕鯨委員会議は二月一四日より一七日まで開催され、前記の科学者会議の勧告を考慮の上、捕鯨規制について討議したが、具体的結論に達せず閉会した。なお、この四ケ国会議は、一九六六年六月の国際捕鯨委員会第一八回会合の前に再たび開催されることになっている。

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2 ソ連との漁業交渉

●日ソ漁業委員会第九回会議

北西太平洋日ソ漁業委員会第九回会議は一九六五年三月二日より東京で開催され、四月二日日ソ双方の委員による合意議事録の署名をもって終了した。このように一カ月余という従来にない短時日で交渉が妥結したことは、現行条約の下での日ソ両国の漁業分野における協力が実効を挙げ、相互理解が深まり、委員会が本来の機能を発揮して能率的に審議を行なうようになったことを示すもので、委員会の今後の運営上誠に喜ばしいことであった。

今回の委員会では、さけ・ますの年間総漁獲量は、A区域五万六千トン、B区域五万九千トン(但し、B区域については一〇パーセントの増減があり得る)、また両カムチャッカ沿岸のかに漁業については、日本側二四万函、ソ連側四二万函(何れも一函半ポンド缶四八個入)のかに缶詰製造函数が決定された。

なお、本年度の会議においては、ソ連も批准している大陸棚条約が昨年発効し、ソ連はカニは大陸棚条約にいう大陸棚資源であるとの立場をとっているが(日本は同条約に加入しておらず、このような立場を認めていない)、交渉に当ってソ連側がこのような立場を固執せず、現行の日ソ条約の枠内でかに漁業の問題を処理することに同意したことをも考慮して、日本側はソ連側がかねて要望していた一船団の増加を認め、七船団とすることに同意した(日本側は従来どおり四船団)。

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