四 わが国の経済協力の現状と問題点
経済協力に関する国際協調の動き
DAC (Development Assistance Committee) は、低開発国への資金の流れを増大し、援助の有効性を高め、また加盟国の援助努力の調整を行なうことを主な目的とするOECDの委員会である。現在、DACは、米国、フランス、英国、ドイツ、イタリア、カナダ、ベルギー、オランダ、ポルトガル、ノールウェー、デンマーク、オーストリア(一九六五年三月より参加)および日本の一三カ国ならびにEEC(欧州経済共同体)委員会とから成っている。加盟国は、概ね、各々のOECD代表部の長を常任代表とし、加盟国の援助努力および援助政策、特定国または特定地域に対する援助の問題、国連貿易開発会議の諸勧告、援助に関連して起こる諸問題等について随時会合し、意見、情報の交換および執るべき措置についての協議を行なっている。DACは前年に引き続き数多くの会合を行なったが、その活動は国連貿易開発会議のフォロー・アップの問題を契機として問題毎の実証的研究の比重が相々大きくなった。その概要はつぎのとおりである。
(1) 第三回年次審査の実旋
DAC加盟国の援助政策と実績とを、コンフロンテーション方式によって検討する第三回の年次審査は、一九六四年五月から六月にかけて実施された。わが国に対する審査の会議は、五月二十七日および二十八日に、ドイツ、EECおよびデンマークを審査国とし全DAC加盟国が参加して行なわれた。わが国は、ノールウェー、カナダおよびポルトガルの審査国となり、また、その他すべての国の審査に参加した。
年次審査においてわが国に対し要望きれた諸点は次のとおりであり、総じてわが国の一層の援助努力強化を期待する声が強かった。
(イ) 日本の援助総額が依然として減少傾向から脱却しえず、GNP対比において一%はもとより、DAC諸国の平均を大幅に下回っている点は更に努力を要する。
(ロ) 日本の援助条件は他国に比較してかなり厳しいので、政府支出予算の拡大により、国内市場金利条件からの制約を緩和する方策を検討する必要がある。
(ハ) 援助政策を過度に貿易政策に結びつけることの結果、援助対象国あるいはプロジェクトの選択が不当に制約をうけたり、あるいは相手国に援助のあり方について誤解を与えることのないように留意する必要がある。
(ニ) 技術援助の一層迅速な拡大が必要である。
(ホ) 援助機構の多元化は、援助に関する主たる責任の所在を不明確にする危険のあること、および、援助について国民の支持をうるための啓発が重要であることに留意し、援助機構の効率化につき考慮しなければならない。
(ヘ) 輸出信用供与に伴う諸問題(不公正競争の規制、低開発諸国の債務の不当な累積の制限)について、OECD諸国間の相互調整が必要であることにつき十分な理解が必要である。
第一表 DAC加盟諸国の低開発国に対する長期資金の流れ (単位百万米ドル)
一九六一 一九六二 一九六三
オーストリア - - -
ベルギー 一五二 一二九 一七一
カ ナ ダ 九六 六八 一〇四
デンマーク 一〇 一二 一四
フランス 一、二九〇 一、二八九 一、〇八八
ド イ ツ 八〇一 六八二 五五七
イタリア 二五一 二七八 二七一
日 本 三六九 二八二 二六五
オランダ 一九四 一四〇 一四五
ノールウェー 九 九 二四
ポルトガル - - -
英 国 八三七 六四三 七二四
米 国 四、五九二 四、四六六 四、七二六
DAC加盟諸国計 八、六三〇 八、〇三五 八、一四六
-は不詳 出所OECD
なお、一九六三暦年においてDAC全加盟国から低開発諸国に向けられた資金の流れの総額は、約八一億ドルであり、このうちバイラテラルに供与された政府資金は約五七億ドルで前年より三億ドル以上増加したが、国際機関への拠出額が約二億ドル減少したため、総額は前年より僅かに増加したに過ぎない。なお、民間資金の流れには大差はなくここ数年続いた減少傾向は止んだように見える。
(2) 援助の調整
開発援助を一層効果的に実施するために、DAC諸国は特定の低開発国もしくは低開発地域に対する地域会議を開催している。これらの地域会議においては、対象国の経済開発状況の分析、開発計画、開発事業等についての情報、意見の交換、援助の調整等が行なわれる。最近一年間においては、一九六四年四月に西アフリカに関する会議、同じく七月、九月ならびに一九六五年三月にラテン・アメリカに関する会議が開かれた。
同様の目的から、タイに対する援助についての情報交換、調整を現地で行うためバンコックにDAC諸国の調整グループが設置されており、年に数回会合し、タイに対する各国の技術援助に関する情報交換、援助需要の検討等の作業が行なわれている。なお、東アフリカ三国についても調整グループがあるが、タイの場合に比較し会合は定期的となっていない。
また、一九六四年十二月のDAC会議は、援助計画ならびに援助政策の調整のために現在活動している諸組織、すなわち、世銀主催のコンソーシアムおよび協議グループ、DACの調整グループ等の成果の分析を行なった。
(3) 国連貿易開発会議に関する検討
一九六四年春に行なわれた国連貿易開発会議で採択された諸勧告を共同で検討し、加盟国の意見の調整をはかる見地から、七月の上級会議において、国連貿易開発会議問題に関する作業部会が設置された。この作業部会は、一九六四年九月以降、次の(4)、(5)に述べる二作業部会とも共同して、国連貿易開発会議が採択した援助分野における諸勧告の検討および将来の貿易開発理事会等に備えて先進国側として執るべき方針の調整等の作業を行なっている。なお、本件作業には、DACに参加していないOECD先進諸国およびOECDに加盟していないオーストラリア、,ニュー・ジーランドならびにフィンランドが加わっている。
(4) 援助条件等の検討
DACは、一九六二年十月以降、作業部会において援助条件の問題の検討を行なってきたが、一九六四年七月の上級会議において、同作業部会の付託条項を拡大させ、援助に関する広い範囲の資金的な諸問題に関する作業部会が設立された。この作業部会は、六四年十月以降、援助条件、債務累積、輸出者信用、債権繰延べ等の広い範囲の援助に関する諸問題を扱っており、一九六三年の援助条件緩和決議採択後各国の執った条件緩和措置、低開発国側の債務累積の事実、就中、民間輸出信用供与が低開発国に与える負担等につき実証的検討を行っている。
(5) 援助の需要および供給の検討
一九六四年七月の上級会議において設置されたこの作業部会は十月以降三回にわたり会合し、低開発諸国が直面する資金不足額の分析、援助の需要、供給等の諸問題を検討している。
(6) 民間投資の促進
DACの前身たるDAGは、先進国からの民間投資が低開発国の経済開発に占める役割を重視し、その促進措置の検討を行なってきた。
海外投資に対する課税上の優遇措置については、その後、一九六一年にOECD財政委員会にその検討が付託され、同委員会の作業部会において、民間海外投資及び海外投資所得に対する各種の課税上の優遇措置が民間資本の流れに及ぼす影響について参加国専門家により検討されてきたが、一九六四年九月の第一七回委員会において、各種優遇措置の投資促進に対する効果を分析比較した報告書が採択された。この報告書は今後DAC及びOECD理事会に提出される予定である。
多角的投資保証制度については同様に一九六一年以来世銀の協力を得てDACで検討が続けられてきたが、一九六四年四月のDAC第三一回会議において、前年開催された専門家の技術的検討の結果をもとに本問題が討議された。多角的投資保証が低開発国向け民間投資促進の効果を有することは否定できないが、投資保証は、通常の保険原則では律することができない性質のものであり、さらに、関係各国の投資方針や利害関係が異なり、また、米国、ドイツ、日本では国営保険制度が存することからくる特殊な問題もあり、会議においても従来同様、ドイツ、フランス等の消極的意見とオランダ、ベルギー等の積極的意見とが対立し、結局理事会において本問題の今後の進め方が検討されることとなった(なおDAC以外の場で検討されている民間投資促進のための国際的措置としては、OECDによる外国財産保護のための条約案の策定作業および世銀による投資紡争仲裁センター案の研究がある)
(7) その他の関連事項
(イ) 開発センター
OECD開発センターは、一九六二年、先進国が経済開発に関し有する知識を集中し、低開発国の利用に供することを目的として設立された。この目的を達成する方法の一つとして、同センターは、低開発国に経済専門家チームを派遣する巡回セミナーをカメルーン(一九六四年七月)、象牙海岸(同八月)およびギニア(一九六五年一月)において開催した。同セミナーは、今後、他の低開発地域においても実施される予定である。さらに、同センターは、一九六四年にパリにおいて低開発諸国の高級官吏との研究会を開催した。また、世界各国の経済開発訓練所および調査研究所との連絡の確立、代表者間の接触、関連作業の実施ならびにこれら機関代表者との会議を開催した。また、センターは、独自に経済開発問題について広範囲にわたる調査、研究を進めている。
(ロ) ソープ議長の来日
DACのウィラード・L・ソープ議長は、六四年九月に東京で行なわれたIMF・世銀総会に出席のため来日した機会に、椎名外務、桜内通産両大臣と会談した他、関係各省、援助実施機関の担当者と意見の交換を行ない、また、国際文化会館および日本経済研究センターにおいて講演を行なった。
(1) 世界銀行主催の援助国会議の動きとインドパキスタンに対する円借款
世銀主催のインド及びパキスタンに対する援助国会議(コンソーシアムまたは債権国会議とも呼ばれる)は、印パ両国それぞれの経済開発計画に対する参加国の援助の調達、調整を目的として組織されたもので、日本を始め、米、英、西独、加、仏、伊、オーストリア、ベルギー、オランダの十カ国、二国際金融機関(会議主催者たる世銀および一DA[第二世銀])が参加し、IMFもオブザーバーとして出席する等主要援助国を殆んど網らし、低開発国援助における国際協調の動きを代表する最も実質的な機構である。
これら援助国会議の実績を一九六三年までについて見ると、インドについては、一九六三年の第八回会議までに、同国第三次五カ年計画(一九六一年四月-一九六六年三月)の当初三カ年分として総額三四億一千七百万ドルの援助調達に成功し、また、パキスタンについては一九六三年五月の第四回会議までにパキスタン第二次五カ年計画(一九六〇年七月-一九六五年六月)当初四カ年分として総額一三億七千万ドルの援助が約束されている。これらの援助は印パ両国がそれぞれの五カ年計画を遂行する上に必要としている外国援助の大半を占め、両国経済建設に大きな役割を果している(「わが国外交の近況第八号一二八-一三〇頁参照)。
一九六四年には、三月パリで開催された対印援助準備会議(第九回対インド援助国会議)に引続き、同五月ワシントンで開催された第十回会議において、インド第三次五カ年計画第四年度への所要援助額が討議され、その結果、新規に一〇・二八億ドルの援助が約束され、四カ年度にわたる援助国会議の対インド援助約束額は四四・四五億ドルに達することとなった。また、パキスタンについては、五月の準備会議(第五回会議)に続き七月ワシントンで開催された第六回会議において、新規に四億三千一百万ドルの援助が約束され、第二次五カ年計画の全期間を通じ援助国会議の約束した援助総額は二〇億三千万ドルに達した。
インドは、本年四月より第三次五カ年計画の最終年度に入り、パキスタンでは、同七月より新規に第三次五ヶ年計画が発足することとなっているが、インドについては、本年三月パリで第一一回会議(準備会議)が開かれインド経済発展の進捗状況について意見交換を行うとともに、計画最終年度の所要援助額の評価を行い、本会議(第十二回会議)は、同四月下旬に開催されることとなっている。パキスタンについては、五月に準備会議が開かれるものと予想される。
わが国は、両援助国会議の当初からの参加国として上述の各会議に引続き参加し、インドに対しては、第十回会議で六千万ドル、パキスタンに対しては第六回会議で三千万ドルの円借款を新規に供与する用意がある旨を表明し、これに基き昨年九月及び十月それぞれインド、パキスタンと新規円借款の細目について話合いを行ない、両国政府と日本輸出入銀行及び融資参加の甲種為替銀行十二行との貸付契約が調印され発効している。これらの円借款は、総額の三分の二(インド-四千万ドル、パキスタン-二千万ドル)については前回と同じく五年の据置期間を含め十五年返済、金利年五・七五パーセントの条件で供与されたが、残余の三分の一二(インド-二千万ドル、パキスタン-一千万ドル)については特に返済期間を延長し五年の据置を含む十八年(命利年五・七五パーセント)の条件で供与される。これら借款の使途は、インドについては、ドルガプール特殊鋼工場、ゴラクプール及びグジラット両肥料工場の継続プロジェクト及びその他新規プロジェクト並びに機械設備、同単体のほか、今回は特に、インドに進出したわが国合弁企業が必要とする輸入原材料部品等のわが国からの調達の融資に使用される予定であり、パキスタンについては、チッタゴン製鉄所、レーヨン工場、ソーダ灰工場の継続プロジェクト及びバガス製紙工場、特殊鋼工場等の新規プロジェクト並びに機械設備、同単体に使用される予定である。
(2) 「協議グループ」の結成
世銀が斡旋して作られている援助国の協議機関のうち「援助国会議」は、ある国の経済開発計画自体を討議し、参加各国が援助を供与することを前提として各国の援助の調整と、所要援助額全体の調達を努力目標としているのに対し、「協議グループ」は、必ずしも援助の供与を前提とせず、世銀の調査、報告を中心として、各国援助努力の効率を高めるための協議、調整を図る場として組織されている。「協議グループ」の結成に際しては、DACの「調整グループ」との重複、競合をさけるため十分の考慮と事前の調整が行なわれており、国際金融機関としてし世銀の経験とその機能を十分に活用できるよう配慮されている。
現在までに、ナイジェリア(一九六二年四月発足)、チュニジア(一九六二年五月発足)、コロンビア(一九六三年一月発足)、スーダン(一九六三年十一月発足)の四国について協議グループがつくられているが、わが国も開発援助においての国際協調に協力する意味からナイジェリア、コロンビアおよびスーダンの「協議グループ」に参加している。これらの各「協議グループ」では、それぞれの国の経済開発計画に対する援助を中心に討議が進められている。
この種グループの活用は、DACの活動とともに、今後開発援助に関する国際協調・協議・調整を行なう有効な場となることが期待されている。
(3) 投資紛争の解決に関する条約の起草
世銀は民間投資が低開発諸国の経済開発にとって重要であるとの認識の下に、このような民間投資に関し国家と他国の投資家の間に紛争が起った場合これを調停ないし仲裁手続により解決することが民間投資促進のために有益であると考え、一九六二年以来世銀が中心となって投資紛争解決のための機構成立条約案の検討をすすめて来た。
一九六三年十月から一九六四年五月にかけて、世銀はヨーロッパ、アフリカ、ラ・米およびアジア・極東の四地域毎に、各地域内の世銀加盟国が指名する法律専門家の会議を開催してその意見を徴した。一九六四年九月の東京総会における決議に従い、同年十一月以降世銀理事会は、加盟国政府の任命する法律専門家から成る法律委員会の協力を得て、条約案の審議を行ない、一九六五年三月「国家と他国の私人の間の投資紛争解決条約」を作成し、加盟国政府に送付した。
コロンボ計画は、南および南東アジア諸国の経済開発の促進と生活水準の向上とを目的として一九五〇年に設立された協力機構であって、最高機関としての協議委員会、その下部機関としての技術協力審議会および事務局からなっている。協議委員会は、域内の経済開発の進捗状況および援助の実績を検討し、加盟諸国の経済・技術協力の促進をはかるものであって、技術協力審議会は、二国間方式で域内諸国に対して実施される技術援助の一般的調整と検討を行なうものである。事務局はセイロンのコロンボにおかれ、二国間方式による技術援助の実績の記録とコロンボ計画全般についての広報活動の任にあたっている。コロンボ計画は、当初いずれも英連邦諸国のみを加盟国としていたが、その後英連邦以外の諸国も加盟し、現在、南および南東アジア地域の被援助国一六カ国と英国、オーストラリア、ニュー・ジーランド、カナダ、米国および日本の援助国六カ国からなっている。
わが国は、一九五四年に加盟して以来、協議委員会、技術協力審議会において、この地域の開発問題の審議に積極的に参加するとともに、日本政府独自の技術協力の拡大強化に努めている。
コロンボ計画協議委員会の第一六回会議は、一九六四年十一月九日から同二十日までロンドンで開かれ、わが国からは島駐英大使を代表とする代表団が参加した、
本会議の要点は、次のとうりである。
(1) コロンボ計画を、一九六六年から一九七一年まで、さらに五カ年延長することが決定された。
(2) 域内訓練の重要性が認識され、この分野では、域内協力拡大の余地のあることが強調された。
(3) 今年度の特別議題「農村地域の開発問題」が審議され、農村開発の必要性が指摘されるとともに、人口増加および所得増加による食糧需要増加に対処するため農業生産の拡大を優先し、同時に各国政府は農村開発を単独に扱わず、農・工業両部門のバランスのとれた成長を達成することにねらいを置くべきことが提案された。
(4) 「広報委員会」は、一九六六年以降には、その活動範囲を拡大し、経済成長促進に関する対援助国広報活動を行なうよう勧告された。
(5) アフガニスタンおよびマルディブ諸島がはじめて正式加盟国として協議委員会会議に参加した。
(6) 第一七回コロンボ計画協議委員会会議をカラチで開催したい旨のパキスタン政府の招請が受諾された。
(アジア生産性機構(APO)を通ずる技術協力)
アジア生産性機構は、一九六一年五月アジア諸国の生産性の向上を目的として設立された国際機関であって、加盟国は、中華民国、インド、韓国、ネパール、パキスタン、フィリピン、タイおよび日本の八カ国ならびに香港である。
APOは、調査、訓練、助言、視察などの形で技術協力を行なう。加盟国各一名の政府代表理事によって構成される理事会が最高機関であり、事務局は東京におかれている。
APOは、一九六三年末マニラにおいて開催された第四回理事会会議の決定に基づき次のような第四年度(一九六四年一月一日より十二月三十一日まで)の事業計画を実施した。
(1) 各国生産性機関代表者会議
加盟各国の生産性本部その他同種機関の上級職員および専門家が、知識、経験を相互に交換して、今後のAPOの事業計画の詳細を討議するもので、その第四回会議が、一九六四年四月六日より九日までフィリピンのバギオで開催された。
(2) 研 修 課 程
域内諸国の研修員に対し、生産性向上に必要な技術研修を主として日本で行なうもので、わが国においては中小企業指導者養成講座および機械予防保全訓練の二課程が実施さたほか、奨学金による研修が二十五件実施された。
(3) 専門視察団の派遣
窯業および資材管理二チームが日本、韓国、インドを訪問し窯業の実情を視察した。
(4) 技術専門家派遣
専門家を短期間提供して、加盟国内の生産性機関および関係者に技術的助言を与えるもので、工業意匠、合板製造、など九件に日本人専門家が派遣された。
(5) 技 術 相 談
生産性向上に必要な技術上の相談を受け、回答を与えるもので、石鹸製造工場など十二件の加盟諸国からの相談にわが国から所要の回答を行った。
(6) 調査活動および翻訳
事務局で生産性向上に必要なケース・スタディ、範例蒐集、訓練施設総合目録作成、生産技術などの調査を実施したほか、生産性関係文献の翻訳を行ない、関係者の利用に供した。
(7) 広 報 活 動
事務局で機関誌の刊行、視聴覚用教材の作成、PR資料の配布、未加盟国の加入勧誘等を行なった。
(8) セミナーおよびシンポジウム
貿易促進の方法と技術、企業診断開発および銀行経営など十二のセミナーとアジア地域中小企業開発等の三つのシンポジウムがそれぞれ開催された。
なおわが国は、APOの育成強化に資するため、第四年度には、五九、○○○ドルの分担金のほか、六五、○○○ドルの特別拠出金を支出した。
APOの第五年度事業計画は、一九六四年十二月に東京で開かれた第五回理事会会議で決定されたが、この事業計画も大体第四年度と同様の内容となっている。