大洋州地域

1 在豪日本人戦没者墓地の整備完成

オーストラリアのニュー・サウス・ウエルズ州カウラにおける在豪日本人戦没者墓地の整備作業は、在豪英連邦墓地委員会の協力を得て一九六三年度より実施中であったが、一九六四年十一月にその整備作業を完了した。

整備作業は、カウラ墓地に豪州各地から集結された遺体を同墓地の既埋葬形式と同様各遺体別に改葬し、各埋葬者毎にブロンズ製ネーム・プレートを取り付け墓地内に墓石(碑名は椎名外務大臣が揮毫し、在豪日本人戦没者之墓とした)を建立し、墓地全域を囲む柵を設けた。

なお、同年十一月二十二日同墓地において、墓地整備完成を記念し、在豪日本人戦没者慰霊祭を開催した。

慰霊祭には在留邦人代表、豪側官民及びカウラ市民多数が参列し、また、根本欧亜局参事官が外務大臣の追悼の辞を代読し戦没者の冥福を祈った。

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2 日豪租税条約締結予備交渉

日豪租税条約(二重課税防止を主たる目的とする条約)締結のための予備交渉が一九六四年四月二十日から同三十日まで東京で開催された。

これは、専ら予備的な話し合いで、主として、両国の租税制度に関する情報の交換並びに、自由な意見の交換を行なった。

次回交渉の時期及び場所については未定である。

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3 本邦漁船のニュー・ジーランド領海侵犯事件

一九六三年八月ニュー・ジーランド近海において、本邦漁業会社が試みた母船式鯛はえなわ漁法が好成績を収めて以来、同海域における鯛漁業に出漁する本邦漁船が増加し、加えて鯛は沿岸に近接する程漁獲率が高くなる傾向があり、このため一九六四年一月以降本邦漁船の領海侵犯容疑事件の発生を見るにいたり、同年二月一日ニュー・ジーランド外務省より口上書をもって本邦漁船の領海侵犯を抗議してきてから一九六五年二月末までに、同政府から正式抗議通告を受けること七回計九隻に及んだ。

ニュー・ジーランド政府は本邦漁船による同国領海侵犯事件の頻発を重視し、わが方に対し再発防止の保証を求め、また侵犯船をだ捕する旨警告してきたが、ホリオーク首相は海空軍及び漁業関係者による領海附近の外国船の監視を強化し、また、度重なる本邦漁船による領海侵犯はニュー・ジーランド国民の対日感情を刺戟し、両国の友好関係を害なうものであるとしわが方の厳重な再発防止措置を要請してきた。

外務省より累次に亘り水産庁に対して再発防止のための取締りの一層の強化を要請した結果、水産庁は、関係業者及び、出漁船に対し随時厳重な警告を行ってその自粛操業を要請するとともに、昭和三十九年十月二十一日農林省令の一部改正を行ない、ニュー・ジーランド領海を立入禁止区域と指定(同年十一月六日)し、違反船に対する罰則規定を設け、また、同年十一月より十二月にかけて監視船東光丸をニュー・ジーランド近海に派遣し、同海域に出漁中の本邦漁船の監視及び操業指導を行なった。

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4 要人の来日

(1) ハナン・ニュー・ジーランド法務大臣の訪日

ハナン・ニュー・ジーランド法務大臣は夫人を伴ない、国連総会の帰途一九六四年十二月十八日から同二十二日まで日本を訪れた。

同大臣は滞在中佐藤総理大臣、椎名外務大臣及び船田衆議院議長を表敬訪問した。

(2) ポートリッジ豪国防相の訪日

オーストラリア連邦のポートリッジ国防相は、東南アジア諸国訪問後米国に赴く途次一九六五年二月四日から同七日まで夫人を伴ない、わが国を訪れた。

この間同大臣は佐藤総理大臣、椎名外務大臣及び小泉防衛庁長官を表敬訪問した外、防衛庁幹部と会談した。

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