七 情報文化活動の大要
近年における交通、通信網の飛躍的発展は、この地球をますます狭いものとするとともに、諸民族の運命をいよいよ一体化するに至っている。
われわれはもはや外に向かって、"われひとりよし"として孤高のからにとじこもることはできないと同時に、内に向かい外交は一部特権階級の特種技術であるとする独善的態度をとることも許されない。
外交はすでに全国民の日常生活の一部となってきている。
このような意味合いにおいて、情報文化局においては、まず国内に対し、国民各位が絶えず生成流転を続ける複雑な国際情勢の中にあって、わが日本の位置づけをしっかりと把握できるよう、適確なる判断資料を提供するとともに、国民の生活に直接影響する国際関係、例えば経済面における多数国間あるいは特定二国間の関係の動向についても、迅速かつ正確な情報を提供するため、苦心を重ねている。更に、国外に対しては、わが国の政治、経済、文化その他あらゆる生活活動、精神活動の各部門につき正しい姿、あるべき姿につきできるだけ広範囲に、また詳細に知らせるため各種の手段を講じてわが国に対する諸国民の理解と親近感の醸成に努めている。
これら対内、対外の広報文化活動は、日本の国際的地位の向上とともに、ますますその必要性が高まってきており、情報文化局は限られた予算の中で最大限の成果をあげるため真しな努力を続けている。
通信報道機関との協力
情報文化局は、外務省内に常駐している霞クラブ(国内通信新聞一三社とNHK)、民放クラブ(民間放送二〇社)のほか、外国特派員協会(通信社二八、新聞社八○、放送会社一五)と常に密接な協力関係を保っていることは勿論であるが、随時来日する外国報道関係者に対しても世界の動きに対する日本政府の考え方を明らかにするよう努めている。この協力は記者会見やブリーフィングによるほか文書の配布によっており、この一年間に配布文書は日本文で二六三(大臣談二、情報文化局長談七、情報文化局発表七一、記事資料一四三、コミュニケ一五、演説文二五)英文で五四(情報文化局長談一、情報文化局発表五、コミュニケおよびステートメント三四、演説文一四)にのぼっている。
また国内報道機関の取材班外国派遣は年々増加しているが、この取材班に対しては在外公館を通じて極力便宜をはかっており、この一年間に便宜供与の件数は九六(新聞五四、テレヴィ四一、雑誌一)の多数にのぼっている。
なお情報文化局は、共同、時事、AP、UPI、AFPの通信をテレックスにより常時受信し、世界情勢の動きをいちはやく捉え必要な研究、分析を行い国際的重要問題について政府の速かなる態度の決定に大きな役割を演じている。