アフリカ諸国(北アフリカ諸国を除く)

 

1 アフリカ諸国との貿易の現状

一九六三年のわが国のサハラ以南のアフリカ諸国向け輸出は四億二、一八○万ドルである。これはリベリア向けの便宜置籍船輸出一億二、八八○万ドルを含むので、これを除けば輸出額は二億九、九〇〇万ドルとなり、前年の二億五、○○○万ドルに比し一九・六%の増加を示し、前年の増加率七%に比し大幅な増加であったが、これは主として対南ア輸出の増大によるものである。他方、輸入は二億二、九〇〇〇万ドルで前年の一億九、一〇〇万ドルに比し一二%の増加にとどまった。主要な貿易相手国はスターリング地域に属する諸国であり、輸出先としては、南アフリカ(八、○○○万ドル)、ナイジェリア(七、四〇〇万ドル)、ケニア(二、九〇〇万ドル)、ガーナ(二、三〇〇万ドル)が大きく、輸入先としては南アフリカ(一億二、九〇〇万ドル)、ローデシア・ニアサランド連邦(三、一〇〇ドル)、ガーナ(一、一〇〇ドル)が大きい。

対アフリカ輸出の問題点は、南アを除き最近数年間における輸出の伸びなやみである。すなわち一九五九年まで輸出増加率は一〇%を超えた年が多かったが、以来殆んど七%程度の増加にとどまっている。この原因はアフリカ諸国の主要な輸出産品たる第一次産品特に農産品の国際価格の低下により生じた外貨不足、国内産業保護または財政収入の確保を目的とした関税引上げあるいは輸入制限の強化等が原因となっている。特にわが国の場合はアフリカ向け総輸出の七〇~八○%が繊維品の輸出で占られているのに、主要な輸出先である南アフリカ、ナィジェリア、ガーナ等諸国においては繊維産業の目覚しい発展がみられ、国内生産量の増大とともに繊維品の輸入は関税引上げ、輸入制限を受けている。したがってわが国としては、今後機械類等の輸出の増加に努めるなど輸出品の多様化に努めるほか、繊維品については企業の進出も積極的に考慮する必要がある。

対アフリカ輸出の第二の問題は、片貿易問題である。南アフリカとローデシア・ニアサランドを除き、アフリカ諸国の大部分についてわが国の貿易は著しい出超を示しており、中でもナイジエリアの場合は十二対一の出超となっており、一九六三年八月片貿易を理由としてナイジェリアは繊維品の対日輸入制限を実施した。かような片貿易を是正するためにはアフリカ諸国の第一次産品の買付を更に強化する必要があり、わがとしてもその輸入促進策を鋭意検討中である。

第三の問題は対日差別の問題である。ガーナは一九六三年三月、ローデシア・ニアサランド連邦は八月、それぞれ貿易取決め締結を契機として対日ガット第三十五条援用撤回を実施した。しかし他の諸国は原則として対日差別は行なっていないものの、依然わが国に対し第三十五条を援用しているので、その撤回を今後も図る必要がある。更にスターリング地域以外の旧仏領等の諸国は関税上、輸入制度上、わが国産品に対して差別待遇を行なっている関係上、わが国のこれら地域向けの輸出は現在のところ微々たるものにとどまっている。したがってこれら諸国の対日差別待遇の撤廃を図ることが輸出促進のための先決問題であるので、政府は、ギニア、マダガスカル、トーゴーと貿易取決め締結を行なったほか、その他諸国とも貿易取決めの交渉を進めている。

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2 ナイジェリアの対日輸入制限問題

一九六三年八月二十二日、ナイジェリア政府は綿繊物等繊維品の対日輸入を従来の一般包括輸入許可制(OGL)から個別ライセンス制の下におく措置をとった。

ナイジェリアがかかる対日輸入制限措置をとるに至った最大の理由は、わが国とナイジェリアとの貿易が数年来極端なわが国の出超となっており、特に一九六二年来片貿易が激化した結果、同国内、特に議会方面において片貿易是正の要求が高まったためである。(一九六一年わが国の輸出七、三五八万ドル、輸入九五五万ドル、一九六二年輸出六、四四九万ドル、輸入五二五万ドルで、約十二対一の片貿易となっている。)

わが方はかねてナイジェリア産品買付促進につき、政府としてとり得べき措置を検討し、一九六一年十二月業界代表二十名の専門家から成る一次産品買付調査団を現地に派遣する等、関係業界にも強く働きかけてきたが、ナイジェリア一次産品の大部分はすでにわが国では輸入自由化されており、商業べ-ス上割高なナイジェリア産品の輸入増大が極めて困難な実情にある。

ナイジェリアはわが国にとって、南アに次ぐアフリカ最大の輸出市場であり、繊維品は輸出の約七〇%を占め、特に綿織物市場としてはオーストラリア、香港に次ぐ大市場であるので、今回の措置の運用如何によってはわが国の輸出は大きな打撃を受けることとなる。このため政府としてはナイジェリア産品特に綿花、落花生、ココア豆、綿実の買付増加につき業界の協力を得て対策を講じており、一九六三年十一月綿花一万俵につきとりあえず輸入契約を行なった。

経済協力の促進についても鋭意検討を進めており、一次産品買付促進とあいまって、将来の市場確保を図るためナイジェリア政府と交渉中である。

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