大洋州諸国
わが国の大洋州諸国との貿易は、わが国が同地域から工業用原材料、食糧などを大量に輸入し、主として繊維、雑貨などを中心とする工業品を輸出する貿易構造となっている。近年はとくにわが国の高度経済成長にともない、原材料の輸入が活発であるので、貿易尻は恒常的にわが国の大幅な入超となっている。一九六三年のオーストラリアおよびニュー・ジーランドとの貿易額は輸出が前年の一億八、〇〇〇万ドルから二億二〇〇万ドル(一三%増)、輸入も前年の四億九、三〇〇万ドルから五億六、九〇〇万ドル(一六%増)となった。したがって入超幅は、輸出が増大したにもかかわらず前年の三億三、三〇〇万ドルから三億六、九〇〇万ドルへと増加した。
輸出増加の主な原因は同地域向に繊維品(とくに綿織物)、雑貨類、鉄鋼、機械類などの輸出が好調であったためである。一方輸入の増加が輸出の増加を上まわった主な原因は、羊毛を筆頭に原材料の買付が増加したことによる。
わが国としては、地理的にみても、また、その所得水準からみても、オーストラリア、ニュー・ジーランド両国は有望な市場であると考えられるので、今後は従来の軽工業品中心から重工業品の輸出増大を図り、片貿易を是正するべく努力しているが、最近ではオーストラリア向け自動車輸出も前年に比して約四倍の一、四五〇万ドルに増大しているのは注目に値いしよう。
2 オーストラリアの綿織物等に対する関税引上問題および暫定関税問題
オーストラリアは、一九六二年十月、輸入をほとんど自由化するに至った結果、国内産業の保護は、主として関税に依存することとなった。このため最近日本にとって関心の強い品目についても次々に関税引上が問題となり、関税委員会において関税引上の要否審査の対象とされている。とくに現在綿織物全般についての保護措置の必要性の要否、保護のための手段、関税による場合の関税水準に関し審査が行なわれており、そのため一連の公聴会が開催された。綿織物はわが国対豪輸出額の三二%(一九六二年)を占める重要品目であることに鑑み、わが国政府および関係業界は代表者を現地に派遣しオーストラリア綿業界の大幅な関税引上要求が、日豪通商協定の精神に反するし、またガット及び綿製品長期国際取決めの規定および精神にも背くと認められる点等を指摘し、とくに六四年二月キャンベラにおける公聴会においては関係業界が一丸となり強力な反対陳述を行った。また、綿織物と共に、わが国の重要輸出品目である化合繊織物についても、同年三月および四月にそれぞれ公聴会が開かれるところ、これについてもわが関係業界は十分の対策を検討し、引上反対の主張を明かにすることとなっている。