六 国際文化の交流

1、文化交流の現状

わが国の国際文化交流は、民間交流を中心に活発に行なわれており、政府はこれを援助奨励するほか、政府自身も直接事業を行なっている。昨年中に行なわれたこれら交流事業のうち主なものは次のとおりである。

美術関係

一九六〇年

 一月 埴輪米国巡回展開催(一月より十月までワシントン、ニュー・ヨーク、シカゴ、シアトル、サン・フランシスコで開催)

 一月 棟方志功版画欧州巡回展開催(一月より一九六一年三月までイタリア、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、ポーランドで開催)

 二月 中南米巡回現代日本絵画展開催(二月より十二月までアルゼンティン、ブラジル、ペルーで開催)

 四月 トルコ古代美術展開催(四月より六月まで東京、大阪、名古屋で開催)

 五月 エル・サルヴァドル現代絵画展東京開催

 六月 鉄斎カナダ巡回展開催(六月より一九六一年三月までヴァンクーヴァ、ウイニペック、レジャナ、グレート・ヴィクトリア、オタワで開催)

 六月 第三〇回ヴェニス・ビエンナーレ国際美術展参加(六月より十月までヴェニスで開催)

 十月 二十世紀フランス美術展開催(十月より一九六一年一月まで東京、大阪で開催)

十一月 ブラジル国際児童美術展参加(十一月より十二月までリオ・デ・ジャネイロで開催)

十一月 第二回東京国際版画ビエンナーレ展開催(十一月より一九六一年二月まで東京・大阪で開催)

十二月 オーストリアのツェントローパ社国際児童画展参加

一九六一年

 一月 イタリア現代彫刻展開催(一月より三月まで東京、福岡で開催)

 一月 ル・コルビジェ東京展開催

 一月 カラチ国際児童絵画展参加(一月より三月までカラチで開催)

 二月 スペイン現代絵画展東京開催

 二月 第四回国際現代美術インド国内巡回展参加

 二月 印度シャンカー誌国際児童画展参加(ニューデリーで開催)

 三月 パキスタン古代文化展開催(三月より五月まで東京、名古屋、、大阪で開催)

映画関係

一九六〇年

 七月 第十回ベルリン国際映画祭(西独)参加

 七月 第八回サン・セバスチアン国際映画祭(スペイン)参加

 七月 第十二回カルロヴィ・ヴァリィ国際映画祭(チェッコ)参加

 七月 ヴァンクーヴァー映画祭(カナダ)参加

 八月 ストラトフォード映画祭(カナダ)参加

 八月 第二十一回ヴェニス国際映画祭(イタリア)参加

 八月 モスクワ日本映画会開催(ソ連)

 九月 日米修好通商百年記念巡回日本映画会(シカゴ、ニュー・オルリンス、ヒューストン、サン・フランシスコ、ロス・アンゼルス、シアトル、ポートランドで開催)

 九月 第三回ベルガモ国際美術映画コンクール(イタリア)参加

 九月 第五回コーク国際映画祭(アイルランド)参加

 十月 第九回トレント山岳探険映画コンクール(イタリア)参加

 十月 第四回サン・フランシスコ国際映画祭(米)参加

 十月 第七回国際短篇映画祭開催(十月より十二月まで東京ほか主要五〇都市で開催)

十一月 第四回対外啓発映画コンクール東京開催

十一月 第二回国際アマチュア映画コンクール東京開催

一九六一年

 一月 第二回マルデルプラタ国際映画祭(アルゼンティン)参加

 二月 第七回オーベルハウゼン西独短篇映画祭(西独)参加

 二月 第十七回コルティナ・ダン・ペッツォ国際スポーツ映画コンクール(イタリア)参加

 三月 第八回アジア映画祭(フィリピン=マニラ)参加

音楽関係

一九六〇年

 一月 ピアニスト、エヴァ・ベルナトーヴァ(チェッコ)来日

 一月 朝比奈隆 北西ドイツ放送局オーケストラ、デュイスブルグ市立オーケストラおよびスロヴァキアン・フィルハーモニー(チェッコ)客員指揮のため訪欧

 二月 砂原美智子のフィリピンにおける独唱会開催

 二月 ピアニスト パーベル・セレブリアコフ(ソ)来日

 二月 ヴァイオリニスト イーゴリ・オイストラッフ(ソ)来日

 二月 テノール歌手 レスリー・チャバイ(米)来日

 二月 ピアニスト ダニエル・エリクール(米)来日

 二月 国立ウィーン・アカデミー合唱団来日

 二月 第六回ショパン国際コンクールへピアニスト小林仁派遣(第十二位)

 二月 ピアニスト リシャルド・バクスト(波)来日

 三月 日本フィルハーモニー交響楽団渡欧計画のため指揮者渡辺暁雄派遣

 三月 藤田梓(ピアニスト)の台湾における演奏会開催

 三月 指揮者 オイゲン・ヨッフム(独)来日

 四月 米国空軍交響吹奏楽団来日

 四月 ソプラノ歌手 マリア・シュターデル(スイス)来日

 四月 ハーピスト ニカノール・ザバレタ(西)来日

 四月 ボストン交響楽団(米)来日

 四月 パガニーニ絃楽四重奏団(米)来日

 四月 チェッコ国立室内管絃楽団(チェッコ)来日

 四月 ピラール・ロペス・スパニッシュ・バレエ団(西)来日

 四月 ジャン・ルイ・バロー劇団(仏)来日

 四月 チェッコ・トリオ(チェッコ)来日

 四月 ヴァイオリニスト ルッジェロ・リッチ(米)来日

 四月 チェリストベルナール・ミシェラン(仏)来日

 四月 日・白文化交流演奏会開催

 四月 ロス・アンゼルス「二世ウィーク」へ歌手ペギー葉山派遣

 五月 チェッコ国際音楽コンクールへソプラノ歌手中沢桂派遣(第三位)

 六月 指揮者 ラインハルト・ピータース(独)来日

 六月 ダーク・ダックス等のソヴィエトにおける演奏会開催

 七月 ヴァイオリニスト アルフレッド・アンポーリ(英)来日

 七月 流行歌手 ハリー・ベラフォンテ(米)来日

 七月 女流指揮者 エセル・スターク(加)来日

 八月 東京都とローマ市との日伊交歓放送音楽会開催

 八月 スペインの国際音楽講習会へ参加

 九月 ソチェタ・コレルリ合奏団(伊)来日

 九月 指揮者 イゴール・マルケヴィッチ(仏)来日

 九月 ヴァィオリニスト ハリダ・アフチャモワ(ソ)来日

 九月 ピアニスト ニキタ・マガロフ(スイス)来日

 九月 ピアニスト アナローザ・タデイ(伊)来日

 九月 NHK交響楽団の海外(英国、フランス、イタリア、ドイツ、ソヴィエト、チェッコ、ユーゴー、ポーランド、スイスインド、米国)演奏旅行

 十月 ソプラノ歌手 タマーラ・サローキナ(ソ)来日

 十月 ウィーン・コンツェルト・ハウス絃楽四重奏団(墺)来日

 十月 ABC交響楽団の海外(スイス、ドイツ、ルクセンブルグ、ベルギー、オランダ、オーストリア、イタリア)演奏旅行

十一月 在リマ(ペルー)日秘音楽協会、日本現代音楽会開催

十一月 ピアニスト ルドルフ・ゼルキン(米)来日

十一月 ヴァイオリニスト ステファン・ルーハ(ルーマニア)来日

十一月 チェリスト ヤーノシュ・シュタルケル(米)来日

十一月 ピアニスト パウル・バドゥラスコダ(墺)来日

十一月 ソプラノ歌手 佐々木成子の西独ゴーテスベルクにおける独唱会開催

十二月 シャンソン歌手 イヴェット・ジロー(仏)来日

十二月 トリオ・ロス・パンチョス楽団(メキシコ)来日

十二月 指揮者 アルウイド・ヤンソンス(ソ)来日

十二月 イスラエル・フィルハーモニック交響団来日

一九六一年

 一月 アート・ブレーキー楽団(米)来日

 一月 東京都とパリー市との日仏交歓放送音楽会開催

 一月 指揮者 ヴァツラフ・スメターチェック(チェッコ)来日

 一月 ピアニスト フランチシェック・ラウフ(チェッコ)来日

 二月 朝比奈隆、スロヴァキアン・フィルハーモニー交響楽団(チェッコ)シェゲド市立交響楽団(ハンガリー)ザグレブ放送交響楽団(ユーゴースラヴィア)北ドイツ放送交響楽団客演指揮のため渡欧

 二月 ピアニスト ヴィトルド・マルクジンスキー(亜)来日

 二月 ピアニスト 藤田梓の台湾における演奏会開催

 三月 ピアニスト アダム・ハラシェビッチ(チェッコ)来日

演劇および舞踊関係

一九六〇年

 二月 アレグリアス舞踊団(西)来日

 三月 マゾフシェ大合唱舞踊団(波)来日

 五月 レニングラード・バレエ団(ソ)来日

 六月 歌舞伎のアメリカ公演(六月より七月までニュー・ヨーク、サン・フランシスコ、ロス・アンゼルスで公演)

 十月 イスタンブール国際学生演劇祭参加

十二月 東南アジア巡回日本舞踊団公演(十二月より一月までヴィエトナム、カンボディア、ビルマ、パキスタン、インド、セイロンで公演)

十二月 東宝舞踊団の英国公演

その他催物

一九六〇年

 一月 「母をたたえる」世界児童画展開催(東京ほか主要都市で開催)

 六月 「日本と北米との文化交流」に関する懸賞論文を米・加両国で募集

 六月 東南アジア巡回日本学童生活展開催(六月より十月まで、タイ、ビルマ、インド、パキスタン、セイロンで開催)

 十月 セイロン盲唖者福祉展参加

十一月 ローマ国際菊花大会参加

一九六一年

 二月 東北民芸「こぎん刺」展パリ開催

スポーツ交勧

一九六〇年

 一月 ペルー・フットボール職業選手団の来日

 一月 第一回アジア・バスケットボール選手権大会へ参加

 一月 メルボルンにおける日・濠間の競馬交歓へ野平騎手参加

 二月 日本オリンピック・アイス・ホッケー・チームのカナダ往訪

 二月 米国スクォヴァレーの冬期オリンピック大会へ参加

 三月 BCレベルストーク(カナダ)の国際スキー・ジャンプ大会へ参加

 三月 ヴァンクーヴァーにおけるスケート世界選手権大会へ参加

 四月 デ杯東洋ゾーン日本対韓国試合東京開催

 四月 デ杯東洋ゾーン日本対フィリピン試合マニラ開催

 六月 パリの国際体操連盟理事会へ参加

 六月 大阪市立大学によるヒマラヤ・ランタン・ヒマール登山

 七月 マラヤ庭球選手権大会に参加

 八月 インド・パンジャブ婦人親善隊によるインド往訪

 八月 京都大学学士山岳会のヒンズークシュ・ノーシャック登山

 八月 ローマ・オリンピック大会へ参加

 八月 日本サッカー・チームのソヴィエト、チェッコ往訪

 九月 日本バレーボール・チームのインドネシア往訪

 九月 八幡ラグビー・チームのカナダ遠征

 十月 ブラジルにおける世界バレーボール男女選手権大会へ参加

 十月 第六回日米野球大会東京開催

 十月 コシチ(チェッコ)のマラソン大会へ参加

十一月 大阪大学のマナスル・ピーク二九峰登山

十二月 マイアミにおける世界ジュニア庭球選手権大会へ参加

十二月 古河電工サッカー・チームの東南アジア派遣

十二月 インドネシア庭球選手権大会へ参加

十二月 朝日国際マラソン大会(東京)に外国マラソン選手参加

一九六一年

 一月 香港、シンガポール、マニラにおけるオープン・ゴルフ・チャンピオンシップにプロ・ゴルファ派遣

 二月 フィリピン庭球選手権大会へ庭球選手派遣

 二月 香港および台湾における親善試合に日本代表住友金属バレーボール・チーム派遣

 三月 米国ホッケー・チームの来日

 三月 ドルトムント(西独)のハンドボール世界選手権大会に日本代表団派遣

 三月 リスボン体操クラブに日本人体操教師派遣

造園関係

一九六〇年

 五月 日加協会よりヴァンクーヴァBC大学へ日本庭園建設資材等寄贈

 五月 対米貿易合同委員会より在米日本大使館へ茶室および日本庭園寄贈

十一月 カルガリ園芸協会(カナダ)へ桜苗木寄贈

十二月 東京都よりパキスタンのギルギッド市へ桜苗木寄贈

十二月 東京都よりイタリアのミラノ、フィレンツェ、タラ三都市へ桜苗木寄贈

学術調査団派遣

一九六〇年

 一月 神戸大学中部アンデス探検隊派遣

 四月 東京大学アンデス地帯学術調査団派遣

 四月 明治大学アラスカ学術調査団派遣

 四月 早稲田大学アラスカ学術調査団派遣

 四月 北海道大学アラスカ氷河調査隊派遣

 四月 東京大学イラク、イラン遺跡調査団派遣

 四月 東京大学西アジア洪積世人類遺跡調査団派遣

 六月 京都大学トンガ探検隊派遣

 七月 京都大学イラン、アフガニスタン、パキスタン学術調査隊派遣

図書展示および寄贈

一九六〇年

 一月 英文日本紹介図書四〇〇冊によるカナダ移動図書展示の開催

 二月 日本紹介図書五〇点によるデンマーク六大都市巡回図書展の開催

 二月 ヴァチカン市プロパガンダ・フィデ神学校の日本図書室へ五九〇冊の邦文図書を寄贈

 三月 英国科学博物館へ本邦出版科学関係図書一〇二冊を寄贈

 三月 タイ国チュラロンコン大学等主要六図書館へ英文日本関係図書一〇〇冊を寄贈

 四月 メキシコ市日墨会館備付日本紹介図書二七七冊を寄贈

 四月 チェッコスロヴァキア政府に対し日本紹介図書四四五冊を寄贈

 八月 フィリピン大学アジア研究所に対し同所日本部門資料として日本図書一五三冊を寄贈

一〇月 サン・パウロの日伯文化普及協会へ図書一、一〇〇冊雑誌四五四冊を寄贈

一九六一年

 二月 パキスタン国立リアカート記念図書館へ日本紹介図書二五一冊を寄贈

 三月 パキスタン・ラホール市日本パキスタン協会へ日本紹介図書一二〇冊を寄贈

 三月 ドイツ・ハンブルグ大学およびベルリン大学へ日本文学国語関係図書各一五〇冊を寄贈

 三月 ニュー・ジーランド・クリスチャーチ市カンタベリー図書館へ日本紹介英文図書四一冊を寄贈

 三月 イラン国総理府に対し、生花、庭園等日本文化関係図書一三冊を寄贈

 三月 フランス大学都市日本館へ諸橋大漢和辞典(十三巻)大仏和辞典(一巻)を寄贈

人物交流

外務省招へい文化人

一九六〇年

 一月 アルゼンティン・ツクマン大学学長 オーゼニオ・フラビオ・ビルラ氏夫妻の来日

 二月 英国人画家 ジョン・スペンサー・チャーチル氏の来日

 三月 ユーゴースラヴィアのスロヴェニア作家協会会長 ウラジミール・パウシッチ氏の来日

 五月 ローマ大学学長 U・パーピ氏の来日

 十月 大英博物館東洋部長 ベイシル・グレイ氏夫妻の来日

 十月 ニュー・ジーランド大学総長 サー・ディヴィッド・スミス氏の来日

 十月 ニュー・ジーランド美術館財団総裁ゴードン・ギブス・ワトソン氏夫妻の来日

十二月 メキシコ人作家 エミリオ・カルバリード氏の来日

十二月 チリ日本学校音楽教師 ハビエラ・ペレダ女史の来日

一九六一年

 三月 ブラジル・サン・パウロ社会政治学院長 シーロ・べーリンク夫妻の来日

 三月 ドイツ連邦共和国フランクフルト日独協会長 カール・クノル氏の来日

 三月 パキスタン・日パ文化協会長ハビブ・イブラヒム・ラヒムトゥーラ氏、および、全パキスタン婦人協会事務局長ラヒムトゥーラ夫人の来日

 三月 イラン体育協会副会長兼事務局長 ハジ・アジミ氏の来日

外務省派遣文化人

一九六〇年

 一月 大阪工業大学日本美術史学教授森暢氏を欧米十四カ国に派遣

 二月 東京学芸大学助教授川村禎三氏ほか二名を柔道講師として欧州、中近東、東南アジア各国に派遣

 四月 京都大学文学部教授遠藤嘉基氏(国文学)を西ベルリン自由大学に日本語および日本学の講師として派遣

 五月 茶の湯師匠裏千家千宗興氏を日米修好百周年記念事業の一環としてアメリカ合衆国に派遣

 六月 東京教育大学理学部助教授関口武氏(地理学)をブラジル大学に地理学教授として派遣

十二月 在米中の東京大学社会科学研究所鵜飼信成教授を日米修好百周年記念事業の一環としてコロンビア大学における記念講演のため派遣

一九六一年

 一月 大阪大学医学部教授、大阪大学附属癌研究所長久留勝氏をアラブ連合共和国に派遣

 一月 東京大学教授前東洋文化研究所長飯塚浩二氏をインド、パキスタン、イラン、レバノン、トルコに巡回派遣

 一月 工学院大学建築学助教授天野太郎氏をトルコ中近東工科大学に派遣

各種団体による交流

一九六〇年

 四月 世界教育者会議アジア会議出席者三名の欧米各国科学技術教育事情視察

 五月 マニラ連邦青年クラブ代表十二名の来日

 六月 世界教育者会議アジア会議出席者の欧米各国女子教育事情視察

 八月 総理府中央青少年問題協議会の日本青年海外派遣計画による青年代表十六名の中南米各国への派遣

 八月 同右ヨーロッパ班十五名の欧州各国への派遣

 八月 日独青少年交歓事業計画による青少年団二十三名代表の訪独

 八月 ストックホルムにおける第十一回世界歴史学会議にわが国代表二十一名の出席

 九月 ユネスコ・アジア地域勤労青年交換計画による日本青年団体協議会代表四名のインド訪問

 九月 総理府中央青少年問題協議会の日本青年海外派遣計画による青年代表二十六名のアメリカ合衆国訪問

 九月 ソヴィエト連邦青年団体委員会の招へいによる日本青年団体協議会代表五名のソヴィエト連邦訪問

 九月 文部省から海外教育事情視察団(約二十名)のアメリカ派遣

 十月 同右視察団(約二十名)のヨーロッパ各国への派遣

 十月 総理府中央青少年問題協議会の日本青年海外派遣計画による青年代表団三班(各十数名)の東南アジア各国訪問

十一月 文部省派遣の東南アジア教育事情視察団の東南アジア各国訪問

十一月 法政大学学生および教授計五名の東南アジア各国自動車旅行

十二月 シンガポール南洋大学学生十六名の卒業旅行による来日

十二月 グァテマラ・サン・カルロス工科大学学生(教授一名を含む)の卒業旅行による来日

一九六一年

 二月 文部省派遣社会教育指導者海外視察団(三名)のアメリカ合衆国およびカナダ訪問。

 二月 文部省派遣社会教育指導者海外視察団(三名)のヨーロッパ各国訪問

 三月 文部省派遣第二次東南アジア教育事情調査団(四名)のアジア各国訪問

その他・文化人等の往来

一九六〇年

 二月 ジャパン・タイムズ社長福島慎太郎氏のアメリカ新聞界、放送界等視察

 二月 チリ大学教授画家ジュリオ・エスカメス氏の来日

 四月 フィリピン・セント・パウロ大学西洋史学教授エステリータ・G・フコ女史の来日

 四月 デンマーク国立博物館東洋部長M・H・ボイヤー女史の来日

 四月 セイロン芸術家協会々長M・ビプラサラ女史の来日

 五月 ダッカ大学生化学教授カマルディン・アーマッド博士の来日

 五月 インド統計研究所のC・B・ラオ教授夫人の本邦中等教育施設視察旅行

 五月 シンガポール自治州文化大臣S・ラジアラトナム氏の来日

 六月 私立文京学園長島田依史子女史の欧米教育事情視察旅行

 六月 札幌市教育委員会教育長中島好雄氏の欧米教育制度視察旅行

 六月 カナダ・ブリティシュ・コロンビア大学日本学R・P・ドア教授の来日

 七月 フィリピン女流画家ズニ・ライゴ女史の来日

 七月 ヴェネズエラ文部省派遣によるホセ・チャウストレ教授外二名のわが国高等工業教育事情視察のための来日

 八月 インド・パンジャブ州文部次官ヤッシュ・パル氏の来日

 九月 アルゼンティンの日本・アルゼンティン協会事務局長オスワルド・スバナシーニ氏来日

 十月 インド政府教育顧問(前文部次官)サイダイン氏の来日

 十月 徳川好敏氏の日米修好百年記念および日本航空五十周年記念による訪米

十一月 日本学術会議事務局総務部長鵜飼肥佐男氏のデンマーク学術機関視察旅行

十一月 ニューヨーク・ミラー紙主催青年討論会に日本代表に成田攻氏の参加

十二月 鈴木大拙氏のインド政府招へいによるインド宗教事情調査旅行

留学生関係

日本政府の外国人留学生の招致

わが国は「国費外国人留学生招致制度」により昭和三十五年度に七十名の外国人留学生を招いている。この留学生は、学部留学生(東南アジア、中近東およびアフリカ地域諸国からの留学生のみを対象とし期間五カ年、ただし医科および歯科は七カ年)と研究留学生(期間二カ年)との二つに分かれ、ともにわが国政府から月額二〇、〇〇〇円の奨学金、ならびに東南アジアおよび中近東アフリカ地域諸国からの留学生に対して片道航空費(ツーリスト・クラス)の約半額が支給される。各国別内訳は次のとおりである。

(一) 東南アジアおよび中近東地域四九名

ビルマ三、カンボディア一、セイロン五、中華民国五、マラヤ連邦二、インド二、インドネシア三、イラン一、イラク一、イスラエル一、パキスタン六、フィリピン四、シンガポール一、タイ八、トルコ一、アラブ連合共和国一、ヴィエトナム四

(二) アメリカおよび大洋州地域十二名

オーストラリア一、ブラジル五、カナダ二、メキシコ三、アメリカ合衆国一

(三) 欧州地域九名

オーストリア二、チェッコスロヴァキア一、ドイツ二、イタリア一、連合王国二、ユーゴースラヴィア一

日米教育交換計画による米国人の招致

一九六〇年度における日米教育交換計画による米国人学者および学生等の招へいは次のとおりである。

訪問教授一五(三)研究学者七(一)英語教師八(二)大学院学生一〇(二)合計四〇(八)、なおカッコ内数字は前年度以前に来日し、滞日期間を延長したものである。

外国政府の日本人留学生の招致

一九六一年度において外国政府または準政府機関の給費生として海外に留学したわが国の学者、学生等は次のとおりである。

(一) アメリカ州および大洋州地域三七三名

オーストラリア二、ブラジル二、カナダ一八、アメリカ合衆国三五一(中一〇一名はアメリカン・フィールド・サーヴィスによる高校生の留学)

(二) ヨーロッパ州地域一七一名

オーストリア七、ベルギー二、デンマーク一、フランス六〇、ドイツ五三、イタリア一三、オランダ六、スペイン二、スウェーデン一、連合王国一二、ソヴィエト連邦一五

(三) アジアおよび中近東地域九名

アフガニスタン一、インド三、イスラエル一、パキスタン一、タイ一、アラブ連合共和国二

国際会議

一九六〇年五月 第五回東方学者会議開催

     七月 第七回国際学生会議開催

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2、在外日本関係文化団体

諸外国には、わが国との文化交流を主な目的とする団体が多く設立されている。これら団体は、各種の文化展、映画会、講演会、講習会あるいは機関誌の発行などの手段によって、日本文化の紹介を行なっており、わが国との友好親善関係の増進に貢献している。こうした団体の育成強化は文化交流促進上極めて有効なので、外務省は、在外公館を通じてできるかぎりの援助を行なっている。

とくにパリ大学都市日本館(通称薩摩会館)は、一九二七年薩摩治郎八氏によってパリ大学に寄贈されたものであるが、フランス留学中の日本人学生に宿舎を提供し、その保護に当っており、外務省は民間有識者の中から同館々長を派遣するほか(現館長は吉川逸治東大教授)建物の修理費等の援助を行なっている。

また外務省は、日伊文化交流の促進とイタリアの学術文化の研究をはかる機関として、目下ローマに「日本アカデミア」を建築中であり、一九六二年に開館される予定である。さらに、現在民間の手において、欧州における日本文化および商品の紹介、観光宣伝、ホテルおよびレストランの経営等を行なう「パリ日本館」の建設が進められている。

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