アフリカ関係

1、対アフリカ外交の推進

一九六〇年はアフリカの年と呼ばれ、新しく十七カ国の新独立国が国際政局に登場するに至った。この結果、現在同地域にある独立国の数は、北アフリカ・アラブ回教圏五カ国を含み二十七カ国(うち国連加盟二十六カ国)を算え、さらに今後とも引続き独立を達成する地域が増加する機運にある。

これらの新興独立国は、いわゆるアジア・アフリカ・グループとして相互の結束を固め、すでに国連等においても著しくその発言力を高めており、他面またわが国とこれら諸国との外交関係も深まっており、豊富な未開発資源と尨大な人口を擁する地域として経済的にもとみに重要性を増してきている。

かかるアフリカの現状に対応し、外務省としては、同地域に対するわが国外交施策の企画立案に万全を期すべく、昭和三十六年度において欧亜局に中近東・アフリカ部を、また同部にアフリカ課を新設することとし、省内関係局との相互調整をはかるとともに、必要な資料の整備、拡充につとめている。かかる見地より既設公館の強化および新設公館の拡張を図り、サハラ以南のアフリカ各地に置かれていたわが国の在外公館六館(大使館二、総領事館一、領事館三)のうち、昨年十二月二十六日在コンゴー(レオポルドヴィル)領事館および在ラゴス領事館をそれそれ大使館に昇格したほか、本年二月七日、ローデシア・ニアサランド連邦の首都ソールズベリーに総領事館を新設したが、さらに昭和三十六年度には、セネガルの首都ダカールに大使館を新設するほか別項において述べたとおり在プレトリア総領事館を大使館に昇格する予定となっており、漸次現地の情勢に対応した外交体制をととのえつつある。

なお、これらの措置と平行し、同地域に対する経済・技術協力を行なうため、わが国より各種視察団の派遣、現地要人の招聘等を鋭意推進することとしている。

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2、第二回アフリカ公館長会議の開催

昨年十月二十七、二十八両日パリにおいて第二回アフリカ公館長会議が開催された。同会議にはエティオピア、ガーナ、プレトリア、カサブランカ、レオポルドヴィル、ナイロビ、ラゴス駐在の七公館長、地元の駐仏大使館より大使、公使および参事官、在ポルトガル大使、在連合王国参事官、在ベルギーおよび在米各書記官および外務省より金山欧亜局長、北原官房総務参事官が出席し、最近のアフリカ情勢について検討するとともに、わが国の対アフリカ政策につき意見の交換を行ない、あわせてアフリカ在勤に伴なう具体的問題を検討した。

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3、トーゴー独立式典に対する特派大使の派遣

第二次大戦後の一九四六年の信託統治協定によりフランス統治下の国連信託統治地域であったトーゴーは、一九五八年十一月十四日の国連総会決議により昨年四月二十七日を期して独立を達成した。右独立式典にわが国代表の派遣方招請があったので、わが国は、アフリカの新興独立国たる同国との友好関係を樹立、増進するため、館哲二参議院議員を特派大使として派遣し、同式典に参列せしめた。

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4、コンゴー(レオポルドヴィル)独立式典に対する特派大使の派遣

ベルギー統治下にあったコンゴーは昨年一月末のベルギー・コンゴー円卓会議の決議により同年六月三十日「コンゴー共和国」として独立した。同国は独立を記念して六月三十日および七月一日の両日、首都レオポルドヴィルにおいて独立式典を挙行することになり、わが国も、今後におけるわが国とコンゴー国との友好関係ならびに通商経済関係の発展を図るため、笹森順造参議院議員を特派大使として派遣し、同式典に参列せしめた。

なおこのコンゴー共和国を同名の旧仏領たるコンゴー共和国と混同しないため国連ではそれぞれ「コンゴー(レオポルドヴィル)」、「コンゴー(ブラザヴィル)」と称しており、外務省もこの呼称を採用した。

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5、ソマリア独立式典に対する特派大使の派遣

昨年六月二十六日に英国から独立したソマリランドと、同年七月一日独立したイタリア信託統治領ソマリアは統合の上、同日をもって「ソマリア共和国」として独立した。わが国はすでに六月二十六日ソマリランドの独立と同時に藤山外務大臣から同国政府に祝電を送ったが、七月一日から四日間「ソマリア共和国」の首都モガディシォで挙行された同国独立記念式典には、在エティオピア特命全権大使徳永太郎氏を特派大使として派遣して敬意を表するとともに、同大使を通じ七月一日付で同国の独立を承認した。

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6、マダガスカル独立式典に対する特派大使の派遣

フランス共同体の構成国であるマダガスカルは昨年六月二十六日フランスとの共同宣言によりマダガスカル共和国として独立を達成し、同年七月三十日および三十一日の両日首都タナナリヴにおいて独立記念式典を行なったが、わが国に対し代表派遣方招請があったのでわが国は七月五日同国を承認するとともに、同国との友好関係を樹立増進するため、右式典にフランス駐剳特命全権大使古垣鉄郎氏を特派大使として参列せしめた。

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7、コンゴー(ブラザヴィル)独立式典に対する特派大使の派遣

フランス共同体の構成国であるコンゴーは昨年八月十五日独立し、その独立記念式典を同年十一月二十七、八の両日首都ブラザヴィルにおいて挙行したが右式典にわが国代表の派遣方招請があった。

これに対しわが国は独立と同時に同国を承認するとともに、これ等新興独立国との友好親善関係を樹立、増進するため、駐フランス特命全権大使古垣鉄郎氏を特派大使として同式典に参列せしめた。

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8、日赤医療班のコンゴー派遣

コンゴー(レオポルドヴィル)共和国動乱による医療サーヴィスの窮状を打開するため、国連事務総長の要請でWHO(世界保健機関)を経て赤十字国際委員会が同国の援助に乗り出すことになり、昨年七月末、日赤に対しても医療班のコンゴー派遣方要請があった。日赤は経費につき政府の援助を得て、日赤中央病院内科宮本貴文医学博士、同外科荒木洋二博士および外事部員渡辺晃一(通訳)の三氏をコンゴーに派遣した。同医療班はコンゴー到着後赤十字国際委員会によりレオポルドヴィル州北東部イノンゴ地方に派遣され、八月から三カ月間にわたり同地方住民の治療に当った後、十二月始め無事任務を終了、帰国した。

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