三 最近における経済協力の諸問題

1 アジア諸国との経済協力

 

(1) 経済協力の基本的態度とその方式

東南アジア諸国は、その経済構造を近代化するためそれぞれ熱意をもつて開発計画を進めているが、これに必要な資本および技術が不足しているので、意のままに進捗しない状態にある。

他方、わが国と東南アジア諸国との昨今の貿易は、わが国における米の増産、技術の革新に基づく輸入原材料の使用効率の上昇および代替品の登場、輸入品に代る国産品の増加等の事情から、わが国の輸入は、漸次減少しつつあるが、このため、東南アジア諸国の間に対日輸入を制限しようとする動きさえ生じている。このような片貿易化の傾向は元来構造的なものであり、低開発国の経済開発が進まぬ限りは一般に解消し難いものであるが、わが国と東南アジア地域との貿易も現状のままに推移すれば、さらに減少の傾向を辿らざるを得ないものと思われる。従つてわが国としては、東南アジア諸国においてわが国が輸入し得るような産品をできる限り開発するか、または何らかの方法でこれらの諸国に対して購買力を附与する以外には、同地域との貿易の増大は望み得ないと考えられる。

わが国の東南アジア諸国に対する経済協力は、これらの東南アジア諸国の政治的安定および経済的繁栄がわが国自身の政治的安全および長期的経済発展と相互に密接に関連するという認識に出発するものであるが、昨今ソ連の援助攻勢は、東南アジア諸国に対してもつとも活発に行なわれているので、わが国も自由陣営の一国として、米国その他の自由民主主義諸国、世界銀行その他の国際機関等と協調して、東南アジア諸国に対する経済協力をできる限り強化すべき立場にあると言えよう。

わが国は、すでに東南アジア諸国に対して、総額一〇億ドルに上る賠償計画を実施中であるが、さらに諸外国とともに総額七千万ドルの対印円借款および追加借款を供与し、あるいはコロンボ・プランに積極的に参加するなど、従来ともこの分野で相当の援助実績を有している。さらにわが国は、昭和三十五年度から海外経済協力基金を設置することとし、取りあえず約五十二億円の資本金をもつてこれを発足せしめることとなつている。この基金は、東南アジア地域その他開発途上にある地域の経済開発に貢献するため、その開発に必要な資金の中、日本輸出入銀行および一般の金融機関から供給を受けることが困難なものについて、その円滑な供給を図ることを目的とするものである。

このほかにも東南アジア諸国の経済開発のためには、援助受入の前提条件たる開発計画を作成することおよびその実施のための技術の不足を補うことが必要であるので、わが国としては、技術研修生の受入、技術者の派遣、技術センターの設置等いわゆる技術協力の分野でも能う限りの努力を払つている。

東南アジア諸国は、単にその経済開発が著しくおくれているばかりでなく、同地域には中南米における米州開発銀行またはアフリカにおける欧州経済共同体の開発基金等のような地域的開発援助機構も存在せず、米国の援助を除いては自由主義陣営諸国からの援助(とくに民間投資)も他の地域に比して立遅れている状態にある。そこでわが国としては、国際復興開発銀行および近い将来発足することとなつている国際開発協会(いわゆる第二世銀)等の融資の重点が、東南アジア諸地域に向けられるよう働きかけるなど、これら低開発地域の経済開発の問題が、世界的規模で解決されるように努力する方針をとつている。

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(2) 技術協力

技術協力については、わが国はコロンボ計画をはじめ、米国ICA技術援助計画ならびに国連およびその専門機関による技術援助計画に引続き積極的に協力しているが、これらの計画によりわが国に受入れられる研修生およびわが国より派遣される技術者、専門家の数は逐年増大し、しかもこれらはほとんど例外なくその所期の成果を収めている。なかんずくコロンボ計画に基づく技術援助については、わが国が同計画に加盟(一九五四年)以来すでに満五年を経ているが、昨年末までに各関係国に派遣された技術者、専門家の数は一九八名、わが国に受入れられた研修生の数は三一五名に達し、これらはいずれも内外に、その具体的効果を認められるに至つた。コロンボ計画は、発足当初とかく英連邦諸国に重点をおいているような印象を持たれたが、その後、域内非連邦諸国が次第に加盟し、現在では東南アジアのすべての国を網羅する唯一の現実的な経済協力機構となり、各国もまた積極的にこの計画の援助を求めている。

研 修 生 の 受 入

一方わが国の高度の技術水準が、派遣専門家および受入れ研修生を通じて東南アジア地域一帯に強く印象づけられ、一般にその認識が深まるに従つて、コロンボ計画に基づく援助の要請件数も累増しているが、その要請の分野も、とくに農水産、中小企業等他国の援助をもつては代え難いわが国独自の部門はいうまでもなく、土木、建築、電気通信、医療、アイソトープの応用部門等多種多様に及んでいる。

技術者,専門家の派遣

このような技術協力の重要性に対する認識と理解とが、国外のみならず国内においても深まるにつれ、このために計上される予算も年々増加している。しかしながら、限られた予算の範囲内でいかにすれば激増する各国の要請に応じ、かつこれを効果的に実施しうるか、また予算不足のため実行が伴なわぬ場合に、各国の要望と期待に背かぬためには、どのような工夫をなすべきか等が最大の問題である。従つて今後わが国の技術協力をさらに推進するためには、三つの条件、すなわち経済協力の意義についての内外の啓発、国内態勢の整備および予算の増額を効果的に実現する必要があろう。

昨年末までにおけるコロンボ計画、ICA、国連、その他の諸計画による技術協力の実績は別表のとおりである。

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(3) メコン河下流域総合開発調査

わが国は、メコン河下流域総合開発計画が、国際河川に対する国際技術協力の一例として大きな意義を有することを認め、また将来わが国がこの種総合技術の国際的進出をはかるためにも有益であると考え、国連、エカフェならびに米、英、仏、豪、カナダ、ニュー・ジーランドの諸国と共にこの援助計画に加わり、つねに積極的な協力を行なつて来た。

すなわちわが政府は、さきにメコン河下流域関係四カ国の要請に基づき、昨年一月第一次現地踏査団を派遣した(「わが外交の近況」第三号参照)。この踏査団は約三カ月に亘る現地踏査に基づいて報告書を作成し、昨年六月サイゴンで開かれた第五回メコン調査調整委員会会議に提出した。右報告書は、第一次踏査の結果の概要と、開発に有望と認められる各支流を挙げ、この開発を行なうにあたつては、より詳細な踏査、調査が必要である旨を述べたものである。

この報告書は前記委員会によつて採択されたが、その際同委員会よりわが国に対し、引続き踏査を行なつて欲しい旨の要請が行なわれた。そこで政府は右要請に応じ、昨年十二月より本年にかけ約三カ月の予定で、第二次現地踏査団を派遣し、さきに踏査の対象とした支流の中最も開発有望な数カ地点につき、より詳細な踏査を行なつた。その結果については近く正式報告書が作成される予定であるが、第二次踏査の結果、わが国の参加し得る協力分野がかなり具体的になつてきたことは、昨年十月国連特別基金がその第三回管理理事会で本件開発調査のために一三二万ドルの援助支出を決定したこととも相まち、本開発計画の一層の発展を期待せしめるものである。

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(4) 海外技術訓練センター設置

コロンボ計画によりわが国の行なう技術協力は、従来専門家の派遣、それに伴う機材の供与および研修生の受入れという方法によつてきた。しかし被援助国自体に技術研修施設を整備して集約的組織的な技術訓練を行なうことは、固より望ましいところであり、また被援助国側もそれを希望するので、わが国は、昨年度から各国に海外技術センターを設置することとなつた。この場合技術センターの設置に必要な土地、建物、研修生給与およびセンター運営費は被援助国が負担し、わが国は、センター用諸機材および技術指導要員に必要な諸経費を負担することとなり、目下左の諸計画につきそれぞれの政府と協定交渉を行なつている(インドの場合は調印ずみ)。

パキスタン農業技術訓練センター

セイロン漁業技術訓練センター

タイ電気通信技術訓練センター

インド中小企業技術訓練センター

マラヤ木工技術訓練センター

イラン工業技術訓練センター

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(5) 一九五九年度コロンボ計画協議委員会年次会議

 一九五九年度(第十一回)コロンボ計画協議委員会年次会議は、昨年十月二十六日から同十一月十四日までインドネシア共和国ジョクジャカルタにおいて開催され、加盟二十一カ国代表が出席した。同会議は、例年どおり過去一カ年間におけるコロンボ計画地域(南および南東アジア地域)の経済開発の進捗状況を討議し、あわせて加盟国が同地域に対して供与した援助の実施状況を検討した後、年次報告書(第八次)を採択した。さらにコロンボ計画の将来について討議した結果、存続期間を来年七月から引続き五カ年間延長することとし、その後の延長期間については一九六四年の協議委員会会議で審議することに決定した。また同会議は、本年度会議を本邦で開催するようにというわが国の招請を受諾した。

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(6) 民間企業による経済協力

わが国民間企業の東南アジアに対する経済協力は、合弁事業、事業提携および技術協力という三つの形態によつて進められており、現在実施中のこれら形態別経済協力の件数は、いずれも漸増の傾向にある。東南アジア諸国の多くは、第二次大戦後独立を獲得した新興国であるため、民族主義的傾向が強く、外国企業の進出に対して警戒的であるに加え、外資に対する保護も十分でなく、また企業の利潤統制政策をとつている点などからみても、一般に外資受入の環境は良好ではない。しかしながら最近の傾向としては、これら諸国も次第に外資導入の重要性を認識し、一昨年マラヤにおいては創始産業法が、インドネシアにおいては外資導入法がそれぞれ制定された。さらに昨年はパキスタンと西独との間に、またインドと米国との間にそれぞれ投資保証協定が締結されるなど、一般に投資環境を整備して、積極的に外資を受入れようとする努力がみられるので、将来はわが国民間企業の進出もかなり促進されるものと思われる。

昨年十二月末現在におけるわが国の東南アジア向け投資総額は約八一億円(約二二・六百万ドル)で、これはわが国海外投資認額約五六四億円(約一五六・八百万ドル=中南米約一八三億円=約五〇・九百万ドル、中近東約一〇・一百万ドル、その他約二六四億円=約七三・二百万ドル)の一四・三%にあたる。またわが国の民間企業が東南アジア各国の企業と提携の話合いを行ない、近く協力が実現する見込みの案件もかなりの数にのぼつている。

目下相手国側と折衝中の経済協力案件の中、主要なものの例としては、インドのルールケラ地区およびバイラデイラ地区に日印共同で鉄鉱山を開発する計画、インドネシアの北スマトラ油田開発計画、カリマンタンの森林開発計画等があげられる。

なおわが国の民間企業が東南アジアで実施している主要な経済協力の内訳は、昨年十二月末現在大要左のとおりである。

合弁事業(四一件)

インド 水産一、機械工業一、その他六、 パキスタン 工業一、 セイロン 水産一、繊維工業一、その他二、 ビルマ 水産一、その他一、 マラヤ 鉱業二、水産一、その他三、 タイ 鉱業二、機械工業一、その他二、 英領サラワク 鉱業一、 香港 水産一、その他二、 中国 水産一、繊維工業三、その他三、 カンボディア 林業一、 ヴィエトナム 工業一、 フィリピン 鉱業一、 シンガポール工業一、

事業提携(計三〇件)

ゴア 鉱業三、 インド 水産一、その他三、 セイロン 工業一、 ビルマ 水産一、 マラヤ 鉱業三、 タイ 鉱業四、 中国 鉱業一、 フィリピン 鉱業八、林業四、

技術協力(計一一四件)

ゴア 鉱業一、 インド 鉱業二、水産一、繊維工業一、機械工業六、電気五、その他一四、 パキスタン 工業一、 セイロン 水産一、繊維工業二、その他一、 ビルマ 水産二、機械工業一、建設六、その他一、 マラヤ 鉱業三、その他一、 タイ 鉱業三、建設一、その他一、 インドネシア 建設四、その他一、 ラオス 建設二、 香港 鉱業一、水産三、電気一、その他一、 中国 鉱業一、繊維工業三、機械工業六、電気六、薬品三、その他一〇、 ヴィエトナム 建設一、その他二、 フィリピン 鉱業六、水産一、電気一、建設一、 シンガポール 水産五、その他一。

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2 ラテン・アメリカ諸国との経済協力

 

ラテン・アメリカ諸国は、尨大な未開発資源を包蔵しながら、その人口は比較的少なく、しかも政情はおおむね安定している等の点で、現世紀の「フロンティア」とも称すべき地域である。而してこれら諸国は、農鉱業を主とする産業の単一性と経済の後進性から脱却するため、いずれも現在その産業の多角化ないし工業化を目的として、経済開発の諸計画を立案し、その実現に努力している。しかしながら他面これら諸国は、いずれも資本と技術との不足に悩んでいるので、自国の経済開発の目的を達成するために広くその門戸を開放し、積極的に外国の資本と技術とを導入する方法をとり、同時にこれらをできるかぎり優遇する措置を講じている。

そこで米国をはじめ英、独、仏、白、伊、蘭等の欧米諸国は、競つてこの地域に経済提携の手をさしのべるとともに、資本と技術による企業の進出をはかつている。わが国はこれらの諸国と比較すれば、地理的、距離的なハンディキャップもあり、またラテン・アメリカ諸国との政治的、文化的な結び付きも欧米諸国ほど密接でないというような多くの潜在的不利はあるが、これらの困難を克服して貿易市場を拡大し、重要原料資源の確保をはかるとともに、この地域に対してわが国の資本と技術による経済協力を活発に行なうべき時期が到来していると思われる。

わが国としてこのような経済外交を推進するためには、ラテン・アメリカ地域が有する重要性について官民の認識をさらに高めるとともに、これら諸国の政府または民間から有力者を招き、わが国の経済力、技術水準等に関する啓発を行なうことによつて、これら諸国のわが国に対する親近感を培うことが必要である。

この点に関し、最近ラテン・アメリカ諸国の有力者が相次いで訪日していること、わが巡航産業見本市がラ米諸国を回航したこと等の結果として、これらの諸国においてわが国の経済力、工業水準等に関する認識が深まつているので、わが国よりの企業進出も急速に増加しており、また技術協力も徐々にではあるが進展している。

わが国民間企業のラテン・アメリカ諸国に対する進出状況を見ると、生産事業に対する直接投資額は、昨年末現在で百三十三億円(三千七百万ドル)その件数は三六件に達しているが、右は対外民間純投資額の七一・三%、対外投資件数の四二%に当り、一件当りの投資額は、他の地域のそれに比較してより大である。

これを「わが外交の近況」第三号刊行当時と比較すると、その後一カ年間に六件二〇%の増加を示しており、その内容はメキシコとの漁業提携一件、チリの鉱業投資一件、ブラジル四件(機械一、自動車部品一、農産加工二)である。

現在進出中の企業はいずれも、着々とその基礎を固めているが、とくに代表的企業として注目されているミナス製鉄所もいよいよ建設期に入り、また石川島造船所もすでに工場の建設を開始している。またわが国の技術協力としては、未実行の分も含め昨年度は技術者の派遣二名、研修生の受入十二名であつたが、これは前年度は比して培増している。

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3 中近東諸国との経済協力

 

中近東諸国も、農鉱業を主とする産業の単一性と経済の後進性から脱却するため、産業の多角化ないし工業化等をめざして経済開発の諸計画を立案し、現在その実施に邁進している。

しかしながら中近東諸国は、一般に政情が不安定であり、この地域における欧米諸国と共産圏諸国の勢力の交錯がこれにさらに拍車をかけている。すなわち中近東を中心とするここ数年間の国際政局の動きをみれば、一九五六年のスエズ動乱、一昨年のレバノンの騒乱、イラクの革命等一連の事件を通じ、アラブ民族主義の反西欧的傾向を利用したソ連勢力の進出と自由陣営の後退、さらには最近アラブ連合共和国内におけるナセル大統領の地位の確立と同大統領の共産主義に対する反発、欧米側への接近など、政情はまことに目まぐるしい変化を見せている。

わが国の中近東諸国に対する経済協力も、このような背景のもとに考察されなければならないが、中近東地域は、政局が不安定であるほかに、その地理的歴史的環境から、伝統的に西欧の勢力が優勢であり、わが国よりの資本財の輸出が容易でないこと、第一次産品の種類が限定されており、かつ品質が劣り、また価格が割高である等のため、単に片貿易を是正するための輸入の増大も早急には期待し難いこと、また開発輸入の可能性も乏しいこと等により、従来この地域に対するわが国の経済協力も、自ら技術の分野におけるものが主体となつてきた。すなわち昨年度においては、同地域に対するわが国よりの専門家の派遣は十名、研修生のわが国への受入れは十五名に達したが、これは前年度の派遣五名受入れ四名に比すれば大幅な増加である。このほかまた中近東地域における最初の技術センターとして、イランに中小企業技術センターを設置すべきことが決定されている。なおイランに対してはわが国より道路橋梁関係および建設事業関係の二調査団が派遣されている。

次にわが国民間資本の投融資活動をみれば、まず昨年十月には、イランに東京銀行ほか十社の参加によつて日本・イラン国際銀行が設立された。ついで本年一月には、スエズ運河拡張工事のため、ニューヨーク東銀が米国の市中銀行八行とともに、世界銀行との協調融資を行なうこととなつた。さらに北米のアラスカ・パルプ、ブラジルのミナス製鉄所とともにわが国の三大海外投資事業の一として知られるアラビア石油は、本年一月下旬、試掘開始後半年にしてその第一号井から噴油を見るに至つた。

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4 アフリカ諸国との経済協力

 

アフリカ地域は、南ア連邦等一、二の国を除いてはほとんど未開発の地域が多く、その開発計画も港湾道路の建設、衛生設備の改良、教育の普及等産業開発のための基礎的環境の整備と第一次産品の開発とに重点が置かれており、しかもこれら計画の実施は、もつぱら植民地統治国の手に委ねられてきた。したがつてこれら地域からわが国に対して積極的に経済協力を求める動きは従来あまり見られなかつた。

しかしながら最近アフリカ諸地域に独立の気運が高まるにつれ、すでに独立を達成した国々はもとより、近く独立しようとする地域において、政治的経済的な自主性を確立することを目的として、広く各国に対し援助協力を求める動きが次第に活発化している。最近西アフリカのガーナおよびナイジェリアがわが国に対して経済協力を求めてきたのも、かかる気運のあらわれとみられる。

元来ガーナ(一九五七年独立)およびナイジェリア(本年十月独立予定)の両国は、わが国にとつては年間約一億ドルに達する有力な輸出市場であるが、彼我の貿易尻は全くわが国の出超であり、しかもこのようなアンバランスを調整することは、これら両国の輸出品の構成よりして早急には望みがたい実情にある。

しかしながらこれら新興国家の経済的発展に資本・技術の両面で寄与すると同時に、わが国にとつての輸出市場を維持し発展せしめる必要性が痛感されている折から、ガーナより、昨年来日した同国通商親善使節団を通じ、わが国との間に経済協力および貿易の促進を目的とする協定を締結したいとの提案があつたので、わが政府はこれに応じ、現在協定交渉の準備を進めている。さらに今後わが国がこれら両国に対して経済協力を行なうためには、まず両国の実情を把握する必要があるので、近くわが国より技術専門家数名を現地に派遣すべく、その準備をも進めている。

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