五 国際文化交流の現状

1 文化交流の現状

最近諸外国の対日関心が増大するとともに、わが国とこれら諸国との文化交流の件数ないし種類も極めて多岐にわたつているが、昨年中の主要な出来事をあげれば次のとおりである。

美 術 関 係

(イ) 四 月 「日本現代絵画欧州巡回展」開催

(ロ) 四 月 東京で「ローマ展」開催

(ハ) 四 月 ルガノ第五回国際版画展参加

(ニ) 五 月 東京で「イラン美術展」開催

(ホ) 五 月 東京で「インカ展」開催

(ヘ) 六 月 第二十九回ヴェニズ・ビェンナーレ国際現代美術展参加

(ト) 十 月 パリで在留邦人美術展開催

(チ) 十 月 東京で「ゴッホ展」開催

(リ) 十一月 日本現代美術豪州ニュー・ジーランド巡回展開催

(ヌ) 十一月 フランスのアニエール市国際児童画展参加

(ル) 十一月 ユネスコ十週年記念「東西展」参加

映 画 関 係

(イ) 一 月 第二回ニューヨーク日本映画見本市開催

(ロ) 一 月 第一回アルゼンティン国際短篇映画祭参加

(ハ) 二 月 イタリアの第十四回タンペッツオ国際スポーツ映画コンクール参加

(ニ) 四 月 マニラにて第五回アジア映画祭開催

(ホ) 四 月 ブラッセル万国博実験映画祭参加

(ヘ) 五 月 第十一回カンヌ国際映画祭参加

(ト) 五 月 ウルグァイ国際記録実験映画祭参加

(チ) 五 月 第五回メルボルン映画祭参加

(リ) 六 月 第八回ベルリン国際映画祭参加

(ヌ) 六 月 カナダのストラットフォード国際映画祭参加

(ル) 六 月 第四回カルカッソン国際アマチュア映画コンクール参加

(ヲ) 七 月 チェッコの第十一回カルロビイ、ヴァリイ国際映画祭参加

(ワ) 七 月 第六回サン・セバスチアン国際映画祭参加

(カ) 七 月 セイロンにて日本映画祭開催

(ヨ) 八 月 第十九回ヴェニス・ビエンナーレ国際映画祭参加

(タ) 八 月 第一回ヴァンクーヴァー国際映画祭参加

(レ) 八 月 ボンベイ、ニュー・デリー、カルカッタにて日本映画祭開催

(ソ) 九 月 第三回コーク国際映画祭参加

(ツ) 九 月 東京にて第二回日本紹介映画コンクール開催

(ネ) 九 月 モスクワの第十二回国際科学映画祭参加

(ナ) 十 月 第二回サン・フランシスコ国際映画祭参加

(ヲ) 十 月 第七回トレント山岳探険国際映画祭参加

(ム) 十 月 第五回シドニー映画祭参加

(ウ) 十 月 イタリアのパドヴァ国際科学教育映画祭参加

(キ) 十 月 第一回メキシコ世界映画祭参加

(ノ) 十 月 東京にて第五回国際短編映画祭開催

(オ) 十 月 東京にて第一回国際アマチュア映画コンクール開催

音 楽 関 係

(イ) 一 月 ピアニスト、ツェルニー・シュテファンスカ(ポーランド)来日

(ロ) 二 月 ヴァイオリニスト、ジャン・フルニエおよばピアニスト、ジネット・ドワイヤン(仏)来日

(ハ) 二 月 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場歌劇「蝶々夫人」演出のため青山圭男渡米

(ニ) 三 月 指揮者ヴァン・ルモールテル(ベルギー)来日

(ホ) 四 月 レニングラード交響楽団一行(ソ連)来日

(ヘ) 四 月 ニューヨーク・シティ・バレ一団(米)来日

(ト) 四 月 ピアニスト、ヘンリー・ピエットおよびジャニーヌ・レディング(ベルギー)来日

(チ) 四 月 テナー、ジャン・ピアース(米)来日

(リ) 四 月 ピアニスト、ベンノモイセヴィッチ(米)来日

(ヌ) 四 月 アマディウス絃楽四重奏団(英)来日

(ル) 四 月 チェリスト、ガスパル・カサド(西)来日

(ヲ) 四 月 ザルツブルタ人形劇団(墺)来日

(ワ) 四 月 淡路人形座一行のモスクワ公演

(カ) 五 月 アルゼンティンの「現代音楽の展望展覧会」へ参加

(ヨ) 五 月 モスクワ国際音楽コンクールに参加

(タ) 七 月 東京、ニューヨークで日米交換效送音楽会開催

(レ) 七 月 指揮者、エドワルト・シュトラウス(墺)来日

(ソ) 九 月 イタリア第八回ビオッティ国際音楽コンクールに参加

(ツ) 十 月 パリ世界音楽祭および同会議へ参加

(ネ) 十 月 ソ連各都市交響楽団指揮のため上田仁渡航

(ナ) 十 月 ヴァイオリニスト、レオニード・コーガン(ソ連)来日

(ラ) 十 月 指揮者、アルワィド・ヤンソンス(ソ連)来日

(ム) 十一月 ローマ、ベルリン、ボン等交響楽団指揮のため朝比奈隆派遣

(ウ) 十一月 指揮者、ジャン・フールネおよびバリトン、ジャック・ジャンセン(仏)来日

(ヰ) 十一月 リカルド・サントス楽団(独)来日

(ノ) 十二月 イスラエル、ナショナルオペラ歌劇「蝶々夫人」に砂原美智子参加

演劇、舞踊関係

(イ) 昨年十二月-昨年四月松竹歌劇団マニラ、シンガポール、クアラルンプール、バンコック、香港公演

(ロ) 二月-十二月 扇紋舞踊団マラヤ各地およびボンベイ、カルカッタ、マニラ公演

(ハ) 二 月 東宝芸能舞踊団サイゴン公演

(ニ) 二 月 松山バレー団中共各地公演

(ホ) 三 月 東宝舞踊団豪州各地公演

(ヘ) 四 月 インド舞踊団本邦各地公演

(ト) 四 月 中国歌舞団本邦各地公演

(チ) 四 月 大阪国際芸術祭開催

(リ) 五 月 東京舞踊団、ブラッセル、パリ、ローマ、ナポリ公演

(ヌ) 六 月 モスクワ、ボルショイ・サーカス団東京、大阪公演

(ル) 九 月 韓国唱舞団本邦各地公演

(ヲ) 十二月 モスクワ芸術座東京、大阪公演

各種展覧会

(イ) 一昨年-昨年 日本陶器、衣裳、版画、書道の北米各地巡回展開催

(ロ) 二 月 インド国際児童画展に参加

(ハ) 二 月 ブリティッシュ・コロンビア百年祭に参加

(ニ) 二 月 第六回スペイン国際写真コンクールに参加

(ホ) 三 月 イタリー国際手製玩具展に参加

(ヘ) 三 月 ロンドン、ナショナル・スタンプ社主催切手展に参加

(ト) 四 月 ウィーン宇宙旅行想像画展に参加

(チ) 四 月 国際児童美術展を東京、大阪で開催

(リ) 四 月 キモノ芸術展をブラッセル、ローマ、トリノ、ジュネーヴ、ヘーグで開催

(ヌ) 四 月 ブラッセル万国博覧会に参加

(ル) 八 月 日本手工芸品展をカブールで開催

(ヲ) 十 月 国際警察官制服展を東京で開催、二〇カ国参加

(ワ) 十一月 国際児童図書展を東京で開催、三二カ国参加

(カ) 十一月 ローマ国際菊花展参加

(ヨ) 十一月 デンマーク国際菊花展参加

スポーツ交歓

(イ) 一 月 マニラの第六回極東オープン・ゴルフに参加

(ロ) 一 月 早大山岳部赤道アフリカ横断(キリマンジヤロ登頂)

(ハ) 二 月 ニュー・ジーランドのラグビー・チーム(オールブラックス)来日

(ニ) 二 月 ヘルシンキの世界スピード、スケート選手権大会に参加。

(ホ) 三 月 日本チリ合同パタゴニア探険隊のアレナレス初登頂

(ヘ) 三 月 ラハチ(芬蘭)世界スキー選手権大会に参加

(ト) 三 月 カナダB・C州百年紀念スキー・ジャンプ大会参加。

(チ) 三 月 デ杯東洋ゾーン日本対タイ職東京開催

(リ) 三 月 深田久弥氏等一行ヒマラヤ、ジュガール、ヒマール遠征

(ヌ) 五 月 デ杯東洋ゾーン日本対フィリピン戦東京開催

(ル) 五 月 第五四回国際オリンピック委員(IOC)総会東京開催。

(ヲ) 五 月 第三回アジア競技大会東京開催

(ワ) 六 月 ロス・アンゼルス国際招待水泳大会参加

(カ) 六 月 東京大学アンデス地帯学術調査隊派遣

(ヨ) 七 月 モスクワ第一四回世界体操選手権大会に参加

(タ) 七 月 京大、ネパ一ル、ヒマラヤ探険

(レ) 八 月 京大山岳部カラコルム、チョコリズ初登頂

(ソ) 八 月 メキシコ・シティ第二回世界アマチュア拳斗選手権大会に参加

(ツ) 八 月 モスクワ第三四回世界射撃(クレー、ライフル)選手権大会に参加

(ネ) 八 月 カナダ、オープン・ゴルフ・トーナメントに参加

(ナ) 八 月 米陸上競技選手団来日、日米対抗競技大会開催

(ラ) 八 月 全日本水泳選手権大会に豪州選手招待

(ム) 九 月 サバナ(イタリア)第八回ローラー・スケート世界選手権大会に参加

(ウ) 九 月 日本山岳会先遣隊ヒマルチュリ探査

(ヰ) 十 月 米職業野球団(セント・ルイス、カージナルス)来日

(ノ) 十 月 コシチ(チェッコスロバキア)マラソン大会に参加

(オ) 十 月 セント・アンドリュース(スコットランド)第一回世界アマチュアゴルフ選手権大会に参加

(ク) 十一月 メキシコ・シティのカナダ・カップ・ゴルフ大会に参加

(ヤ) 十一月 第二回世界柔道選手権大会(東京)開催

(マ) 十一月 東方学会インド仏蹟踏査隊派遣

(ケ) 十二月 カラチのアジア庭球選手権大会に参加

(フ) 十二月 フィリピン各地へ日本学生選抜バスケット、ボール、チーム遠征

人 物 交 流

(イ) 一 月 日本青年団協議会副会長真野真一の欧亜派遣

(ロ) 二 月 オーストリア国立商科大学シャイデル教授の帰国

(ハ) 三 月 日本ユネスコ国内委員会前田次長の渡欧

(ニ) 三 月 シカゴ教育委員長シュライヴァー氏の来日

(ホ) 三 月 米国ヒル・アンド・ノールトン社(PR会社)国際部員アーサー・カウフマン氏の来日

(ヘ) 三 月 文部省管理局田中教育施設部長の渡米

(ト) 四 月 タイ職業教育視察団の来日

(チ) 四 月 東京都立大学鈴木助教授(日本民族学協会理事)のマラヤ入国

(リ) 四 月 京都大学のフランス国文学ボノー教授の招へい

(ヌ) 四 月 ハワイ、アメリカ人小学校長の来日

(ル) 四 月 シアトル、ワシントン大学演劇学部副部長コンウエイ氏夫妻の来日

(ヲ) 四 月 サンパウロ理論物理学研究所の立教大学武谷教授、京都大学片山教授招へい

(ワ) 五 月 ヴァンクーヴァー、ブリティシュ・コロンビヤ大学ビニング教授夫妻の来日

(カ) 五 月 アルゼンティン・ツクマン大学の東京教育大学農学部教授佐藤敬夫、大阪大学教養学部教授後藤憲一、九州大学工学部教授伊藤誠の三氏招へい

(ヨ) 七 月 カナダ文化使節団の来日

(タ) 七 月 ヴァンクーヴァー・ブリティシュ・コロンビヤ大学ウオン教授の来日

(レ) 七 月 ローマ世界教育者会議のわが国代表派遣

(ソ) 七 月 パリー国立音楽学院アンドレ・バデル教授の来日

(ツ) 八 月 カナダ商工高等学校教師スパーリング女史の来日

(ネ) 八 月 オーストラリア、ニュージーランド科学会議の東京大学東洋文化研究所長飯塚教授招へい

(ナ) 九 月 東京大学植田教授の渡印

(ラ) 九 月 フランス文化使節ガストン・デュプュイ教授の来日

(ム) 九 月 フランス文化使節マガ教授の来日

(ウ) 九 月 インド、パンジャブ大学総長ジョシイ氏の来日

(ヰ) 九 月 チエッコ・プラーグ大学日本学助教授ヒルスカ夫人の来日

(ノ) 九 月 米国カリフォルニヤ大学東洋学部教授フォード財団特別研究員中村進氏の来日

(オ) 九 月 エジプト・カイロ大学の東京家畜衛生試験場病理研究室長石谷類造博士の招へい

(ク) 十 月 早稲田大学建築学吉阪教授のブラジル派遣

(ヤ) 十 月 フィリピン、マニュエル・ル・ケゾン大学教育学部長トリニダット博士の来日

(マ) 十 月 ドイツ、西ベルリン自由大学日本学教授エッカルト博士の来日

(ケ) 十 月 テヘラン大学薬学部長ナムダル氏の来日

(フ) 十一月 地域給食ゼミナール・セイロン代表文部省教育局長グナワルディン氏等の来日

(コ) 十一月 カナダ北方省国家資源北極局ホウストン氏の来日

(エ) 十一月 米国上院議員フルブライト氏の来日

(テ) 十一月 エクアドル外務省文化局長バレラ氏の来日

(ア) 十一月 フランス文学賞受賞者羽田のり子の渡仏

(サ) 十二月 ニューヨーク・ミラー紙年次ユース・フォーラム代表池田俊次氏の渡米

外国人留学生の招へい

わが国は本年度七十名の国費留学生を海外から招いている。留学生は学部留学生(東南アジアおよび中近東諸国の留学生のみを対象とする。期間五カ年ただし医科歯科は七年)研究留学生(期間二カ年)の二つに分れ、ともにわが政府から月額二〇、○○○円の奨学金が支給される。これらの留学生は、女子を除き、日本国際教育協会の寮(東京都目黒区駒場八六二、収容力一〇〇名)に入寮し、女子は国際学友会の寮(東京都新宿区柏木四の八九五、収容力一三〇名)に入寮している。その他大阪には国際学友会関西支部の寮(大阪市北扇町七五、収容力五〇名)があり、福岡箱崎には近く国際学友会福岡支部の寮(収容力十三名)が新築完成の予定である。

日米教育交換計画による招へい

本年度における米国人学者および学生の招へいは四五名であつた。

外国政府給費留学生の招へい

三十三年度において外国政府の給費留学生として海外へ招へいされた。わが国の学者、学生等は次のとおりである。

(イ)アメリカ(日米教育交換計画)二四九、 (ロ)イギリス一一、 (ハ)フランス五三 (ニ)ドイツ五七、 (ホ)イタリア三、 (ヘ)インド三、 (ト)フィリピン三、 (チ)カナダ二、 (リ)スウェーデン一、 (ス)ユーゴースラヴィア一、 (ル)チエッコスロヴァキア四、 (ヲ)イスラエル一、 (ワ)アラブ連合共和国一、 (カ)ベルギー一、 (ヨ)オーストリア五、 (タ)イラン一、 (レ)スペイン一、 (ソ)デンマーク一、 (ツ)ギリシャ一、        合計 三九九

国 際 会 議

(イ) 一 月 東南アジア文化工芸の進歩に関する円卓会議開催一四カ国参加

(ロ) 四 月 ユース・ホステル、アジア地区協議会開催八カ国参加

(ハ) 七 月 第五回国際学生会議開催、外国人三五名参加

(ニ) 八 月 第十四回世界日曜学校大会、五七カ国参加

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2 在外日本関係文化団体の育成

海外諸国には、当該国人と現地在留の邦人とが協力してわが国との文化の交流を行うことを目的とする団体が設立されている。例えばジャパン・ソサイアティ(北米)、ブリティシュ・コロンビア大学日本研究所(カナダ)、日墨協会(メキシコ)、日伯文化協会(リオ・デ・ジャネイロ)、日伯文化普及会(サンパウロ)、日本アルゼンティン文化協会(アルゼンティン)、日智文化協会(チリ)、日本・コロンビア文化協会(コロンビア)、日印協会(ニュー・デリーおよびボンベイ)、日本・インドネシア協会(インドネシア)、日独協会(ドイツ)、中亜極東学院(イタリア)等は活発にわが国との文化交流活動を行つている。また、最近はアジア地域各国においても、この種の団体を結成する気運が高まつている。

これら団体の文化活動は、各種文化展、映画会または講演会の開催、機関紙の発行等多岐にわたつているが、このような活動を通じて日本文化の紹介およびわが国との親善友好関係の増進に大きな貢献をしている。外務省は在外公館を通じてこれらの団体に能う限りの協力を行つている。

とくにメキシコおよびリオ・デ・ジャネイロには最近それぞれ日墨文化会館、日伯文化会館が建設され、いずも活発な文化活動を開始している。

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