中近東関係 |
わが国は昨年度においてアラブ連合共和国の承認、およびイラク、スーダン両国新政府の承認を行った。
(1) アラブ連合共和国の承認
昨年二月一日エジプト、シリア両国の合邦が宣言され、同月二十一日国民投票を行い、翌二十二日両国の合邦によるアラブ連合共和国が正式に発足した。これより先、わが国に対しても同共和国の承認を要望してきたので、政府は二月十一日これが承認方につき閣議決定を行い、同二十二日新共和国の発足とともに即日承認の通告を行った。
(2) イラク新政府の承認
昨年七月十四日イラクにおいてクーデターが発生し、その結果カシム代将を首班とする新政府が成立した。同政府はわが国に対しても承認方を要望してきたので、わが政府は同月三十一日承認方につき閣議決定を行い、同日承認の通告を行った。
(3) スーダン新政府の承認
昨年十一月十七日スーダンにおいてクーデターが発生し、その結果アブード中将を首班とする新政府が成立した。同政府はわが国に対しても同政府の承認方を要望してきたので、わが政府は同月二十八日承認方につき閣議決定を行い、直ちに承認の通告を行った。
政府は昨年度においても前年に引きつづき、中近東諸国との経済協力を増進するために多くの努力を行った。この時期において特筆すべき事項としては、まず九月アラブ連合共和国のシドキー工業大臣一行の訪日に際し岸外相代理書簡および高碕通産大臣とシドキー工業相との間の交換公文をもって行われた両国間の取極が挙げられる。この取極は、わが国がアラブ連合共和国エジプト州の工業五カ年計画に含まれている若干のプロジェクトに対し三、○○○万ドルを限度とするプラントの延払輸出という形で経済協力を実施することを目的としたものである。この取極に基き、すでに砂糖工場、冷凍、缶詰、製缶工場および紡績プラントの各プロジェクトにつき交渉が成立したが、さらに染料、魚網、タンカー等についても話合が行われている。
またイランとわが国との間には十二月九日経済技術協力協定が署名されたが、これよりさき一昨年十月以来わが国において米作および茶栽培技術の研修を受けていた十七名のイラン農業実習生は、一年ニカ月の実習を完修して、十二月十六日帰国の途についた。この分野における同国との協力関係は今後とも一層増進されることが期待されている。
なおわが国は、昨年度予算をもって、前記イラン実習生の受入れのほか、イランに対して農業綜合開発および団地住宅各調査団を派遣し、同じく同国へ耐震建築、地震学の専門家を、エティオピアヘは医療調査専門家を、シリアヘは養蚕専門家を各一名派遣し、他方アフガニスタンより二名、イラン、イラクより各一名の技術研修生を受入れている。わが国は、今年度においては一層大規模に研修生の受入れ、専門家の派遣ないし工業技術センターの設置等の技術協力を実施することを計画中である。