七 国際文化交流の現状

1 文化交流の現状

国際間の文化の交流は、諸国民の心と心との結び付きを培い、これを強めるものであり、政治、経済の面の国際的協力の基礎となるものである。

最近におけるわが国と諸外国との文化交流は、民間の強い熱心な発意によつて、また、政府と民間との緊密な協力によつて活発に行われ、その件数と種類とは非常に多くかつ多岐にわたつているが、そのなかで主なものをあげると次の通りである。

美術関係

(イ) 昨年九月セイロンで日本版画展を開催

(ロ) 昨年十月ベルグラードで日本現代版画展を開催

(ハ) 昨年十一月ブエノスアイレスで日本現代版画展を開催

(ニ) 昨年十一月パリで在留邦人美術展を開催

(ホ) 昨年十一月ニュー・ジーランドで開かれた東洋美術展に参加

(ヘ) 昨年十一月東京で日本文化フォーラム主催のアジア青年美術展を開催

映画関係

(イ) 昨年六月から七月にかけ第七回ベルリン国際映画祭に参加

(ロ) 昨年七月パリで日本映画週間の開催

(ハ) 昨年七月第十回ロカルノ国際映画祭に参加

(ニ) 昨年七月チェッコスロヴァキア政府主催第十回国際映画祭に参加

(ホ) 昨年七月カナダ・ストラットフォード国際映画祭に参加

(ヘ) 昨年八月第十七回ヴェニス・ビエンナーレ映画芸術祭に参加

(ト) 昨年八月第十一回エジンバラ国際映画祭に参加

(チ) 昨年十月シドニー国際映画に参加

(リ) 昨年十月第六回トレント山岳映画コンクールに参加

(ヌ) 昨年十月東京で教育映画綜合協議会主催の第四回国際短編映画祭を開催

(ル) 昨年十月ロンドンの日本映画シーズンに参加

(オ) 昨年十二月サンフランシスコ国際映画祭に参加

(ワ) 昨年十二月ユーゴースラヴィア技術科学映画祭に参加

演劇および音楽関係

(イ) 昨年十二月松竹歌劇団東南アジア巡回公演に出発

(ロ) 昨年八月フランスのパレナン絃楽四重奏団来日

(ハ) 昨年八月ボリシヨイ・バレー団来日

(ニ) 昨年九月ソプラノ歌手日高久子女史のハンブルグ公演

(ホ) 昨年十月ソ連のピアニスト、エミール・ギレリスの来日

(ヘ) 昨年ベルリン・フィルハーモニー管絃楽団の来日

(ト) 昨年十月イタリア、ウムベルト・ジョルダー二国際音楽コンクールに参加

(チ) 昨年十一月ソ連の歌手アラ・ソレンコワの来日

(リ) 昨年十二月オーストリー・バリリ絃楽四重奏団の来日

(ヌ) 昨年十二月ポーランドのピアニスト、ツェルニー・ステファンスカの来日

各種展覧会

(イ) 昨年九月ハバナで人形芝居資料展に参加

(ロ) 昨年九月リオデジャネイロの国際児童書籍展に参加

(ハ) 昨年九月南アフリカ、ダーバン市観光展に参加

(ニ) 昨年九月ロンドンの第五回国際手工芸展に参加

(ホ) 昨年九月デンマーク国際ホビー展に参加

(ヘ) 昨年十月フランス、アニエール市国際児童画展に参加

(ド) 昨年十月コペンハーゲンのデンマーク国際菊花展に参加

(チ) 昨年十月ボルドーのフランス菊花展に参加

(リ) 昨年十一月台北の児童教科書展に参加

(ヌ) 昨年十一月ウルグァイ国際観光展に参加

(ル) 昨年十一月フィラデルフィア市商業博覧会の日本展に参加

(オ) 昨年十一月東京で日本ユネスコ美術教育連盟主催の国際児童美術展を開催

(ワ) 昨年十一月東京その他で世界友の会主催の世界人形展を開催

(カ) 昨年十二月東京で日本経済新聞主催のアジア・アフリカ民族児童画展を開催

スポーツ交歓

(イ) 昨年七月モスクワの第三回世界青年友好スポーツ大会に参加

(ロ) 昨年七月卓球選手のニュー・ジーランド訪問

(ハ) 昨年八月パリのフランス国際学生競技大会に参加

(ニ) 昨年八月シアトルの国際アマチュア拳斗大会に参加

(ホ) 昨年八月クアラ・ランプールのマラヤ独立記念自転車競技大会に参加

(へ) 昨年十月第五回カナダ・カップ世界ゴルフ大会の開催

(ト) 昨年十一月テヘランの世界重量挙選手権大会に参加

(チ) 昨年十一月東京その他で日仏交歓プロ自転車親善競技大会を開催

(リ) 昨年十二月体操選手を中華民国に派遣

人物交流

(イ) 昨年七月ギリシャのアテネ大学教援エベルビディス夫妻(元蔵相)および作家カザン・サッキ夫妻(元文相)の来日

(ロ) 昨年十月フランス政府文化使節ガブリエル・マルセル博士の来日

(ハ) 昨年十月中華民国から孔徳成博士の来日

(ニ) 昨年十月ビルマ政府の招待により教育顧問として広島大学皇教授出発

(ホ) 昨年十一月オーストラリヤ国立図書館長ホワイト博士の来日

(ヘ) 昨年十二月フランス科学博物館長ロジェ・エイム博士の来日

(ト) 昨年十二月京都学芸大学教授黒田正利氏ローマ大学講師として渡伊

学術調査および探険隊の派遣

(イ) 昨年七月京都大学イラン学術調査団イラン派遣

(ロ) 昨年九月東南アジア稲作民族文化綜合調査団のタイ、カンボディア、ヴィエトナム、ラオス派遣

(ハ) 昨年十月日本青年団協議会代表東南アジア派遣

(ニ) 昨年十一月大阪市立東南アジア学術調査隊派遣

(ホ) 昨年十二月早大赤道アフリカ探険隊派遣

(ヘ) 昨年十二月日本チリ合同パタゴニア探険隊派遣

国際会議

(イ) 昨年七月東京その他で日本国際学生協会の主催で第四回国際学生会議を開催

(ロ) 昨年九月東京その他で日本ペンクラブ主催の第二九回国際ペン大会を開催

外国人留学生の招へい

本年度は、五十名の国費留学生を海外から招いている。

留学生は、学部留学生および研究留学生(期間二年)の二つに分たれ、ともに日本政府から月額二万円の奨学金が交付される。これらの留学生の大部分は国際学友会の寮(東京都新宿区柏木四ノ八九五、収容力一三〇名)に入寮しているが、昭和三十三年一月末文部省の計画の下に国際教育協会の寮(東京都目黒区駒場町八六二、収容力一五〇人)が完成し、国費留学生の専用寮として、三月初から開寮される予定である。その他大阪には国際学友会関西支部の寮(大阪市北区北扇町七五、収容力五〇名)があり、昭和三十三年度には福岡市箱崎に国際学友会福岡支部の寮が新たに建設される予定である。なお、昭和三十三年度には、七〇名の国費留学生を招く予定であり、この枠内で新たに高校留学生制度および米国在住日系人の招へい制度を設ける予定である。

日米教育交換計画(フルブライト計画)

昭和三十三年一月十一日藤山外相とマッカーサー米国大使との間に日米教育交換計画の延長に関する公文の署名交換が行われた。この公文交換によつてこんご三年間に約七〇〇人の大学院学生、教授、講師、研究員等に対し米国内で研究を行うための旅費を給することができることとなり、同時に約一〇〇名のアメリカ人大学院学生、講師、教師、研究員等が来日する機会を与えられることとなつた。この実施は、東京にある在日米国教育委員会(通称フルブライト委員会、東京都千代田区九段二丁目二)によつて行われる。

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2 在外の日本関係文化団体の助成

海外諸国には、当該国人と現地在留の邦人とが協力して、わが国との文化の交流を行うことを目的とする団体が設立されている。たとえばジャパン・ソサイアティ(北米)、ブリテイシュ・コロンビア大学日本研究所(カナダ)、日墨協会(メキシコ)、日伯文化協会(リオデジャネイロ)、日伯文化普及会(サンパウロ)、日本アルゼンティン文化協会(アルゼンティン)、日智文化協会(チリ)、日本コロンビア文化協会(コロンビア)、日印協会(ニューデーリー、およびボンベイ)、中亜極東学院(イタリア)等は相当活発な文化活動を行つている。また、最近はアジア地域諸国に、この種団体を結成する機運が高まつている。

これらの団体の文化活動は、各種文化展、映画会または講演会の開催、機関誌の発行等多岐にわたつているが、これらを通じて日本文化の紹介および日本との親善友好関係の増進に大きな貢献をしている。外務省としては在外公館を通じてこれらの団体にできるだけの援助を与え、その育成強化に努めている。

特に、メキシコにはすでに日墨文化会館が建設され、また、リオデジヤネィロには本年中に日伯文化会館が建設される予定で、それぞれこんごの文化活動に大きな期待がかけられている。

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