中近東関係 |
日本およびトルコに短期滞在する両国の旅行者に対し、査証を相互に免除すれば、両国民の旅行が簡易化され、ひいては両国の親善関係がますます増進されることが期待されるので、昭和二十七年十一月いらい東京でその取極につき交渉を行つた結果、昭和三十二年十一月五日東京でこの取極に関する書簡を交換した。この取極は昭和三十三年一月五日に発効した。
なお、わが国が短期間滞在者の査証免除についてこの種の取極を結んだ国は、ドイツ、フランス、イタリア、ギリシャ、オランダ、ベルギー、チュニジア、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、ルクセンブルグ、スイス、ドミニカおよびトルコの十四カ国となつている。
日本およびエティオピア両国の友好親善関係は、両国間の外交関係再開いらい、ますます発展の度を加えてきた。昭和三十一年十一月エティオピア皇帝ハイレ・セラシエ一世陛下の訪日を機会に、政府はさらに同国との友好関係を一そう強化増進するために、同国と友好条約を締結するよう交渉を続けてきたが、昭和三十二年十二月十九日アディス・アベバで、両国の友好平和関係の存続、主権、独立および領土の保全尊重、通商航海条約の締結促進、科学、産業の技術、知識の交換等を規定した全文六条からなる友好条約に調印した。
中近東諸国は、新興国のつねとして総じて行政能力および技術要員が欠如しており、かつ国内経済開発を活発に行つているので、A・A諸国中唯一の高度の文化と工業技術水準を有するわが国に対し、経済、技術協力を強く要請してきており、この要請は最近とみに増加している。政府としては誠意をもつて、これに応じたい所存であるが、残念ながら中近東地域に対しては、コロンボ・プランのような完全な協力体制が確立していないのが実状である。しかし、このような不本意な事情にあるにもかかわらず、今日まで専門家、技術者の派遣およびそのあつせんならびに先方研修生の受入れは、それぞれ五十一名および十九名に達し、着実に実効を収めてきた。さらに昭和三十三年度には中近東経済技術協力費を始めて予算化し、これを踏み石として対中近東経済技術協力を積極的に進めて行く考えである。