経済

APEC貿易担当大臣会合の概要

平成23年5月23日

  • (写真1)
    高橋副大臣とカーク米国通商代表との対話の場面
  • (写真2)
    集合写真
  • (写真3)
    共同記者会見における高橋副大臣の発言場面

 5月19~20日,米国モンタナ州ビッグスカイにおいて,APEC貿易担当大臣(MRT)会合が開催された。APEC参加21エコノミーの貿易担当閣僚等が参加し,我が国からは,高橋千秋外務副大臣及び中山義活経済産業大臣政務官が出席した。会合の成果として,議長声明(日本語骨子(PDF)PDF英語原文(PDF)PDF)及び多角的貿易体制の支持に関する閣僚声明(日本語仮訳(PDF)PDF英語原文(PDF)PDF)が発出された。議論の概要は以下のとおり。

 尚、今次貿易担当大臣会合の後にはAPEC貿易担当大臣・中小企業大臣合同会合が開催された(概要)。

1.東日本大震災関連

  1. (1)カーク米通商代表(議長)より,我が国で起きた東日本大震災及び豪州の洪水,ニュージーランドの地震について触れ,域内経済が密接に関わっており,自然災害の影響を含めて,アジア太平洋地域のエコノミーが運命を共有していること,そうした中で,この地域が自由貿易体制を維持・強化することが重要であること等が述べられた。また,同代表から,我が国の被災者に対するお悔やみや,日本の復興努力への連帯が示されるとともに,新幹線の早期復旧を含む日本経済・社会の強靱さについて敬意の表明があった。
  2. (2)我が国からは,高橋副大臣が各エコノミーからの支援に対する深甚なる謝意を表明。日本が引き続き「営業中」である旨訴え,各エコノミーに対し,訪日や,日本の産品の購入など,日本との交流を呼びかけた。また,緊急時のビジネス継続性確保のための備えなど,APECの取組強化の重要性について訴え,その関連で,本年夏に日本で防災ワークショップを開催することを発表した。こうした議論を受け,APECによる防災取組の強化を図ることが合意された。
  3. (3)また,中山政務官からは,原発事故収集に向けたロードマップの状況に関して説明しつつ,今後とも最大限の透明性を持って情報発信に努めること,そして日本が一丸となって復興に取り組んでいく旨述べた。同時に我が国の復興のためにも,各エコノミーとの貿易や人の移動の円滑な行き来を確保することが重要であることを訴えた。
  4. (4)こうした議論も踏まえ,会議終了後発出された議長声明においては,東日本大震災を含む自然災害関連のパラグラフが設けられた。(以下抜粋。)
     「東日本大震災及び津波が地域全体のサプライチェーンに与えた影響は、この地域の経済的統合の深化を改めて如実に示した。我々は、被災地の復旧が、APECの全てのエコノミーの経済的福利に寄与するものと確信する。我々は、アジア太平洋地域における、物品・サービス・人の円滑な流れの迅速な回復を確保することの重要性を認識し、この地域における最近の自然災害を受けて、WTO協定と不整合な措置を講じないことに合意した。」
  5. (5)風評被害については,機会をとらえ,各国・地域政府関係者及びビジネス関係者に対して精力的に働きかけを実施し(米、中、韓、中国香港、チャイニーズ・タイペイ、ASEAN諸国、豪、加、中南米諸国等),概ね我が方立場につき基本的理解を得ることができた。

2.多角的貿易体制の支持

  1. (1)ラミーWTO事務局長から,ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の現状について,鉱工業品分野等における主要国間の対立が克服できず年内妥結が困難になっているが,WTO体制に対する信認保持のためにも今後の進め方について様々な選択肢を検討する必要がある旨の報告が行われた。
  2. (2)これを受けての閣僚間の議論では,多くの閣僚よりDDA交渉妥結を諦めるべきではないこと,他方で現実的な方途を考える必要もあることが指摘され,一部の国からは幾つかの合意可能なテーマについてまず成果を得る方法も提起された。APECでの今回の議論も踏まえ,今後さらに加盟国間で検討していくことが確認された。

3.米国APECの優先事項

 米国は,随所で横浜ビジョンに言及しつつ11月の首脳会議に向け,個別事項で具体的成果を目指した。

(1)地域経済統合の強化と貿易の拡大

 アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に含まれるべき「次世代型」の貿易・投資課題について,今年,APECとして,1)世界的供給網(グローバル・サプライチェーン),2)中小企業(SME)の世界的生産網への参加推進,3)効果的,無差別かつ市場主導型のイノベーション政策の推進について取り組んでいくことで意見の一致を見た。
 また,「APECサプライチェーン・コネクティビティ枠組行動計画」に沿って,本年中に具体的成果が得られるよう作業を加速化させることが確認された。

(2)グリーン成長の推進

 環境物品・サービスの自由化の推進や違法伐採貿易を含む各具体的分野について,11月の首脳会議に向け,今後議論をさらに継続していくことが確認された。

(3)規制協力・規制の収斂の推進

 APECエコノミーにおける良い規制慣行を促進するためにAPECエコノミーが取るべき措置について議論を行った。

4.環太平洋経済連携協定(TPP)

 19日朝,APEC貿易担当大臣会合の機会を捉え,TPP協定交渉参加国閣僚会合が開催された。今年11月までに協定の大まかな輪郭(broad outlines)を固めるとの目標を表明し,関心国との間では二国間協議を続け,協定の高い水準を満たす用意がある限り,交渉参加について検討するとの議長声明が発出された。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る