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日本APECについて

2010年日本APECの取組(高級実務者会合(SOM)議長インタビュー)

高級実務者会合(SOM)議長:西山英彦経済産業省大臣官房審議官(通商政策局担当)(最前列,左から2番目),
中村滋外務省国際貿易・経済担当大使(最前列,左から3番目)(2010年2月22日 広島)

1. 2010年日本APECにおいて,日本が達成しようとしていることは何でしょうか?

2010年APECのテーマとして掲げているのは「チェンジ・アンド・アクション」。すなわち,世界の政治・経済の構造が大きく変化している時代の中で,APECがこれまでの実績を土台としつつ,21世紀にふさわしい形で今後も重要な役割を果たし続けることができるよう,必要な「チェンジ」を構想し,それを具体的な「アクション」に移したいという発想です。具体的には,ボゴール目標に照らして貿易投資の自由化・円滑化の進捗を適切に評価し,アジア太平洋地域の発展を更なる高みに導く活動方針を「地域経済統合」,「新たな成長戦略」,「人間の安全保障」の3本柱及びそれを支える経済・技術協力活動で描いていきます。

2. 上記の目標の達成に向け,2010年日本APECの主な議題は何でしょうか?

(1)先進エコノミーによるボゴール目標の達成状況の評価や,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想の実現に向けたあり得べき道筋の検討を始めとした地域経済統合の推進,(2)イノベーション及び知識集約型経済に支えられた,バランスのとれた成長,あまねく広がる成長,持続可能な成長,といった要素を含めた,アジア太平洋地域の新たな成長戦略の策定,(3)テロ対策,食料安全保障,感染症対策を始めとした人間の安全保障の強化,(4)これらを推進するために必要な経済・技術協力等のAPECの機能強化が2010年の主要な議論の柱になると考えています。これらが,APECが今後目指すべき新しい姿を構想する際の重要な要素となると考えます。

3. なぜこれらの議題が重要なのでしょうか?

経済危機からの回復と地域の長期的な成長の確保を図るためには,これまでのAPECの中核的アジェンダである貿易・投資の自由化を更に進展させ,地域経済統合を推進していくことに加え,経済・金融危機の教訓を踏まえ,バランスのとれた成長を支え,これまで以上に一人一人が参加する機会を得て,成長の成果を享受する社会を実現し,環境を持続可能なものとするような長期的かつ包括的な成長戦略を描いていくことが重要です。これは技術革新と知識集約型経済を通じて,我々の成長潜在力の向上に資するものです。また,地域において安心してビジネスに取り組める環境を作るためには,人間の安全保障が大切です。更に,これらの施策を推進するためには,それを実施するための具体的な能力構築事業を行う必要があります。このように,2010年の主要な議論の柱は互いに密接に連関しています。

4. なぜ,とりわけ2010年にこれらの議題を議論することが重要なのでしょうか?

2010年は,先進エコノミーによるボゴール目標の達成年であるとともに,ボゴール目標達成後のAPEC地域経済統合の進むべき道を考える大きな節目の年です。また,世界経済・金融危機を含め大きな構造転換が進んでいる中,アジア太平洋地域の更なる一体化と経済危機後の安定した成長に向けたビジョンを示すことが求められており,2010年はまさにこれらの課題に取り組む上で時宜を得ています。

5. APECの活動プロセスに対して,日本はどのような独自の貢献ができるのでしょうか?日本が議長を務めることにより,APECにはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか?

日本は,豪州とともにAPECの創設に深く関わった経緯を有するほか,1995年には議長としてボゴール目標達成の道筋を示した大阪行動指針の策定に主導的役割を果たしてきました。95年以降も,毎年TILF(貿易・投資自由化・円滑化基金)に対する資金の拠出を通じてAPECの経済・技術協力活動に大きくするなど,一貫してAPECの活動に力を注いできており,議長として,こうしたAPECにおける我が国独自の知見を提供し得ます。

また,アジアの中でいち早く経済発展を遂げ,アジア太平洋における地域協力の中心的な役割を果たしてきた日本は,これまでの経済発展の過程で学んだ多くの知見や経験を有します。また,G8,G20の主要メンバーとして世界経済の運営の重要な役割を果たしてきた我が国として,こうしたグローバルな場において積み上げてきた知見や経験をAPECの発展につなげることも可能です。アジア太平洋地域と共に生きる「課題解決型国家」のモデルとして地域の活力ある発展を促すことを目指すことで,APECのプロセスに貢献していきます。

6. 日本にとっては,APECを主催することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?

前回,1995年の開催時に「大阪アクション・アジェンダ」としてボゴール目標の達成に向けた道筋を示しましたが,このように本年にまでつながるアジア太平洋地域の中長期的な活動方針を描いたことが,同地域における貿易の自由化・円滑化の更なる推進につながり,貿易の自由化・円滑化の推進者である日本にも恩恵をもたらしました。このように,APECを開催することで,日本自身も裨益することが可能であると考えています。

同様に,日本が本年,議長として,アジア太平洋地域の更なる発展に向けた道筋及びその活動方針を描くことに再び貢献し,その中長期的な繁栄を着実なものとしていくことは,アジア太平洋に位置し,域内諸国との緊密な経済関係を有する日本自身が地域全体の活力を得つつ,ともに成長していく上で望ましいものです。

7. FTAAP創設へ向けてあり得べき道筋を幅広く探求する,という点について説明して下さい。

FTAAPについては,APECビジネス諮問委員会(ABAC)から「2010年首脳会議での提示,決議を目指し,2010年半ばの会合にてFTAAPを創設するに当たっての実行可能なスケジュールとモダリティの策定を終えるよう,APEC首脳が各国・地域の大臣に指示することを要請する」との提言があり,ビジネス界からも大きな期待を寄せられており,APECでは,2007年の地域経済統合強化レポートに基づき,FTAAPに関する課題一覧表の策定・改訂,域内の自由貿易協定(FTA)/地域貿易協定(RTA)の類似点・相違点調査,FTAAPの経済的影響調査,FTA/RTAの結合・統合・拡大研究等を行ってきました。

また,昨年11月のシンガポールにおける首脳宣言「成長の持続,地域の連携強化」では,サービス,デジタルエコノミー,投資,貿易円滑化,原産地規則,基準/貿易の技術的障害といった分野について検討を進めるべきことが唱われたことも踏まえ,今後は,FTAAPに向けたあり得べき道筋を見極めるため,これまでの研究や作業を基礎に検討を深化させたいと考えています。こうした検討の結果,議長として,2010年11月の横浜での首脳会議に良い報告が出来ることを期待しています。

8. APECとビジネス界との関係強化に関してご意見をお聞かせ下さい。

APECには,APECビジネス諮問委員会(ABAC)という21ヵ国・地域のビジネス界の代表からなるAPEC首脳に対する民間諮問機関があり,アジア太平洋地域における貿易・投資に関する課題等をビジネスの立場から議論し,首脳に直接政策提言を行う機会がプロセスに組み込まれています。これまでにビジネス界からの意見を踏まえて,APECビジネス・トラベル・カードのような成果を生み出して来ています。

今後とも,ビジネス界のAPECプロセスへの参加を歓迎します。

9. 他にご意見やコメントがあればお聞かせ下さい。

2010年は,横浜での首脳・閣僚会議を始め,北は北海道から南は沖縄まで,日本各地で各種の大臣会合・関連会合が開かれます。日本は,アジアとの交流で培ってきた伝統文化や素晴らしい料理に加え,最先端の技術や,世界に広がるクールな現代文化を有する国です。2010年中はこうした日本の技術や文化をアジア太平洋地域の皆さまに御紹介する場をぜひ積極的に設けていきたいと考えます。各エコノミーの代表団には,各種会合での真剣な議論を期待するのは勿論ですが,日本を訪れた際に,こうした日本各地の料理や文化に触れ,また,最先端の技術を実際に目にすることで,日本での滞在を楽しみつつ,実りのあるものにして頂きたいと考えています。

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