経済

APEC貿易担当大臣会合(概要)

平成21年7月

会合の概要

 7月21日及び22日、APEC貿易担当大臣会合がシンガポールで開催された。APEC各メンバーから貿易担当閣僚等が出席(我が国からは橋本外務副大臣及び岡田経済産業省通商政策局長(二階経済産業大臣代理)が出席)、シンガポールのリム貿易産業大臣が議長を務めた。なお、今次会合の成果として経済危機への対応及び回復の方途に関するAPEC貿易担当大臣による声明(別添2(骨子(PDF)PDF))及び議長声明(別添1(骨子(PDF)PDF))が発出された。会合における議論の概要は以下のとおり。

1.多角的貿易体制の支持

(1)WTO交渉に関し、ラミーWTO事務局長から、2010年の交渉妥結の必要性について政治的な意思が示されていることを歓迎し、今後のプロセスの中で合意に向けた道筋を示していく旨報告があった。これを受け閣僚間で議論が行われ、政治的意思を実施する具体的手段について、閣僚が実務者レベルに指示し、議論を行っていくことが確認された。

(2)我が国より、9月のピッツバーグサミットに向けて、閣僚レベル、事務レベルで残された論点につき更に議論を進め、議論の収れんを図っていくべき旨を表明した。

(3)ラミー事務局長による保護主義への対応に向けたWTOの取組についての説明を受け、閣僚間で議論が行われ、昨年の首脳会議における「リマ声明」の措置を2010年末まで、要すれば更に延長することで意見が一致した。

(4)我が国からも、「リマ声明」の遵守の重要性に賛同するとともに、APECの場でも各国の措置につき十分議論すべき旨表明し、多くの国の賛同を得た。

2.経済危機への対応と経済の回復に向けた準備

(1)今回の経済危機により、グローバル化やイノベーションの果実及び貿易・投資の自由化による利益を広く享受するためには、社会経済的側面への対応が重要であることが明らかになり、危機からの回復及び長期的な成長を実現する上で、経済の改革と社会の強靱性の確保に取り組むべきとのシンガポール提案の「包摂的成長」戦略について、多くのエコノミーから賛同があった。

(2)包摂的成長の概念を検討し、経済委員会(EC)を含めた関連組織との密接な協議の上、2010年に策定する戦略に関する優先分野について本年の閣僚会議に報告するよう高級実務者に対して指示が行われた。

(3)持続的成長に関する議論が行われ、環境物品・サービス貿易の自由化、省エネルギー、新エネルギーに関するキャパシティ・ビルディングの重要性について認識の一致があった。

(4)我が国より、APECにおけるこれらの社会や環境に配慮した新たな経済成長に関する議論及び作業に積極的に貢献していく考えであり、我が国が議長を務める明年も、本テーマに引き続き取り組んでいくことを表明し、多くのエコノミーから支持が表明された。また、我が国から中小企業の重要性を指摘し、各エコノミーの賛同を得た。

(5)アジア太平洋貿易保険ネットワークの進捗、G20におけるコミットメントなど、貿易金融の円滑化に向けた取組が歓迎された。

3.地域経済統合の加速化

(1)昨年のリマでの首脳会議における首脳による指示に基づき地域経済統合を加速化するため、貿易及び投資の自由化の加速化(国境措置)、ビジネス環境の改善(国内措置)及び物理的連結性の強化(越境措置)の3分野について議論が行われた。アジア太平洋の自由貿易圏(FTAAP)構想に向けた構成要素の検討作業を加速するよう、高級実務者に対して指示が行われた。

(2)我が国より、地域経済統合は着実に前に進めるべき最も重要な課題の一つであり、FTAAPの選択肢に関して、様々な作業が進展を見せていることを歓迎するとともに、ビジネス環境整備について先導エコノミーとして貢献していく旨、表明した。また、ボゴール目標の先進エコノミーによる達成期限となる2010年にAPEC議長を務めることを踏まえ、責任をもってボゴール目標達成の検証方法、プロセスについての案をまとめ、11月の閣僚会議・首脳会議に提出したい旨を述べた。

4.人間の安全保障

(1)メキシコより、新型インフルエンザ対策の取組が紹介されるとともに、APEC地域において安心してビジネスに取り組める環境を整えることは、我々の責務の一つであり、ビジネス環境への脅威となり得るテロ、食料安全保障、保健、自然災害等の地球規模の課題に対処するため、人間の安全保障の観点から、個人及びコミュニティの保護と能力強化を通じて包括的な取組を行う必要性が共有された。

(2)我が国より、テロ対策タスクフォース(CTTF)における取組を通じてテロ対処能力の向上に努めること、APECにおける食料安全保障の取組を更に強化していくために、明年、食料安全保障に関する農業大臣会合を開催すること等を表明した。

5.経済・技術協力(ECOTECH)

(1)APECメンバーの発展段階の多様性を考慮し、域内の発展の格差の縮小と成長の障害の除去を目指す取組である経済・技術協力は重要な取組であり、この重要性は、APECが社会経済的側面への取組を推進しようとする中で、ますます高まることが確認された。

(2)我が国より、環境・エネルギー分野における官民協力、人材養成等が大切であり、特に、省エネ技術の普及を加速するため、我が国が1億2000万円(約130万ドル)をAPEC事務局に拠出して、「エネルギー効率化サブファンド」が創設されたことを述べた。

6.APEC改革

 APEC事務局の強化の一環として行われている、任期付き専任事務局長選定プロセスについて、議長から、ヌール・ヤコブ氏が2010年1月からの専任事務局長として承認されたことが報告された。また、APECのスローガン及び使命文章が承認された。

7.2010年日本APECのスケジュールの発表

 我が国より、2010年日本APEC首脳会合、閣僚会合等のスケジュールを発表し、来年は、本年のシンガポールAPECの成果も踏まえ、この地域が更に豊かに発展し続けるために、地域の進むべき新たなビジョンを示す契機としたい旨を述べた。

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