経済

APEC構造改革担当大臣会合閣僚共同声明(仮訳)

平成20年8月5日
於:豪州・メルボルン

I.はじめに

我々APECエコノミーの閣僚は、ウェイン・スワン豪州財務大臣閣下の議長の下、2008年8月3日~5日に豪州、メルボルンにて構造改革に関するAPEC会合を開催した。会合には、OECD事務局長、アジア開発銀行総裁及びAPECビジネス諮問委員会議長の出席を得た。

2007年、APEC首脳は、豪州がLAISRを進捗するために本地域における構造改革の優先事項を論じる本閣僚会合を開催することに合意した。LAISRには、競争政策、規制改革、公共部門管理、コーポレート・ガバナンス及び経済法制度整備の5つの優先作業分野が含まれる。

ペルーの2008年APECのテーマ「アジア太平洋の発展のための新たなコミットメント(new commitment to the development of the Asia-Pacific)」の下、我々は、APECエコノミーや更に広くはアジア太平洋地域における持続的な経済成長を支援し、市民の幸福を改善する構造改革の役割に対する我々のコミットメントを再確認する。

我々は、成功裡に構造改革を実施し、国内経済的、社会的及び政治的条件の文脈において、改革に対する政治的な支持を達成する経験を共有した。構造改革の重要な要素として規制改革を認識し、閣僚は、いかに適切に目標付け、順序だてた規制改革と公的な協議プロセスが、規制の質を改善し、より広く経済活動を促進することができるかについて議論した。

我々は、ビジネスの観点から構造改革の優先事項について議論するために、ハイレベルの産業界の代表に加わってもらった。改革の戦略を特定すると同時に、政府が国内の構造改革を推進するための支援に関し民間部門が果たす役割が探求された。

我々の目的は、構造改革の重要性を喚起し、一層の協力とキャパシティ・ビルディングの機会の探求により、APECエコノミーの経済的な潜在力、APEC地域の一層の統合を実現することである。我々は、構造改革が、地球規模のショックに一層弾力性をもつための能力を高め、グローバル化の利益を利用するための能力を改善することを認識する。

構造改革は、ボゴール目標の達成も含めた地域経済統合の基礎であり、APEC地域の強力で持続的な経済発展を継続するために不可欠である。我々は、現在行われているAPEC首脳によって検討された構造改革に関するイニシアティブを支持し、LAISR2010を前進させるための作業の強化を決意する。

II.構造改革の利益

構造改革は、経済パフォーマンスを改善し、地域経済統合を前進させるために「国内障壁(behind-the-border barriers)」を最小化するための、制度的枠組み、規制や政府の政策の改善によって構成される。我々は、適正に機能する市場を支援し、競争を促進し、マクロ経済的な安定、生産性及び経済成長に貢献し、最終的に持続的な方法で生活水準を高める手段として構造改革の推進に合意する。

我々は、以下を含む、構造改革の利益を認識する:

構造政策の改革は、全てのエコノミーにとって、継続的なプロセスであり、現在の挑戦である。構造改革は簡単な道筋ではない一方、我々は、その利益が極めて大きいことを認識した。うまく実施された構造改革アジェンダは、経済成長を促進し、生産性を高め、民間部門の発展を刺激する。

III.改革を成功裡に実施するための政治的な課題

構造改革は、その幅広い国内政治的、経済的、社会的文脈から独立したものとして扱われるものではない。強力な政治的な意思が、構造改革の成功にとって重要である。我々は、改革への障害を乗り越えるための手段を追求し、いかに政府が合意を通じて改革を遂行するために異なる制度、戦略プロセスを用いることができるか手法を追求する。

我々は、全てに適したひとつの改革アプローチがあるわけではないことに合意する。構造改革を実施しているAPECエコノミーにおける異なる経験は、政府が改革を行うにあたっての異なるオプションに対して価値ある洞察を与える。

我々は、構造改革の利益を伝えることを含め、構造改革を成し遂げるために適切な環境をどのように作り出すか、どのように合意形成するかについての見方を共有した。

我々は、政府の改革努力を支援する、多くの異なる制度の組み合わせやプロセスがあることに合意する。効果的な制度的枠組みは、ひとつ以上の制度や機構により構成され、異なる政府機関、諮問機関、規制機関等の複合体を含みうる。そうした制度間の役割や相互関係は、政府の改革の優先事項や戦略によって異なるかもしれない。それでも、我々は、制度の組み合わせやプロセスが、継続的な構造改革を推進し、遂行するための鍵であり、こうした組み合わせやプロセスが政府による力強いサポートを必要とすることに合意する。

我々は、国内の改革努力がAPEC-OECD規制改革統合チェックリスト、OECD競争評価ツールキットや世銀の“Doing Business”サーベイなどの国際的なツールによって推進され得るということについても認知する。

構造改革が、最終的には、経済成長を増大させ、市民の幸福を向上させる一方、短期的には、一時的な調整コストを含むかもしれない。このため、政府が規制の制定に際し、国民と協議することが重要である。我々は、政府には、セーフティ・ネットの活用などの調整メカニズムに必要なコストに対応する役割があることを認識する。

IV.産業界の代表との対話

我々は、APECビジネス諮問委員会を代表する産業界と、構造改革を推進し、実施する政府とともに協働する場合の、ビジネス・コミュニティの役割に関して、開かれた、率直な議論を行った。産業界の代表は、APEC地域においてビジネスを行う際の国内の障害に関し、価値ある見方を提供し、改革の優先順位の特定を支持した。

議論の主要なテーマには以下が含まれる:

我々は、不適当な、または、我々のエコノミーにおいてビジネス拡大や新しいビジネスを妨げ、非効率な分野をもたらす不適当な、または、不必要な規制を避けることの重要性について留意する。我々は、改革を推進する政府の制度やプロセスの役割を補完するといった、産業界がなしうる価値ある貢献を認識する。

我々は、対応すべき国内の障害を特定し、優先付ける支援をすることを産業界と引き続き約束する。我々は、構造改革に係るAPECの作業に関するABACとの対話の継続を支持する。

V.いかに規制改革の枠組みは構造改革を推進するか

我々は、構造改革の重要な要素としての規制改革に係るコミットメントを再確認する。規制は、政府の基本的なツールであり、経済を適正に機能させるための一部である。規制は、重要な経済的、社会的あるいは環境的な目的を達成するために、企業や個人の行動に影響を及ぼしてきた。我々は、うまく設計され、適切な規制は、この地域における、競争的かつ適正に機能する市場、強力で持続的な経済パフォーマンスを促進することを認識する。

我々は、市場の失敗の議論を含め、適正に機能する市場を促進するため、エコノミーにおいて適切な規制構造を作り、維持する重要性を中心に議論した。

我々は、新しい規制フローが適切であることや既存の規制ストックが、市場が進化し変化するにつれて見直されることを確保するため、健全な規制改革の枠組みに重要な役割があることを認識する。

我々は、(想定されるリスクや市場の失敗に基づく)規制の必要性と規制の導入によるコストとのバランスを見出す重要性を認識する。規制改革は、低質で非効率な規制の結果発生する不必要なコストに対応することを追求する。

我々は、APEC経済委員会によって用意された「規制改革に関するグッド・プラクティス・ガイド」を、新たな規制の影響の評価と同様に、既存の規制のレビューにおける加盟エコノミーのために価値あるツールと認識し、これを歓迎する。我々は、以下の良い規制のための幅広い原則を次のとおり承認する:

我々は、自身の特別な環境や優先事項を適合させつつ、規制を設計し、改善する本作業の優越性を追求する。

VI.APECの構造改革アジェンダの推進

1)構造改革についてAPECは共に作業

構造改革はAPECの経済アジェンダにおける主要な優先事項である。貿易・投資政策、構造政策、マクロ経済及び金融政策は、APECの経済アジェンダにおける3つの相互に補完する要素である。これら3つの要素は、APECの貿易投資委員会、経済委員会、財務大臣プロセスの責任を広く代表する。

行動のポイント

我々は、これらの機関がAPECの構造改革イニシアティブの推進に関し引き続き共に作業することを奨励する。

2)LAISRの推進

我々は、競争政策、規制改革、公的部門管理、コーポレート・ガバナンス、経済法制度整備の5つのLAISRの優先作業の推進についてAPECを支持するコミットメントを再確認する。

我々は、経済委員会がLAISRを進捗するためによい作業を行ってきたことに留意する。これには、主要な経済課題に関するAPEC経済政策報告書の公表と同様に、競争政策、公的部門管理、規制改革を議論するためにAPEC加盟エコノミーの公務員や専門家が会した様々なセミナーが含まれる。

我々は、LAISR作業計画を推進する経済委員会の詳細かつ野心的な推進計画への強力な支持を表明する。

行動のポイント

我々は、経済委員会に対し、高級事務レベルを通じ、APEC首脳に以下について報告するよう要請する:

経済委員会は、LAISRの主要要素に関し、必要な調査を行うためにAPEC政策支援ユニットの専門性を活用する。

3)キャパシティ・ビルディング

我々は、他のAPECの会議、ABAC、他の国際機関によってなされた作業を考慮しつつ、成功裡に構造改革を進めるために加盟エコノミーを更に支援するため、実務的な支援に関する計画の重要性に合意する。こうした実務的な支援は、LAISRの優先事項の下、政策に関する議論、セミナー、トレーニング・コース、人材派遣、ワークショップ、技術的支援と同様に、個人あるいは小グループが必要とするキャパシティ・ビルディング・イニシアティブを含むであろう。また、これは、二国間の支援イニシアティブを含みうる。

行動のポイント

我々は、経済委員会に対し、高級事務レベルを通じ、APEC首脳に、作業計画におけるキャパシティ・ビルディング・イニシアティブの強化を策定し、報告するよう要請する。

4)制度的枠組みのレビュー

我々は、政府が持続的な構造改革を達成することを助ける健全な制度的枠組みやプロセスの策定の重要性に合意する。

規制改革に関するAPEC-OECD統合チェックリストを補完する目的で、我々は、経済委員会に対し、構造改革を支持するエコノミーの制度的枠組みの自発的、自主的レビューのプロセスの更なる開発を要請する。

行動のポイント

我々は、経済委員会に対し、高級事務レベルを通じ、APEC首脳に、自発的、自主的なレビュー・プロセス開発の進捗状況に関して報告するよう要請する。

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