
第20回APEC閣僚会議共同声明(主要点:抜粋)
平成20年11月19~20日
(骨子・仮訳全文)(英語版(PDF)
)
序文
- 「アジア太平洋地域の発展への新たなコミットメント」という2008年のAPECのテーマの下、我々は地域が直面する主要な経済、人間の安全保障、環境及び社会上の課題について議論した。
- 我々は、1989年にAPECが創設されて以来、最も困難な一連の経済的状況の中で会議を開催した。すべてのAPECエコノミーが国際金融危機の影響を受けており、我々が過去10年にわたって記録してきた地域経済の高成長率は、大幅に下落する見込みである。商品・食料価格の乱高下は経常収支に影響を与え、インフレ圧力をかけている。我々の誓約は、金融及び経済の挑戦的な見通しに対処し、貿易と投資の自由化・円滑化を引き続き促進し、経済の構造改革を支援するために、APECを通じた地域協力を強化することである。
国際金融危機
- 現在の国際金融危機への迅速で協調した効果的対応を確保することがAPECエコノミーの最優先課題であり、APEC首脳が今週後半に会合を行う際の関心の焦点となろう。
- 我々は、中小企業(SMEs)が貿易を続けビジネスを拡大するための資金へのアクセスを確保することの重要性を認識した。我々は、この地域における貿易及び投資を支えるために協力し協働する輸出信用機関の努力を歓迎した。我々はまた、商品先物市場の透明性及び市場間の協力を増大させるために関連国内当局が行った作業に留意した。
- 我々は、こうした危機によって生じるいかなる保護主義への傾斜にも断固立ち向かい、改革及び貿易と投資の自由化・円滑化のプロセスを維持していく。このように、我々は、経済回復、成長、発展を促進するために全力を注いでいく。
- 我々は、首脳がG20ワシントン宣言を強く支持し、貿易及び投資の新たな障壁を設けないとの誓約を強調するよう提言した。
WTO及び多角的貿易体制の支持
- 本年、APEC貿易担当大臣会合は、世界貿易機関(WTO)ドーハ開発アジェンダ交渉の迅速かつ成功裡の妥結に向けた強力な支持を提供した。我々は、7月の閣僚会合におけるものを含む、ジュネーブで達成した進展を歓迎した。我々は、これまでの交渉で達成された真の進展が失われてはならないことで合意した。
- 本年末までにモダリティにつき最終決定するとのG20首脳の呼びかけに効果を与えるため、我々、APEC閣僚はジュネーブで参加すべく準備されている会合を含め、我々のパートナー達と緊急に交渉を進捗させるために必要な関与を進める。我々は、我々の高級実務者に対し、必要とされる準備作業を迅速に行うためにジュネーブにおいて対応可能にしておくよう指示し、また他のWTOメンバーに参加するよう呼びかけた。我々は、我々のパートナーに対し、所属するグループを通じた呼びかけを含め、野心的でバランスのとれた結果に向けて、柔軟性を発揮し、貢献を行うことを促し、また我々も同じことを行う。国際金融危機にかんがみ、これが一層緊急となっていると我々は信じる。
APEC地域経済統合アジェンダ
- 我々はアジア太平洋地域における経済統合強化に向け、本年とられた措置に関する進捗報告書を完成させ、首脳に提出した。
- 本年、アジア太平洋の自由貿易圏(FTAAP)構想の選択肢と展望についての実践的かつ追加的措置を通じた検討において、我々は大きな進展を遂げた。我々は、準備作業の一部として解決を要するであろう、あり得べきFTAAPの関連課題の予備的な一覧表の進展に留意した。
- 我々は、メルボルンで今年初めに開催された構造改革担当大臣会合の結果について議論した。我々は、「構造改革実施のための首脳の課題(LAISR)」の5つの優先分野に基づいて進められている作業を強化するための経済委員会の努力を歓迎した。
アジア太平洋における食料安全保障の改善
- 最近の食料価格の乱高下は、とりわけアジア太平洋地域及び世界中の最も貧しくぜい弱な人々に対し、深刻な課題をもたらしている。
- 我々は、食料安全保障の課題に対応するための技術開発及び普及の重要性を認識する。
- 我々はAPECに対し、APECによる、良く機能する市場、規制機関及びベスト・プラクティスの発展の促進についての作業を承認とともに留意しつつ、農業部門の成長に資する他の分野における技術協力及び能力開発の増強を促した。