平成19年9月8日
9月5日及び6日、豪州・シドニーにおいて第19回APEC閣僚会議が開催された。我が国より町村外務大臣及び甘利経済産業大臣が出席したほか、APEC各エコノミーから外務大臣、貿易大臣等が参加した(豪州のアレグザンダー・ダウナー外相及びワレン・トラス貿易相が議長)。6日には、閣僚共同声明が採択された。
議論の概要は以下のとおり。
(1)ドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に向け、首脳による力強い前向きなメッセージを発出すべきことで一致した。
(2)町村大臣より、1)7月に農業・NAMA(非農産品市場アクセス)交渉議長が作成したテキストは厳しい点も含まれているが今後のマルチの場での議論のベースとなると考えている、2)サービス貿易の自由化についても相応の成果を上げるべくAPECメンバーが質の高い自由化オファーを用意して交渉を牽引すべきである、3)APECメンバーは野心と現実のバランスを考慮しつつ交渉のためのリーダーシップを発揮すべきである旨を主張した。
(1)昨年、首脳より高級実務者に対し指示のあった、長期的展望としてのアジア太平洋地域の自由貿易圏を含む地域経済統合促進に関する報告書が承認され、首脳に報告されることとなった。
(2)町村大臣より、本報告書には、ボゴール目標の再確認や多角的貿易体制への支持といった、APECの基本理念である「開かれた地域主義」を堅持しつつ、更なる自由化・円滑化に向けた具体的かつ現実的な方法と手段が幅広く盛り込まれており、評価する旨の発言があった。
今後2010年までに貿易取引費用の更なる5%削減を目標とする「貿易円滑化行動計画(TFAP2)」が承認された。本分野での作業の進捗はビジネス界をはじめとする人々が具体的成果として実感できるものであり、我が国よりも本計画が承認されたことを歓迎するとともに、極めて野心的な目標の達成に向けて、設定した計画を確実に実施していくことの重要性を指摘した。
ビジネス界のニーズに応え、質の高い、包括的なRTA/FTA策定のための参照とするためのモデル措置策定作業が継続して行われ、昨年の6章の完成に続き、本年はさらに3章(電子商取引、原産地規則、衛生・植物検疫措置(SPS))のモデル措置が合意された。我が国が提案する投資章は、国内措置、ひいては地域経済統合に向けても重要な要素であることを訴え、引き続き各エコノミーの協力を慫慂した。
(1)国内措置及び構造改革に関する取組は、ボゴール目標達成の手段として、また地域経済統合に資するものとして重要との認識の下、「構造改革実施のための首脳の課題:LAISR」で示された5つの優先分野についての具体的な作業工程表が承認された。
(2)本件は、2004年サンティアゴAPEC閣僚会議において町村外務大臣より提案したテーマであり、構造改革への取組が重要な議題として着実な取組がなされていることを歓迎する発言を行った。
(1)APECが行ってきたテロ対策について、多くのエコノミーが支持し、今後もAPECでの活動を継続することが承認された。
(2)町村大臣より、生物・化学テロに関する我が国の取組を紹介するとともに、引き続きCBRN(化学、生物、放射能、核)テロに関するイニシアティブを実施していくこと、エネルギー輸送路の安全確保のための海上テロの防護の重要性を指摘した。
(3)なお、閣僚会議本会合の人間の安全保障の議題において、町村大臣より北朝鮮問題にも言及し、現在モンゴルで開催中の日朝作業部会における有意義な話し合いが行われることを期待する旨発言した。
APECでの取組の効率性・継続性を確保する観点から、APEC事務局長職専任化の準備等、事務局機能の強化を柱とするAPEC改革案が承認された。
(1)非公式朝食会の形式ではあったが、首脳会議で取り上げられる予定の気候変動問題につき、米・中国を含む外相レベルで議論が行われ、同問題につき緊急に対応することの重要性を確認するとともに、ポスト京都議定書の在り方の今後の協議の取り進め方につき各国の意見の開陳があった。
(2)町村大臣からは、安倍総理のイニシアティブ「美しい星50」を紹介しつつ、主要排出国の参加を前提として将来枠組みの構築にあたり、革新的技術開発、各国の状況を勘案した柔軟性、経済成長と環境保全の両立の重要性について説明するとともに、来年TICAD IV及びG8北海道洞爺湖サミットを主催する我が国としては、気候変動問題の解決に向けて積極的に貢献していく旨を表明した。