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オバマ米国大統領による米国の対アジア政策演説

平成21年11月14日

 14日午前10時過ぎより約30分間、訪日中のオバマ米国大統領は、サントリー・ホールにおいて、米国の対アジア政策に関する演説を行ったところ、概要次のとおり。

<ポイント>

  • 米国をアジア太平洋国家の一員と位置付け、同地域で米国がリーダーシップを維持・強化していく決意を表明。同盟関係の強化や地域の諸国とのパートナーシップの構築、多国間協力の進展を通じて、共通の課題に対処していく考えを強調。
  • 日米同盟はアジア太平洋地域の繁栄と安全の基盤であるとし、平等で相互尊重に基づいたパートナーシップという同盟の精神を守り続けていくと言明。

冒頭発言

 少年時代に母親と鎌倉を観光した思い出を語り、日本を再び訪れることができたことを喜んでいると述べ、天皇皇后両陛下、鳩山総理、日本国民(小浜市にも言及)の温かい歓迎に謝意を表明。

日米同盟

 米国のアジア太平洋地域への関与は、日本との同盟関係に今後とも大きく依拠。そのため、今回の外遊で日本を最初に訪問した。過去50年に亘り、日米同盟は、この地域における繁栄と安全の基盤として維持され、国際社会における日本の役割拡大に伴い進化してきた。日本は、イラクの再建や海賊対策において重要な貢献を果たし、最近ではアフガニスタンへの追加支援を発表し指導力を発揮。日米同盟は我々が共有する価値観によって支えられてきた。その一つである民主的選挙を通じて変化を公約する政権が両国で誕生。自分(オバマ大統領、以下同様)は、鳩山総理と共に両国国民及び我々の同盟関係のために新時代のリーダーシップを発揮することにコミットしている。在沖米軍の再編に関し、両国政府が達成した合意の実施を、共同のワーキング・グループを通じて、迅速に進めることで合意。平等で相互尊重に基づいたパートナーシップという同盟の精神を守り続けていく。

米国とアジアのつながり

 米国はアジア太平洋国家の一員であり、米国とアジアは歴史、経済的結びつき、人々の交流等を通じてつながってきた。自分もそのつながりの一部である(インドネシアやハワイで暮らしたこと等を紹介)。米国は、日本、韓国、オーストラリア、タイ、フィリピン等との同盟関係を強化すると共に、今後より大きな役割を果たしていくことが見込まれるインドネシアやマレーシアといった諸国との新たなパートナーシップを構築する。二つの戦争の中であっても、日本及び地域の安全に対する米国のコミットメントは決して揺るがない。

中国との関係

 台頭する中国に米国はどう対応するかについて多くの人々が関心を持っている。米国には、中国を封じ込める意図はなく、その一方で、中国との関係強化は同盟国との関係を弱めることを意味しない。米国は中国の国際社会での役割拡大を歓迎し、相互に関心を有する課題について現実的な協力を追求していく。中国の人権問題を引き続き提起していくが、敵意ではなくパートナーシップの精神に基づいて話し合いを進展させることを期待。

多国間協力の進展

 二国間関係と共に、多国間機構を発展させていくことが、地域の安全と繁栄に資する。米国がそうした機構から遠ざかっていた時代は過去のもの。明15日、APEC首脳会合に参加し、米国大統領としては初めてASEAN全10カ国の指導者と会談することを楽しみにしている。

経済関連

 経済回復を強化し、バランスと持続可能性を兼ね備える成長を追求。国際経済枠組み変革に踏み出した。G20は国際経済協力の主要なフォーラム。G20への転換は、21世紀に米国が求める関与を体現。日本は、G8の鍵となる国として、将来の国際金融枠組み形成に指導的役割。経済危機の教訓は、米国消費者とアジアの輸出のみに依存した成長の限界。転換はピッツバーグでの合意から始まる。野心的かつバランスのとれたWTOドーハ合意は、どんな合意でも良いのではない。時宜を得て合意できるか見極めるため、アジアのパートナーと協働する用意あり。この地域の経済統合による利益も確信。韓国との通商協定の前進に必要な問題を共に克服する。幅広い参加と高水準の地域協定という目標をもって、TPPの国々に関与。

気候変動

 米国は過去10ヶ月の間、過去にないほど多くの取組を行ってきたが、まだなすべきことは多い。我々はCOP15の成功のため努力しなければならない。主要排出国は明確な温室効果ガス排出削減目標を持たなければならず、開発途上国は排出削減のため実質的な行動をとらなければならない。地球を危険にさらすことなく経済を成長させなければならないが、的確なルールとインセンティブを設ければ、科学者や起業家の力で、新たな雇用・ビジネス・産業が生まれるであろう。

核廃絶への取組

 日米両国は核兵器の威力を最もよく知る国であり、核廃絶に向けて協力しなければならない。我々は核のない世界に向けた安保理決議を全会一致で採択したほか、ロシアとのSTART後継条約交渉、CTBTの批准に向けて努力している。来年には核セキュリティー・サミットを開催。

北朝鮮

 我々は北朝鮮に対する制裁を強化し、北朝鮮の大量破壊兵器関連活動を規制する強力な国連安保理決議を採択した。我々は脅しに屈することなく、行動で北朝鮮に対し明確なメッセージを送り続ける。一方で、北朝鮮が六者会合への復帰、NPTへの復帰を含む国際約束の遵守、朝鮮半島の非核化に応じる際は、北朝鮮により良い将来を提供していく。また、北朝鮮と近隣諸国との完全な国交正常化は、日本人の被害者家族が拉致被害者に関する十分な説明を受けることが前提となる。

ミャンマー

 これまで、米による制裁も、他国による関与政策も、有効に機能しなかったため、米はビルマ(ママ、以下同様)指導者との直接対話を開始。ビルマに対し、民主化への具体的な道筋がなければ、現在の制裁は継続することを明確にした。ビルマは、アウン・サン・スー・チー女史を含む政治犯の無条件の釈放、少数民族や野党と軍政との真の対話を実現させなければならない。

結語

 自分は、太平洋地域出身の最初の米国大統領として、米国がこの重要な地域におけるリーダーシップを維持・強化していくことを約束する。

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