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日米外相会談の概要

平成22年1月12日

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 米国ハワイ時間12日午前8時40分(日本時間13日午前3時40分)より約80分間、ハワイ訪問中の岡田大臣は、クリントン国務長官との間で日米外相会談を行ったところ、概要以下のとおり。

日米関係

(1)総論

 岡田大臣から、本年の日本外交の課題の第一は、日米同盟の深化である、日米安保条約改定50周年である本年を日米同盟を21世紀にふさわしい形で一層深化させる年とすべく、クリントン長官と協力していきたい、現在、東アジアの安全保障環境が依然として不安定な中、日米同盟は引き続き我が国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定に不可欠と認識している、過去50年以上にわたり大きな役割を果たしてきた日米同盟を、更に30年、50年持続可能なものに深めていきたい旨述べた。両大臣は、普天間飛行場の移設については真剣に取り組むことが重要であるが、日米間には協力して対応すべき重要な課題が他にも数多くあり、それらについてもきちんと対応して行く必要があるとの認識で一致した。

(2)日米安保
(イ)改定日米安保条約50周年記念の声明の発出

 両大臣は、改定日米安保条約の署名から50年に当たる1月19日に、「2+2」の閣僚による共同声明を発出する方向で調整を開始することで一致した。声明の内容は、今後調整するが、基本的には、過去半世紀にわたる日米安保体制の成果を評価しつつ、今日及び将来における同盟の意義を確認し、これを21世紀にふさわしい形で深化させていくとの日米両国のコミットメントを明確にすることで一致した。

(ロ)改定日米安保条約50周年に当たっての同盟深化のプロセス

 両大臣は、本日の会談をもって昨年首脳間で合意した同盟深化のための協議プロセスを開始することで一致した。両大臣は、同盟深化のプロセスにおいて、具体的にどのような安全保障協力を推進していくかは、今後「2+2」の枠組みの下、よく議論をしていくこと、まずは閣僚の指示に基づき、実務レベルでの検討を開始することで一致した。その上で、双方の都合がつくのであれば、本年前半の適切なタイミングで「2+2」を行うことで一致した。また、両大臣は、50周年のプロセスで具体的にどう同盟を深化させていくかについては、今後協議するが、まず、東アジアの安全保障環境の分析や日米の能力の検討を共同で行うこ とから始めるとの認識を共有した。

(ハ)普天間問題、在日米軍再編

 岡田大臣から、普天間移設問題について、現在、代替施設の移設先につき連立与党で作業を開始したところであること、鳩山総理及び自分は5月までに結論を出すことを明らかにしていること、昨年内に移設先を決定できなかったが、来年度の予算に普天間代替施設関連経費を計上し、現在進行中の普天間代替施設に係る環境影響評価のプロセスを継続することは、連立与党でも確認していることを説明した。クリントン長官からは、現行のロードマップの結論は非常に長い時間をかけて検討を行った結果であり、日米安保条約に基づく日本防衛のコミットメントの重要性に鑑みてもロードマップのコミットメントが最善であるとして、米国の考え方について説明があった。

(ニ)その他

 岡田大臣から、いわゆる「密約」問題に関し、本件は米国で既に情報公開が行われているものであるが、国内での調査に関する作業が少々遅れ気味である旨、自分は本件が日米安保体制の運用に悪影響を与えてはならないと考えており、米国とも連絡をよくしていきたい旨述べた。

(3)日米経済

 クリントン長官から、日本のエコカー補助金制度が米国車を排除しているのではないかとして米議会において懸念が高まっていると提起があり、日米間で連絡をよくしていくことで一致した。


国際情勢

(1)アフガニスタン

 クリントン長官から、日本政府が新たに発表した対アフガニスタン・パキスタン支援パッケージに感謝している、日本のコミットメントはグローバルな重要性を有しており、米国においてもそのように認識されているとの評価が示された。これに対し、岡田大臣から、引き続き国際社会の努力と連携して民生分野における支援を強化していきたい、対アフガニスタン・パキスタン支援パッケージの具体策の一環として、2009年度第二次補正予算案と2010年度当初予算にアフガニスタン関連で計約800億円を計上することを閣議決定した旨説明し、アフガニスタン国民にとって意義のある使い方をしたく、よく協議していきたい旨述べた。両大臣は、1月28日のロンドン会議に向けて日米間の協力を推進していくことで一致した。

(2)イラン

 クリントン長官から、イランの核問題は大変微妙な時期にさしかかっているとの現状認識が示された。岡田大臣から、イランの核問題に対する深刻な懸念を共有しており、EU3+3のデュアルトラック・アプローチを支持している、日本としても独自にイランに建設的な対応を働きかけている旨、その一環として、先般、訪日したジャリリ国家安全保障最高評議会書記と意見交換を行い、テヘラン研究用原子炉用燃料を巡る問題については、国際社会に受け入れられるような解決のための働きかけを行った旨、今後も問題解決に向け、日本として出来ることがあれば対応したい旨述べ、本件について日米間でよく相談していく必要がある ことで一致した。

(3)北朝鮮

 クリントン長官から、米国としてはボズワース訪朝後も説明しているとおり、六者会合の枠内で本件を進めていくとの認識を表明し、六者会合の再開に向けて引き続き緊密に協力していくことで一致した。これに対し、岡田大臣から、日米韓の連携を重視するオバマ政権のアプローチを高く評価している、北朝鮮が平和協定に関する交渉を進めることを主張しているが、これは非核化への遅延工作の口実となる可能性がある旨指摘し、クリントン長官も同様の認識を表明した。拉致問題に関し、岡田大臣から、9月の日米外相会談でクリントン長官から拉致問題に言及したことに謝意を表明し、これからもよろしくお願いしたいと要請した。クリントン国務長官からは、2月の訪日の際に拉致被害者家族と面会したが、拉致問題は許し難いものであるとして、本件に対する関心が表明された。

(4)ミャンマー

 岡田大臣から、ミャンマーにおける民主化はミャンマーの国民及びASEAN全体の成功にとり極めて重要である、本年予定されている総選挙を透明で開かれた、国際社会にも受け入れ可能なものとしていくことが必要であり、キャンベル国務次官補がミャンマーを訪問する等、米国が関心を持って本件に取り組んでいることを評価している旨述べた。これに対し、クリントン長官から、ミャンマー問題についてはキャンベル国務次官補を中心として対応している旨、本件について日本は特に重要なプレーヤーである旨述べ、両大臣は日米で緊密に連携していくことで一致した。


グローバルな課題他

(1)気候変動

 クリントン長官から、COP15における成果の一つとして、日本が途上国支援を打ち出したことに対する評価が示され、両大臣は、COP15においてまとめられた「コペンハーゲン合意」を基礎として、特に主要な途上国をはじめとするなるべく多くの国から「コペンハーゲン合意」への支持を得ることが重要であるとして、日米間の協力を進めていくことで認識が一致した。

(2)核軍縮・不拡散

 岡田大臣から、「核兵器のない世界」に向かう大きな流れの中で、安全保障上の観点も踏まえつつ、イニシアティブをとることが重要であり、日本政府は、先日の川口・エバンス委員会報告書も参考にしつつ、国際社会を主導する新しい政策提言を作成していきたく、今後、米国とも十分に協議していきたい旨述べ、両大臣は、核セキュリティー・サミット及びNPT運用検討会議で成果を得るため日米で緊密に連携していくことで一致した。

(3)アジア太平洋の枠組み

 クリントン長官から、本12日午後にハワイの東西センターで演説を行う予定であり、その中では、自分の訪日を含むアジア歴訪で示された米国のアジア地域への関与が今後とも継続的で肝要なものであるということを強調する予定である旨、アジア太平洋地域には様々な多国間のフォーラムが存在するが、これらが前向きな結果を出すよう協力していきたい旨述べた。これに対し、岡田大臣から、とりわけAPECは、本年及び来年、日米両国が主催することから、APECがより一層意義のあるものとなるよう、日米間での協力を進めていきたい旨述べた。

(4)G8及びG20

 両大臣は、G8及びG20について、それぞれの意識や、政治面、安全保障面及びグローバルな課題への対処におけるG20の重要性が高まっていることに着目し、意見交換を行った。

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