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日・シンガポール首脳会談(概要)

平成19年3月20日

 3月19日午後、安倍総理は、来日中のリーシェンロン・シンガポール首相と会談を行ったところ、概要以下のとおり。また、本件会談に引き続き、日シンガポール経済連携協定改正議定書への署名が、両首脳により行われた。

1.二国間関係

(1)一般

 安倍総理より、日本とシンガポールは、自由、民主主義、法の支配等の基本的価値を共有している。地域及び国際社会の様々な課題に対し、「信頼できるパートナー」である貴国と引き続き緊密に協力していきたい。今回の日シンガポール経済連携協定の改正議定書への署名は大変喜ばしく、これにより両国の経済関係が更に発展することを期待する旨述べた。これに対し、リー首相より、両国は昨年外交関係樹立40周年を迎え、天皇皇后両陛下にもシンガポールを御訪問いただき、大変な成功であった。シンガポールは、経済面のみならず文化というソフトパワーの面でも、日本とASEANの関係強化に協力していきたく、貢献していく用意がある旨述べた。

(2)日本情報発信についての協力

 安倍総理より、「日本センター」設置の件(注:文化情報を中心とする日本情報の発信拠点をシンガポールに設置してはどうかとのシンガポール提案)については、アジア・ゲートウェイ構想を具体化させる上で有意義であり、実現に向けて、シンガポール側と十分に協議しつつ必要な検討を進めたいと述べた。これに対し、リー首相より、本件「日本センター」は東南アジアにおける日本のソフトパワー発揮の基盤になると述べるとともに、日本の文化や生活に関する情報を紹介するテレビ番組を両国で共同で制作して東南アジア向けに放送してはどうか、双方向のデジタル・メディアについて両国で協力してはどうかとの新たな提案があった。(安倍総理より、関係当局にて検討させたい旨応答。)

2.日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)交渉

 リー首相より、東南アジアと日本の戦略的な連携を進める上で、AJCEPが成功裏に締結されることを望んでいる旨述べたのに対し、安倍総理より、AJCEP妥結のためには双方のセンシティビティを踏まえた現実的なアプローチが不可欠であり、本年4月の交渉期限に向けて日本・ASEANの双方が更に努力をしていく必要があると述べた。

3.東アジア地域協力

 リー首相より、アジア・太平洋では、ASEANプラス3、東アジア・サミット(EAS)、APECと色々な枠組みがあり、そうした枠組みについても日本との協力を進めていきたい。日本から東アジア包括的経済連携構想(CEPEA)の提案が出されているが、非常によい提案であり、真剣に検討するに値する等述べた。これに対し、安倍総理より、アジア太平洋地域においては、中国、インドの台頭がめざましく、両国の巨大なエネルギーをいかに取り込みつつ発展していけるのかが大きな課題である。地域の安定と繁栄を考える場合には、米国の政治的、経済的、軍事的なプレゼンスが重要である。ASEANの主体性を活かすことができ、かつ、インド・豪州が参加する、EASの枠組みが極めて重要である。前回のEASで示された各イニシアティブの具体化が必要であり、具体的な成果を出す上で、次期議長国である貴国のリーダーシップに期待する旨述べた。

4.国際情勢

(1)中国

 安倍総理より、昨年中国を訪問し「戦略的互恵関係」を発展させていくことで中国と合意した。今後中国が透明性を高めながら、地域及び世界において責任ある役割を果たしていくようにする必要がある旨述べた。これに対し、リー首相より、中国の発展のためには平和が必要であることは、現在の中国の指導者はよく理解しているが、このような考えが次の世代にも引き継がれることが必要である。どのようなインセンティブを中国に与えて、中国が平和的に発展することを確保するかが重要である旨述べた。

(2)北朝鮮

 安倍総理より、先の六者会合で非核化に向けた第一歩に合意したが、今後その実施を具体的に進めていくことが重要であり、貴国を含めた国際社会の働きかけを期待する。拉致の問題については、日朝の作業部会で議論しているが、残念ながら進展が得られていない。この問題についても、国際社会の協力が必要であり、貴国の理解と支持を得たい旨述べた。

(3)インド

 安倍総理より、国際社会におけるインドの存在感・重要性は増大している。昨年12月に日印間で、政治、経済、文化交流等における協力促進に合意したが、協力水準を実質的に高めていくことが今後の課題である旨述べた。これに対し、リー首相より、インドの発展は、シンガポールや東南アジアの発展にとっても重要である。インドが漸進的に発展していくよう、日本の企業による後押しを頂きたいと考えている旨述べた。

5.国連

 安倍総理より、従来より、日本の常任理事国入りを支持頂き感謝する。我が国は引き続き改革実現と常任理事国入りを目指しており、今後とも緊密に協力していきたい。また、我が国は、2008年の安保理非常任理事国選挙に立候補しており、是非とも貴国から支持表明をいただきたいと述べた。これに対し、リー首相より、2008年の非常任理事国選挙について日本を支持する。シンガポールは、2005年に日本の安保理常任理事国入りについて公に支持を表明しているが、その論理的な帰結として、日本が非常任理事国の選挙に立候補することについても公に支持を表明したいと述べた。

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