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サウジアラビア王国スルタン皇太子の薨去:
皇太子殿下及び鳩山政府特派大使の御弔問
(概要と評価)

平成23年10月26日

 10月26日,皇太子殿下及び鳩山由紀夫政府特派大使(元総理)は,スルタン皇太子の薨去に際しての御弔問のためサウジアラビア王国を御訪問したところ,概要と評価は以下のとおり。

1 概要

(1)スルタン皇太子の薨去

 10月22日,現地時間午前7時(日本時間午後1時)のサウジ国営通信は,外国に滞在中のスルタン皇太子兼第一副首相兼国防航空相兼監察総監が薨去した旨の王宮府声明を発表した。25日は午後2時より,弔いの礼拝が行われ,GCC諸国及びイスラム・アラブ諸国からの弔問者が参加した。その他の外国からの弔問については,26日の午後に行われた。

(2)皇太子殿下及び鳩山政府特派大使の御弔問

  1. (ア) 皇太子殿下及び鳩山政府特派大使は,26日午前日本を出発し,現地時間同日午後リヤドに到着,リヤド空軍基地にてサッターム殿下(リヤド州副知事)らの出迎えを受けた。
  2. (イ) 同日午後6時43分から,皇太子殿下及び鳩山政府特派大使は,ヤママ宮殿にて,アブドッラー国王の名代としてのサルマン殿下(リヤド州知事。故スルタン皇太子と同腹の王弟),に対して天皇陛下の御弔意を伝達なさり,弔意を表し,約10分間懇談された。サウジ側は,ハーリド・ビン・スルタン殿下(国防次官。故スルタン皇太子の息子),トルキー・ビン・ムハンマド殿下(外務副大臣),スルタン・ビン・サルマン殿下(遺跡観光庁長官。サルマン殿下の子息)他が同席した。懇談においては,皇太子殿下のサウジ御訪問やサルマン殿下の訪日時の思い出を交えながら,短時間ながら心のこもった和やかなやりとりが交わされるとともに,双方にとり日サウジ関係が重要であり,政治・経済のみならず,幅広い分野で関係を強化していくことを改めて確認した。また,皇太子殿下から,東日本大震災に際してのサウジアラビアからのお見舞いと支援に対し感謝を述べられたのに対し,サルマン殿下から,それは我々にとって義務である旨述べるところがあった。
  3. (ウ) なお,サルマン殿下からは,国王陛下は病院から退院したばかりであるため,また,ナーイフ殿下も,弔問の場に不在であることについてお許し願いたい旨述べるところがあった。26日の非アラブ・イスラム圏の友好国からの弔問は全てサルマン殿下が受けられた由。
  4. (エ) また,皇太子殿下は,サウジアラビア滞在中,同じく弔問に訪れていたフェリペ・スペイン皇太子殿下,カール・フィリップ・スウェーデン王子殿下と懇談された。
  5. (オ) なお,皇太子殿下と鳩山政府特派大使は,26日夜リヤドを発ち,日本時間27日午後帰国された。

2 評価

  1. (1) 今回のスルタン皇太子薨去に対する弔問に我が国から皇太子殿下が参列されたことは,皇太子殿下御自身の故スルタン皇太子をはじめとするサウジアラビア王家との強い絆を含め皇室とサウジアラビア王家とが緊密な関係を有すること,故スルタン皇太子が日サウジ関係の礎を築き,その発展に多大なる貢献を行ってきたことなどに照らしてのことである。2006年8月にファハド前国王崩御に際しての御弔問に続いて皇太子殿下が参列されたことは,日サウジアラビア関係及び両国皇室・王室関係の緊密な友好関係を象徴するものとして,極めて重要な意義をもつものであった。
  2. (2) また,鳩山元総理が,政府特派大使として皇太子殿下に同行して弔問に参列したことは,サウジアラビアの我が国にとっての高い重要性を反映したものであり,日サウジアラビア関係の一層の発展に資するものであった。同時に,スルタン皇太子薨去発表の翌23日に,野田総理及び玄葉大臣が,在京サウジアラビア大使館を記帳のために訪問したことは,我が国のサウジアラビアを重視する姿勢の現れとなった。
  3. (3) サウジ側は,退院したばかりのアブドッラー国王の名代として,最有力王族の一人であり,スルタン皇太子の同腹の王弟で同皇太子の外国での治療にずっと付き添っていたサルマン殿下が,同皇太子の子息と共に迎えられた。サルマン殿下は日本との関係も深く,今回の弔問でも各国からの弔問客の接遇で多忙を極める中で,皇太子殿下のために着席して対応し,自らの訪日経験の思い出を含めて親しく語らわれ,双方は日サウジアラビア二国間関係の重要性を確認し,二国間関係を政治,経済分野のみならず幅広い分野で強化していくことで一致した。
  4. (4) 今回の弔問は,日サウジ間及び両国皇室・王室間の絆を再確認し,両国関係の重要性についても改めて認識させるものであり,我が国とサウジアラビアとの今後の一層の発展に多大なる貢献となる重要な御訪問となった。
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