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第12回日・南アフリカ・パートナーシップ・フォーラム
(概要)

平成25年3月8日

  • (写真)第12回日・南アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(概要)-1
  • (写真)第12回日・南アフリカ・パートナーシップ・フォーラム(概要)-2

 2月28日(木曜日)及び3月1日(金曜日),南アフリカ共和国(以下,南ア)の首都プレトリアにおいて,同国を訪問中の松山政司外務副大臣と,エブラヒム・イスマイル・エブラヒム南アフリカ共和国国際関係・協力副大臣(H.E.Mr. Ebrahim Ismail Ebrahim, Deputy Minister of International Relations and Cooperation of the Republic of South Africa)の共同議長の下,第12回日・南ア・パートナーシップ・フォーラムが開催されました。

 2月28日(木曜日)は貿易投資,開発,科学技術の3つの作業部会にて,我が国と南アの実務レベルの会合が行われました。また,1日(金曜日)には,政治セッションとして,両議長をヘッドに午前11時から会談及び引き続き昼食会を行いました。

1 実務レベル会合

(1)貿易投資セッション(第4回日・南ア貿易投資委員会(JTC))

  1. (ア)同セッションは政府関係者に加え,日本側より民間企業からの参加を得て開催しました。南ア側からは,黒人経済力強化政策(BBBEE),自動車生産開発プログラム(APDP),ローカライゼーション政策につき紹介があり,日本側よりマクロ経済政策,エネルギー政策等の最新状況につき説明しました。
  2. (イ)また,南ア側及び日本側双方による貿易投資促進と経済協力推進に向けた具体的な活動について報告し合い,日本企業による南アフリカにおける事業展開状況について説明を行いました。
  3. (ウ)南アフリカにおける事業環境課題として労働問題や電気料金の高騰が指摘され,両国間官民での協議を続けていくことで一致しました。
  4. (エ)日本と南アを含む南部アフリカ関税同盟(SACU)との間の自由貿易協定交渉に向けて日本側が引き続き関心を有していることを表明しました。
  5. (オ)昨年5月のデイビス貿易産業大臣訪日の際に合意した南ア貿易産業省と日本経済産業省との間の共同研究について,6月のTICADVにおいて最終報告書を提出することを確認しました。

(2)開発協力セッション

  1. (ア)南ア側より,インフラ整備のニーズが大きいため,円借款の活用に引き続き関心あると述べ,円借款の供与の可能性につき引き続き協議して行くこととなりました。
  2. (イ)技術協力に関しては,南ア側より,高等・基礎教育,公共サービス,科学技術,水管理,保健,身障者支援の関係省庁,南部アフリカ開発銀行(DBSA)への専門家や青年海外協力隊員の派遣につき謝意が述べられ,また,我が国の協力は透明性が高く,他ドナーに対しても日本を模範とするよう推奨している旨の発言がありました。
  3. (ウ)JICAより,TICADVに向け,カイゼンなど産業に役立つ知識を広める人づくり拠点構想,成長回廊調査,アジア・アフリカ開発銀行ネットワーク等につき紹介し,南ア側より地域も裨益する事業を南アを拠点として実施する計画につき賛同を得ました。

(3)科学技術セッション

  1. (ア)日・南ア科学技術協力協定に基いて昨年10月に東京で開催された第4回日・南ア科学技術合同委員会を踏まえ,宇宙科学,材料科学,人材開発(含むポスドク交流)等の分野で協力を拡大して行くこと,ネムリユスリカの生息地調査,水素等の新材料に関する共同研究の可能性を追求することが確認され,次回(第5回)日・南ア科学技術合同委員会を2年以内に南アにて開催することが確認されました。
  2. (イ)南アとして在京南ア大使館に科学技術アタッシェを引き続き派遣し,東アジアにおける科学技術協力拠点として行くことにつき説明がありました。
  3. (ウ)日本側より,4月9~13日にケープタウンに有人潜水調査船「しんかい6500」の支援母船「よこすか」のケープタウン寄港計画につき紹介し,南アの大学生,高校生等を対象とした講演等の機会が設定されることが確認されました。

2 政治セッション(外務副大臣会談)

(1) 二国間関係

  1. (ア)昨年12月に誕生した安倍政権とズマ政権との間で緊密な協力関係が構築されるべきことを確認し,二国間の「戦略的協力関係」をさらに強化していくことで一致しました。エブラヒム副大臣より,1998年に設置された日・南ア・パートナーシップ・フォーラムは極めて有用であるものの,設立当初より二国間の関係は大きく拡大しているので,各セッションの再編を行うべきことを提案し,日本側でも検討することとなりました。
  2. (イ)経済関係について,エブラヒム副大臣より,日本の先進技術は魅力的であり,日系企業が南アで雇用を創出していることを評価するとしつつ,世界3位の経済大国である日本と引き続き貿易投資関係を増大を希望する旨述べ,また,アフリカにおける鉄道・エネルギー・通信等の大規模インフラ計画,特に南北回廊への日本企業の投資に期待が表明されました。これに対し,松山副大臣より,日本企業によるインフラ建設は,技術移転,人材育成,現地化,雇用創出,最新先端技術の利用が特徴であり,南ア政府の政策にも合致している旨,特に鉄道分野については,南アを拠点としたアフリカ鉄道産業人材の育成等に全面的に協力していくと表明し,さらに,鉱山分野については本年5月16~18日に茂木経済産業大臣と南アのシャバング鉱物資源大臣を共同議長とする「日アフリカ資源大臣会合」が開催されることを確認しました。
  3. (ウ)さらに,松山副大臣より,昨年7月,我が国とアフリカ諸国との間では初となる税関相互支援協定が締結され,また10月には二国間科学技術協力協定に基づく「日・南ア科学技術合同委員会」も開催され,11月には水分野に関する二国間会合も開催されるなど,各分野での協力が着実に推進されていることを確認しました。南ア側からは,南アが豪と共同でホストすることとなったSKA(世界最大の電子天体望遠鏡)への日本企業の参入に対する期待が表明されました。

(2) TICAD

 松山副大臣より,本年6月のTICADVは,TICAD20周年,OAU/AUの創立50周年の節目に開催される5度目の首脳会合であり,「成長の質」を高めることを目指し,国際社会とアフリカがとるべき具体的行動につき協議していくとしつつ,TICAD成功に向けた南アの協力を求めました。これに対し,エブラヒム副大臣より,アフリカ開発に関する日本と南アの連帯は,二国間関係における基礎であるとしつつ,TICADVにズマ大統領が出席する旨表明しました。両国は,TICADVの成果を高めるために協力して行くことで一致しました。

(3)国際場裡における協力

  1. (ア)松山副大臣より,南アの軍縮・不拡散分野における精力的な取組を評価するとともに,両副大臣は,両国間でアプローチは異なるものの「核兵器のない世界」に向け,国連をはじめとする様々なフォーラムで協力してきており,また今後も協力することで一致しました。
  2. (イ)国連安保理改革に関し,両副大臣は,緊密に協力していくことで一致しました。
  3. (ウ)気候変動分野に関し,松山副大臣から気候変動分野における2012年10月末までの途上国への短期支援として南アを含むアフリカ諸国に対して,約15.5億ドルの支援を行っており,今後とも適切な支援を実施していきたい旨述べました。

(4)地域情勢

 両副大臣は,マリ,スーダン・南スーダン関係,マダガスカル,北朝鮮等の地域情勢についても意見交換を行いました。

(5)総括

  1. (ア)松山副大臣より,東日本大震災2周年を前に救助隊レスキュー・サウスアフリカの派遣につき,あらためて感謝の意を述べました。
  2. (イ)エブラヒム副大臣より,昨年,ズマ大統領より,反アパルトヘイト運動において顕著な貢献を行った秋庭稔男氏に「コンパニオン・オブ・ORタンボ勲章」を授与したことを紹介し,今回確認された日本と南アの友好関係は,こうした苦しい時代における連帯に立脚したものであると発言しました。
  3. (ウ)最後に,両副大臣は,本フォーラムは,安倍・ズマ両政権の下で初めて行われた両国間の公式協議となり,ズマ大統領の訪日のモメンタムを高めていく意味において,時宜にかなったものとなったとして,今後,両国が今回の成果を踏まえて,ズマ大統領の訪日を実りあるものとするよう準備を進めていことで一致しました。

【参考】日・南ア・パートナーシップ・フォーラム

 1998年4月に首脳間で設置に合意して依頼,日本と南アフリカ間で両国間関係強化のために開催している政府間協議。貿易投資,経済協力等における協力関係強化をテーマに議論を行っており,一昨年から民間部門の参加も得ている。


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