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日露外相会談
(概要)

平成20年11月5日

 11月5日、中曽根外務大臣は訪日中のラヴロフ・ロシア外務大臣と会談し、平和条約締結交渉を含む二国間関係及び国際金融情勢等につき協議したところ、結果概要以下のとおり。

 なお、ラヴロフ大臣はこれに先立ち4日に北海道函館市を訪れ、旧在函館ロシア領事館開設150周年記念行事等に出席した。また5日午後には民間外交推進協会(FEC)主催の講演会において講演を行った。

【ポイント】

  • 11月中旬のAPEC首脳会議の際に日露首脳会談を行うことで一致。
  • 領土問題について、7月の北海道洞爺湖サミットの際の日露首脳会談において両首脳が一致した共通の認識を受けて、外相レベルにおいても北方領土の帰属の問題を最終的に解決するために前進する決意で一致。
  • 国際金融情勢及びグルジア情勢に関する議論の中で、世界経済において両国が責任ある立場から建設的役割を果たしていくことを確認し、11月15日にワシントンで開催される予定の金融・世界経済に関するG20首脳会合の成功のため、日露両国が国際金融の健全化に向けて協力していくことで一致。

1.政治対話

 両大臣は、11月22~23日のAPEC首脳会議の際に日露首脳会談を行うことで一致した。

2.平和条約締結問題

(1)中曽根大臣より、7月の日露首脳会談の際、メドヴェージェフ大統領が、領土問題が解決されれば両国関係が最高水準に引き上げられることに疑いがなく、現状の両国関係を抜本的に変えられると思う旨発言したことは心強い旨述べた上で、この会談で確認された共通の認識(注)を踏まえ、今後の作業のあり方について我が方の考え方を説明。

(2)ラヴロフ大臣より、7月の首脳会談におけるメドヴェージェフ大統領の発言を支持する、この問題の解決を真に欲しており、積極的に作業を前進させる決意がある、そのためには互いに極端な立場から離れ、妥協の精神の下、受入れ可能な解決策を模索する必要がある、ロシア側としては56年宣言が相互に受入れ可能な解決策の基礎になるべきであると考える旨述べた。同時に、問題解決のための良好な環境を整備することが重要であり、「日露行動計画」に基づき幅広い分野での協力を発展させるとともに、互いの国に対して国民が抱くイメージの改善に向けた作業を行うことが重要である旨指摘。

これに対し中曽根大臣より、交渉の現状についての我が方の率直な評価を述べ、領土交渉についても、経済分野等にみられる質的な進展に見合うような進展を図らなければならない旨指摘。また、両国民のイメージの改善については、日本側も青年交流に関するパンフレットの配布やポスターの掲示等を通じて既に努力している、世論については貴国大統領の支持率は極めて高く、ロシア側において、貴大臣や首脳がリーダーシップを発揮してもらいたい旨強く申し入れた。

(3)以上の議論を経た上で、両大臣は、7月の首脳会談で一致した共通の認識にしたがい、外相レベルにおいても、北方領土の帰属の問題を最終的に解決するために前進する決意で一致。

(注)平和条約締結交渉に関する現段階での共通の認識

 平成20年7月8日に行われた北海道洞爺湖サミットの際の日露首脳会談において、福田内閣総理大臣とメドヴェージェフ・ロシア連邦大統領は、平和条約交渉に関する現段階での共通の認識として以下を確認した。

  1. アジア太平洋地域において、日露両国が協力と連携を深めていくことは、両国の戦略的な利益に合致するのみならず、この地域の安定と繁栄に貢献するためにも必要であること。
  2. 戦略的に重要な隣国である両国間に平和条約が存在しないことは、幅広い分野における日露関係の進展にとり支障になっていること。日露双方とも両国関係を完全に正常化するため、この問題を棚上げすることなく、できるだけ早期に解決することを強く望んでいること。
  3. 平和条約については、日露間の領土問題を最終的に解決するものでなければならないこと。この問題の解決は、日露両国の利益に合致し、双方にとって受入れ可能なものでなければならないこと。
  4. 日露双方は、以上の共通認識に従い、これまでに達成された諸合意及び諸文書に基づき、平和条約につき、首脳レベルを含む交渉を誠実に行っていく意向であること。そして、この問題を最終的に解決するために前進しようとする決意が双方において存在すること。

3.その他の協力

(1)実務分野

 日露刑事共助条約が近く署名できる見通しとなったことを歓迎。その他の協力についても作業を加速することで一致。

(2)漁船拿捕

 中曽根大臣より、再発防止や事実関係の解明の観点から、「拿捕」された漁船の船体を速やかに返還するよう求めた。

これに対しラヴロフ大臣より、「第三十一吉進丸」についてはロシアの「裁判」によって「没収」が決定しておりこれを覆すことはできない、昨年12月に「拿捕」された4隻のうち2隻については「判決」が出ており、「控訴」されなければ、近く日本側に返還されることとなろう、残り2隻については「判決」を待っているところであり、近いうちに「判決」が出ることを期待している旨説明。

以上を受け中曽根大臣より、貴国の「裁判」については我が国の法的立場に基づき認められないが、いずれにせよこれら船体の迅速な返還を求める旨述べた。

(3)シベリア抑留

 中曽根大臣より、4月の日露外相会談において提示された名簿により新たに10名の身元が判明したことを紹介しつつ、他方で露側の協力が十分進んでいないところもあり、まだ提供されていない資料の探索等、協力を加速するよう求めた。

 これに対しラヴロフ大臣より、「捕虜収容所に収容されていた者に関する協定」に基づきロシア側が負っている義務を履行し、協力を前進させる用意がある、この先の作業には時間がかかることが予想され、努力が必要であるが、ロシア外務省は、他の省庁のとりまとめ役として、できる限りの協力を行う用意がある旨述べた。

4.国際情勢

(1)グルジア情勢

(イ)中曽根大臣より、国際社会による解決努力が行われているにもかかわらず、ロシア側がグルジアの一部である南オセチア及びアブハジアの独立を承認したことは、事態の解決に資するものではなく、国際社会の努力と相容れず遺憾であり、G8のメンバーとして責任ある行動とは言えない、すべての関係者が問題解決に向け建設的に対応することが重要である、我が国は、グルジアの領土一体性の原則に基づく平和的解決を一貫して支持してきている旨述べた。

(ロ)これに対しラヴロフ大臣より、グルジア問題に関し、日本側が日露二国間協力に影響を与えないようにしている点を評価している旨述べるとともに、その上で、ロシアとしてはサーカシヴィリ政権が一般人を殺害し、市民の生命に脅威を与えたことを危惧したものであり、国際法を引き続き支持していく、国際場裡において日本と相互理解に基づき信頼できるパートナー関係を築けることを期待している旨述べた。

(2)国際金融情勢

(イ)中曽根大臣より、自由な市場原理に基づく競争や創意工夫が成長の基礎であり続けることは言うまでもないが、今次危機の教訓を踏まえ、来るG20首脳会合においては、政府による適切な関与、各国当局間の連携、国際機関のあり方などについて明確な方向性を示すことを目指すべきである、本年のG8議長国であり、かつて金融危機を克服した経験を有する我が国として、同会合の成功に向け、必要なリーダーシップを発揮していく考えである旨述べた。

(ロ)これに対しラヴロフ大臣より、国際金融情勢に対するメドヴェージェフ大統領の関心は高く、ロシア側として国際金融の改革に関する議論に参加することに対し高い関心を有している、この分野ではロシアと日本の立場は近いと考えている旨述べた。

(ハ)以上の議論を経た上で、両大臣は、G20首脳会合の成功のため、両国が国際金融システムの健全化に向けて協力していくことで一致。

(3)米大統領選挙

(イ)ラヴロフ大臣より、オバマ次期大統領の外交スタンスにつき、選挙キャンペーンで同次期大統領はイラクからの撤退、イランとの対話、ロシアとの対話を行う等発言しているが、これらについては実際の政策において確認していく必要がある、ロシア側として、米国の新政権が一極として単独で振る舞うのではなく、主要国の建設的な協議を経た上で協調して行動することを期待しており、それは米国の利益にも合致する旨述べた。

(ロ)これに対して中曽根大臣より、いずれの候補も日本との関係を重視すると述べており、我が国としても、米国との関係は重要である旨述べた。

(4)北朝鮮

(イ)ラヴロフ大臣より、先般の米朝合意をロシアとして歓迎しているが、検証についてははっきりしない部分がある、ロシアを含めた五カ国の努力により、検証プロセスにおいてIAEAが主要な役割を果たすことを確保していくことを期待する旨述べた。また拉致問題については、引き続き我々のチャンネルを通じて働きかけていく用意がある旨述べた。

(ロ)これに対し中曽根大臣より、日本としても六者会合において実効的な検証のための具体的枠組みに合意することが重要と考えている、日本側としても、拉致問題を含め、すべての問題で引き続きロシアとも協力をしていきたい旨述べた。

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