9月10日、ロシアのヤロスラヴリにおいて行われた第2回世界政策フォーラムに菅総理の特使として出席した鳩山由紀夫前総理は、現地時間午前11時45分から約25分間、同フォーラムの会場(「アリーナ2000」)内において、ロシアのメドヴェージェフ大統領と会談したところ、結果概要以下のとおり。
1.北オセチア共和国におけるテロ事件及びロシアにおける猛暑・森林火災
- (1)鳩山前総理から、日本を代表してお悔やみ申し上げる、日本国民はロシア国民と共にある、メドヴェージェフ大統領のテロ対策の取組を支持しており、できる限り協力していきたい、また、今夏のロシアにおける猛暑及びそれに起因する森林火災の被害についてもお悔やみを申し上げると発言。
- (2)これに対し、メドヴェージェフ大統領から、謝意の表明があるとともに、テロのような世界規模での挑戦に対しては、国際社会が一丸となって対処する必要がある旨発言。
2.ロシアによる経済の近代化
- (1)鳩山前総理から、ロシアによる経済の近代化の取組については、大いに協力していきたい、近代化の取組の対象となっている5つの分野(注:1)医療、2)エネルギー効率、3)原子力技術、4)宇宙・通信、5)IT )のすべてにおいて日本として協力が可能であるが、特にエネルギー効率の面においては日本に一日の長があり、協力していきたい、また、極東・シベリア開発についても協力していきたい、このような協力は、両国の互恵関係の構築に資する旨発言。
- (2)これに対し、メドヴェージェフ大統領からは、経済の近代化については、日本の豊かな経験に期待する旨発言。
3.北方領土問題
- (1)メドヴェージェフ大統領から、双方で作業を継続していきたい、その中で菅総理との間でも共通のアプローチを見出すことができると考える、この問題については、相手の立場を注意深く聞きながら、不必要に政治化することなく、建設的に議論する必要がある旨発言。
- (2)鳩山前総理からは、自分としてもこの問題において果たすべき役割があると考える、最も重要なことは首脳間の信頼関係であり、メドヴェージェフ大統領と菅総理との間で信頼関係を築いていく中で解決を図っていくということであるが、さらに市民間の連携も重要である、政治と経済を車の両輪として進めていくという新しいアプローチで解決を図っていきたい旨発言。
- (3)これに対し、メドヴェージェフ大統領から、御指摘に同意する、双方の信頼を強化していくことによって解決できる問題である、この問題の解決の結果として他の分野での関係も著しく進展するであろうと発言。
4.日露二国間関係(国際問題についての協力等)
- (1)メドヴェージェフ大統領から、鳩山前総理との間では良い関係を築くことができた、継続性が重要であり、菅総理との間でも良い関係を築きたい、ヤロスラヴリにおいても二国間関係発展の好例があり(注:コマツの工場の開所セレモニーを念頭に置いた発言)、両国のビジネス関係者の間のコンタクトの拡大が期待できる、また、国際場裡での連携・協力も強化していきたく、地域問題としては北朝鮮問題等注意深く取り組むべき問題もある旨発言。
- (2)鳩山前総理からは、北朝鮮問題については、人道的な支援は行う必要があるとしても、北朝鮮が問題のある行動をとった場合には国際社会として然るべく対処する必要がある旨発言。
(会談の最後に、モスクワの交通渋滞の解決に関する鳩山紀一郎氏の著書をメドヴェージェフ大統領に手交し、これに対して同大統領からは、日露の市民間協力の好例であるとの発言があり、さらに、文化面・科学面での協力を進めることが両国関係にとって重要であるとの反応があった。)