中東

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鳩山由紀夫日本国総理大臣とマフムード・アッバース・パレスチナ自治政府大統領の会談に関する共同プレス・リリース(日本語仮訳)

平成22年2月8日

  1. 鳩山由紀夫日本国総理大臣とマフムード・アッバース・パレスチナ自治政府大統領は2010年2月8日、東京にて会談し、中東和平プロセスや日本とパレスチナ自治政府との関係について議論した。
  2. 鳩山総理は、交渉を通じた二国家解決の達成に向けたアッバース大統領の努力を支持するという日本の立場を再確認した。鳩山総理は、和平プロセスが停滞する現状に懸念を示しつつ、包括的和平が、関連する安保理諸決議、マドリード会議での諸原則、ロードマップ、当事者による過去の合意及びアラブ和平イニシアティブに基づき、可能な限り早期に実現されなければならないことを強調した。鳩山総理は、パレスチナに対し、暴力の停止のための手段をとり続けるよう求めた。また、イスラエルがすべての入植活動を凍結する重要性を強調した。鳩山総理は、日本は、エルサレム及び1967年以前の境界内領域の最終的地位を予断するイスラエルによるいかなる行為も是認しないことを伝えた。鳩山総理はまた、米国、アラブ諸国を含む国際社会による交渉再開に向けた現在の努力への支持を表明した。アッバース大統領は、自らの和平努力への日本に対する謝意を表明した。
  3. アッバース大統領は、和平プロセスの現状について説明し、和平プロセスに係る様々な論点に関する立場を詳しく述べ、二国家解決への明確な支持を再確認した。アッバース大統領は、ロードマップが中東和平プロセスの進展の基礎であるべきことを強調した上で、パレスチナはイスラエルに対するすべての暴力行為の停止を引き続き遵守するが、イスラエルも、東エルサレムを含め、西岸におけるすべての入植活動を停止すべきとの立場を重ねて強調した。アッバース大統領はまた、制度づくり及びキャパシティ・ビルディングに向けたパレスチナ自治政府大綱(第13次パレスチナ自治政府内閣綱領)を通じ、将来の独立したパレスチナ国家のための基礎を築く努力を更に促進するとの決意を表明した。
  4. 両者は、イスラエル・パレスチナ間の交渉再開が可能な限り早急に必要であることを認識した。この文脈において、アッバース大統領は、交渉はロードマップ及び前述の国際的な合意事項に基づいて再開されるべきであり、それらの交渉は、とりわけ、国境、エルサレム、難民、安全保障及び水問題を取り扱うべきであるとの同大統領の現在の立場を説明した。
  5. 鳩山総理は、アッバース大統領の指導力の下でのパレスチナの和解の重要性を強調した。
  6. 両者は、ガザ地区に現存する人道的なニーズや復興に向けたニーズに早急に対応する必要性を強調した。鳩山総理は、ガザ住民に対する日本の支援について説明した。
  7. 鳩山総理は、制度改革に向けたパレスチナ自治政府の最近の努力を歓迎し、パレスチナ人が、将来のパレスチナ国家のための自立的な経済の構築と機能する統治機構・制度づくりを支援する用意がある旨表明した。これに関連して、両者は、パレスチナ自治区に自立可能な経済を実現するために、パレスチナの民間部門の育成が不可欠であるとの見解を共有した。このため両者は、次の「自立可能なパレスチナ国家建設のための日パレスチナ作業計画」を実施するための措置をとることを決定した。
    1. (1)日本側は、制度づくり及びキャパシティ・ビルディング分野を支援する必要性を調査するための調査団を派遣する。
    2. (2)日本側とパレスチナ側は、地域的構想「平和と繁栄の回廊/ジェリコ農産業団地」に協力して取り組む。また、他の2当事者、すなわちイスラエル及びヨルダンとともに、事務レベル会合を今年3月に行う。さらに、「平和と繁栄の回廊」構想を活性化させるため、アッバース大統領は、ジェリコ北部への新しい都市の建設や観光プロジェクトの分野でジェリコ及びヨルダン渓谷を開発するというパレスチナ投資基金によって作成された計画について説明し、両者は、この問題について協議することの重要性を認識した。
    3. (3)日本貿易振興機構(JETRO)及びパレスチナ側の対応機関は、パレスチナ自治区における貿易投資を促進するための努力を強化する。日本側は、パレスチナ側の要請に応じ、JETRO理事長を西岸に派遣する。この点に関し、日本及びパレスチナ自治区の民間部門間の相互交流や関係を増大させるとの観点から、パレスチナ側は、2009年11月に東京で開催されたJETRO主催の「ヨルダン・イラク・パレスチナ展」への謝意を表明した。
  8. 双方の関係を更に促進するため、両者は、日本・パレスチナ閣僚級政治協議を継続することの重要性を認識した。さらに、第7パラグラフで言及された目的を達するため、両者は、独立かつ自立可能なパレスチナ国家建設についてのハイレベル協議会合を、パレスチナ自治区で開催するという計画を共有した。
  9. 鳩山総理は、アッバース大統領に対し、東アジア諸国は、パレスチナ自治政府の社会及び経済発展努力に、既に積極的に協力してきていることを認識しつつ、同諸国が、国際社会において強まりつつある経済的・政治的地位にふさわしくなるよう役割を更に向上させることが可能であると考えており、中東における平和に貢献するため、東アジア諸国と共に取り組みたいと考えていることを伝えた。この目的のため、鳩山総理は更に、制度づくりやキャパシティ・ビルディングを含むパレスチナ人による国家建設努力を支援し、それをもって、既に行ってきている努力を補完し、イスラエルと平和と安全のうちに共存する自立可能なパレスチナ独立国家の建設に貢献するために、日本がそれらの諸国との協力を強化したいと考えていることを説明した。鳩山総理はまた、この提案は、事務レベル会合を通じて発展されることとなると述べた。アッバース大統領は、このイニシアティブを歓迎した。
  10. 鳩山総理は、アッバース大統領の広島訪問に対する謝意を表明し、両者は、核兵器のない世界の実現を一致して訴えた。
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