中南米

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日本国及びペルー共和国による
環境・気候変動分野における協力の一層の強化に関する共同声明
(仮訳)

  1. 日本国政府及びペルー共和国政府(以下「双方」という。)は、地球温暖化を始めとする環境・気候変動問題が、人類社会の発展に深刻な影響を与える地球規模の問題となっていることを認識し、これらの問題が地域及び地球規模で共に取り組むのにふさわしい分野であること、そしてこれが地域及び世界全体の持続可能な開発に重要な意義を持つことを確信し、2002年の持続可能な開発に関する世界サミットにおいて発表された「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」を始めとする、地球環境問題に対する国際協力の理念に基づき、環境・気候変動分野における相互協力を一層推進していく決意を共有した。
  2. 双方は、地球温暖化を始めとする環境・気候変動問題の解決のために、両国がとりわけ次に掲げる分野での問題解決に重点的に取り組むとともに、関係する国際的な枠組みに強く関与し続け、支持していく意図を確認した。

    (1)温室効果ガスの排出抑制や森林・土壌保全等の緩和策

    (2)防災、水・衛生、灌漑等の適応策

    (3)大気汚染や鉱害等の公害問題への対策

  3. 双方は、これらの問題の解決に当たり、日本とペルーの専門性と経験が重要な役割を果たすとともに、両国の協力が関係地域及び世界全体に貢献するとの認識を共有した。さらに、双方は、環境・気候変動問題は、エネルギー、産業、農業を含む経済政策全体の文脈の中で対処される必要があると認識した。
  4. 以上について、双方は、すべてのレベルにおいて具体的な行動と措置をとること及び持続可能な開発の目的を達成するために国際協力を強化することの重要性を認識した。この観点から、双方は、今後の協力のための次の優先分野を確定した。

    (1)気候変動

    (a)2013年以降の枠組みの構築

     双方は、気候変動は深刻な危険と課題を生じさせるため、地球規模での緊急の行動と対応が必要であることを強調した。また、双方は、バリ行動計画に基づき、2009年中に合意することを目指し、すべての国が参加する実効的な2013年以降の枠組みの構築を実現し、国連気候変動枠組条約及び京都議定書に基づくプロセスの成功を確保するため、両国が緊密に協力していくことを確認した。

     双方は、環境及び開発に関するリオデジャネイロ宣言及び国連気候変動枠組条約の原則、特に、「それぞれ共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力」の原則を再確認した。また、双方は、バリ行動計画の4つの構成要素、すなわち、緩和、適応、技術開発及び移転、資金及び投資のすべてにおいて有効な措置がとられなければ、気候変動対策の努力は成果につながらないものになることを強調した。

     双方は、国連気候変動枠組条約及び京都議定書のプロセスへの重要な政策的貢献として、2007年5月に発表された日本の提案「クールアース50」の重要性を認識した。

     福田総理は、ペルー側に対し、同提案を推進すべく2008年1月のダボス世界経済フォーラムの機会に提案した「クールアース推進構想」について説明した。ペルー側は、温室効果ガス削減のため、主要排出国とともに、国別総量目標を掲げて取り組む日本の決意を歓迎した。また、ペルー側は、合理性及び客観性を確保するために、今後、エネルギー効率及び技術を含む科学的及び透明な尺度を用いた、ボトムアップ方式という日本の考え方を歓迎した。さらに、ペルー側は、公平の見地から、基準年見直しの重要性を認識した。また、双方は、「それぞれ共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力」の原則を考慮しつつ、世界全体の排出量を次の10年から20年の間にピークアウトさせる必要性を再確認した。双方は、各々低炭素及び低災害リスク社会を構築することで認識を共有した。

     日本側は、ペルーが多様な分野において緊急及び即座に適応する必要性を有していることを再確認するとともに、その適応努力に対する支援のため、二国間協力を強化する必要性を改めて認識した。

     上記を踏まえ、日本側は、日本提案の考え方に沿って、クールアース・パートナーシップを構築し、ペルーを支援する意図を表明した。

    (b)気候変動対策:適応策と緩和策

    (i)クリーン開発メカニズム(CDM)

     双方は、CDMの有用性を再確認し、2005年9月のJBICとペルー国家環境審議会及び国家環境基金との「CDM推進に関する業務協力取り決め」及び2007年9月にJBICとペルー開発金融公社(COFIDE)との間で設定されたCDM分野を含む金融支援スキームを最大限活用し、CDM分野における協力を強化していく意図を確認した。日本側は、ペルー側に対し、現在ペルーにおいて実施中の技術協力「CDMプロジェクト立案能力強化プロジェクト」に関連して、JICAによる「CDMプロジェクト形成促進」のための人材育成研修を実施することを表明し、ペルー側はこれに謝意を表明した。

    (ii)持続可能な森林経営

     双方は、森林が経済、社会、及び環境上の便益をもたらすことを認識し、持続可能な開発及び貧困撲滅において持続可能な森林経営が重要であることを認識した。双方は、気候変動の緩和や生物多様性の保全等の観点から、森林が果たす役割の重要性を再確認した。この関連で、双方は、熱帯林の違法伐採及び関連する貿易に対抗することが極めて重要であることに留意した。双方は、この分野において積極的に努力する意図を改めて表明し、日本国政府によるペルーの森林政策に対する支援、特に、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じた支援が重要であることを認識した。日本側は、ペルー側の持続可能な森林経営の促進に向けたペルー側の努力を認識し、双方は、ITTOを通じて引き続き協力していく意図を表明した。

     双方は、持続可能かつ合法的な形で経営された森林から生産された熱帯木材の国際取引の拡大及び多様化を奨励するため、2006年の国際熱帯木材協定の早期発効の重要性を認識し、熱帯林の持続可能な経営を促進することとした。

    (iii)クリーンエネルギーの使用及び省エネ促進

     双方は、地熱、太陽光、風力、水力、天然ガス、バイオ燃料といったクリーンエネルギーの利用促進及びエネルギーの効率的利用の更なる向上の重要性を再確認した。特に、ペルー政府は、ペルーにおいて日本政府が実施している、地熱発電促進のための調査及び再生可能エネルギーの利用に関する調査に対して謝意を表明した。双方は、貧困削減戦略及び持続可能な開発能力の向上においてエネルギーが果たす基本的な役割を認識し、特に貧困層において、エネルギー・アクセスを可能にするための政策の推進の重要性を強調した。

     双方は、再生可能エネルギー源の使用を強調したエネルギー・マトリックスの多様化の促進及び家庭、産業、運輸分野におけるエネルギー効率の向上を目的とした二国間協力を強化するため協力していく意図を共有した。

     また、費用対効果の良いクリーンで近代的なエネルギー技術への発展途上国のアクセスを促進する必要性を認識した。双方は、このようなエネルギー技術の普及を阻害する要因、特に資金的障害を除去することを可能にする効果的なメカニズムを構築する緊急性を強調した。

     双方は、エネルギー効率の改善と省エネを進めるために、2007年5月に豪州ダーウィンで開催された第8回APECエネルギー大臣会合で決定された自主的な省エネ目標の設定及び行動計画の策定並びにその進捗状況を監視するためのピアレビュー・メカニズムの導入検討の重要性を確認した。

    (iv)防災

     双方は、災害リスクの管理及び軽減が、引き続き、持続可能な発展及び貧困削減戦略における課題であることを強調した。この観点から、双方は、物理的、社会的、経済的、環境上の脆弱性を軽減する重要性につき改めて表明した。

     双方は、持続可能な開発及び貧困削減のための政策、計画、プログラムには、災害リスクが組織的に組み込まれなければならないことを認識した。また、双方は、リスクの管理及び削減のために国家及び地域の能力向上を通じて、国家及びコミュニティーの強靱性を構築する重要性を認識した。この関連で、双方は、「兵庫行動枠組2005-2015」を支持することを再確認した。

     双方は、あらゆる自然災害に対処するための災害リスク戦略の構築及び既存の国家能力の強化の必要性について認識した。

    (v)水・衛生及び灌漑

     双方は、「水」の問題の重要性を再認識するとともに、アンデス氷河の減退、気候変動に伴う異常気象等による自然災害リスクの増大や水・衛生及び灌漑に対する深刻な影響に懸念を表明し、この問題に対する効果的な対応策の重要性を再確認した。

     双方は、「国際衛生年2008」を想起し、この機会を活用し、衛生の重要性に関する意識を向上させ、安全な飲料水と適切な衛生へのアクセスを提供するための各国の取組を支援する国際協力を促進する意思を表明した。

     また、ペルー側は、日本側が最近実施することを表明した技術協力「北部及び山岳地域給水・衛生事業組合強化プロジェクト」及び本日事前通報が行われた「リマ首都圏北部上下水道最適化計画(I)」、「イキトス下水道整備計画」及び「カハマルカ上下水道整備計画」に言及しつつ、ペルーにおける安全な飲料水確保に向けた「万人への水」計画を始めとする各種取組に対する日本政府による支援に対し深く感謝した。さらに、ペルー側は、日本側の灌漑サブセクター整備計画の実施に対する謝意を表明した。

    (2)公害対策

    (a)鉱害

     双方は、持続可能な鉱山開発の重要性を認識した。日本側は、ペルーにおける鉱害防止対策に対し積極的に協力していく意図を表明した。

    (b)コベネフィット・アプローチ

     ペルー側は、コベネフィット(相乗便益)のアプローチに基づき、大気汚染問題に重点的に取り組んでいく強い決意を再確認した。日本側は、公害対策と気候変動等の分野における統合的なアプローチの有効性にかんがみ、コベネフィット・アプローチを促進するため協力していく意図を共有した。

東京、2008年3月17日


(署名)
福田康夫
日本国内閣総理大臣
(署名)
アラン・ガルシア
ペルー共和国大統領
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