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日マレーシア首脳会談(概要)

平成19年5月22日

 5月22日(火曜日)午後、安倍総理は、日本経済新聞社主催セミナー参加のために来日中のアブドゥラ・マレーシア首相と会談したところ、会談の概要以下の通り。

1.日マレーシア関係

(1)日マレーシア関係一般

 安倍総理より、外交関係開設50周年に当たる本年、アブドゥラ首相と協力し、両国関係に新たな一章を開きたい。50周年関連事業、経済連携協定の実施、マレーシア日本国際工科大学設立等の協力を進めたい。同大学については、2009年の開校に向け、今後貴国側で予算措置が講じられるものと承知しており、貴国政府のご尽力をお願いしたい旨述べた。アブドゥラ首相よりは、経済連携協定の締結は、経済のみならず、いろいろな面での両国関係の拡大につながる。マレーシア日本国際工科大学は、日マレーシア関係の新しい一章の中でも重要なものであり、協力を進めていきたい旨述べた。

(2)安倍総理のマレーシア訪問

 安倍総理より、両国の友好関係を一層促進するため、本年8月に貴国を訪問したい、詳細日程等については、外交ルートで相談していきたいと述べた。

(3)東方政策

 アブドゥラ首相より、「東方政策」は本年25周年を迎えるが、日マレーシア関係の重要な基礎を作っている。この政策の下、これまで約1万4千人のマレーシアの若者が日本で勉強してきたが、これは両国のパートナーシップの象徴である。その中で、日本の高等教育機関は重要な役割を果たしてきた旨述べた。安倍総理よりは、両国の若者の往来により二国間関係が更に拡大することを期待する旨述べた。

(4)バイオ・エネルギー

 アブドゥラ首相より、日本との協力の新たな分野として、パーム油を活用するバイオマスエネルギーの技術開発で協力していきたい旨述べた。これに対し安倍総理より、昨年5月の貴首相来日の際、両国でパーム油を活用するバイオマスエネルギー分野の協力を進めることで一致した。協力事業実現に向け、両国の関係機関で準備を進めていきたい旨応答した。

(5)イスカンダル開発地区

 アブドゥラ首相より、シンガポールに隣接するジョホール州にイスカンダル開発地区を設置した。中国の深セン経済特区が香港の後背地に設置されたように、イスカンダル開発地区もシンガポールに隣接する開発特区である。日本政府も、イスカンダルへの日本企業の投資を奨励して欲しい旨述べた。安倍総理より、深センと香港との関係を意識しつつ、シンガポールに隣接する場所に開発地区を設置したのは賢明な構想である。日本の企業にも同地区のことを紹介していきたい旨応答した。

2.テロ・海賊対策

 安倍総理より、アジア海賊対策地域協力協定の実効性を確保するためにはマレーシアの協力が不可欠であり、協定の早期締結に向けたアブドゥラ首相の決断と指導力に期待する。テロ対策についても二国間協力を深めたく、昨年貴国と共に立ち上げた日ASEANテロ対策対話等を通じ、具体策の検討を進めたいと述べた。アブドゥラ首相より、マレーシアとしても沿岸国としてマラッカ海峡の航行安全確保を重視しており、沿岸警備隊を設置して対策を講じている。日本を含め、利害を共有するすべての国と協力していきたいと述べた。

3.国際情勢

(1)中東情勢

 安倍総理より、4月28日から5月2日まで湾岸4カ国及びエジプトを訪問し、日本と各国との関係を、石油の需給関係に止まらない重層的な関係に発展させることで各国首脳と合意した。中東地域の平和と安定に向け、域内各国との対話を進めたいと述べた。アブドゥラ首相より、最近の日本の外交政策の変化、特に中東への関心の高まりを評価すると述べた。

(2)東アジア地域協力

 安倍総理より、地域の安定・繁栄のため、東アジアにおける地域協力を発展させたい。日本は1月の東アジア・サミットで発表したエネルギー協力や青少年交流事業を着実に実施中である。10周年を迎えるASEAN+3協力をより効果的に実施すべく、貴国とも協力していきたいと述べた。アブドゥラ首相からは、安倍総理のご指摘のとおり、ASEAN+3の活発な活動は、東アジア共同体の基礎であり、ASEANのみならず、東アジア全体の安定につながるものとして重要であると述べた。

(3)ミンダナオ和平

 安倍総理より、フィリピン・ミンダナオの和平支援について、マレーシアの貢献を高く評価する。我が国も積極的に支援しており、引き続き貴国と協力していきたいと述べたのに対し、アブドゥラ首相より、ミンダナオ和平についての支援の表明について感謝する。ミンダナオの問題の根本は貧困にあり、貧困と後進性はテロの原因となるので、開発による生活向上が必要であると述べた。

(4)北朝鮮

 安倍総理より、本年1月の日ASEAN首脳会議では、北朝鮮に核・拉致問題解決に向けて具体的行動を求めるという我々の共通の立場を確認でき、心強く思っている。しかし、北朝鮮は依然誠実に対応していない。特に拉致問題に関し、北朝鮮に明確なメッセージを発する必要がある旨述べた。アブドゥラ首相よりは、朝鮮半島問題については日本の問題意識を理解する。国連を通じて現実的な解決を図ることが重要であり、マレーシアの国連代表部を通じて日本と協力していきたいと述べた。

4.国連改革

 安倍総理より、従来より我が国の常任理事国入りを支持頂き、感謝する。引き続き安保理改革の早期実現と常任理事国入りを目指すので協力を得たいと述べた。これに対し、アブドゥラ首相は、マレーシアは1991年から日本の常任理事国入りを支持してきている。日本の常任理事国入りにとって、中東のような地域で役割を果たすことは重要であると述べた。

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