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日本・インドネシア共同声明
「平和で繁栄する未来へ向けての戦略的パートナーシップ」
(仮訳)

 安倍晋三日本国内閣総理大臣とスシロ・バンバン・ユドヨノ・インドネシア共和国大統領は、同大統領が日本の新内閣発足後の初の国賓として2006年11月26日から29日に訪日した際、11月28日に首脳会談を行った。

 首脳会談は、友好的かつ建設的な雰囲気の下で行われた。両首脳は、1958年の外交関係開設以来、両国及び両国国民の間で培われてきた良好な関係に満足の意を表した。両首脳は、長年に亘る両国の関係を再確認した。

 両首脳は、幅広い問題について意見交換を行い、地域及び世界の平和と繁栄のために希望ある未来を共に創造していくとの決意を表明した。このため、両首脳は、2005年6月の日本インドネシア共同声明「新たな挑戦へのパートナー」に基づき、二国間、地域及びグローバルな問題における新たな挑戦に着実に取り組みつつ、「平和で繁栄する未来へ向けての戦略的パートナーシップ」の下で、両国関係を更に高度な次元へ発展させることを表明した。
 両首脳は、特に、本共同声明とは別の共同プレス発表に詳述される日インドネシア経済連携協定の大筋合意を大きな喜びの意をもって確認した。

 両首脳は、両国の戦略的パートナーシップが、両国の互恵的関係を深化・拡大させるとともに、様々な分野における具体的な二国間協力を促進させる新たな機会を模索するための重要な手段となることを強調した。両国の戦略的パートナーシップは、国際社会の平和、並びに地域及び地域を越えた安定と繁栄に貢献するとともに、国連憲章、東南アジア友好協力条約及びその他の国際法上普遍的に認められている規範に従うものである。また、両国の戦略的パートナーシップは、鳥インフルエンザ、テロリズム、自然災害及び国境を越える犯罪といった危機等の新たな挑戦及び非伝統的な安全保障上の脅威に対処するための緊密なパートナーシップを強化するものでもある。両首脳は、国際社会が、地域及び地球規模の課題に対応する中で、国際法に従いつつ、人間の安全保障に取り組んでいくべきであることを認めた。

 安倍総理は、日本が第二次大戦後60年余、一貫して平和国家として歩んできたこと、そして引き続き平和国家として歩み続けていくことを強調した。ユドヨノ大統領は、この平和へのコミットメントを高く評価した。安倍総理は、ユドヨノ大統領に対し、インドネシアの独立した能動的な外交政策を評価することを表明した。両首脳は、互恵的な経済上の協力を強化するとのコミットメントを表明した。ユドヨノ大統領は、投資及びODAを含め、インドネシアの発展における日本国民及び日本政府によるこれまでの、また、日本政府が互恵的な形で強化することにコミットしている支援と協力に対し、心からの謝意を表明した。

1.昨年来の両国間の協力の進展

(1)経済連携協定(EPA)

 両首脳は、この協定がキャパシティ・ビルディングのための協力並びに、両国間の貿易・投資の自由化、促進及び円滑化を通じて、より緊密な経済関係を築くことにより、日本とインドネシアのパートナーシップの新しい時代を刻むものとなることを強調した。両首脳は、日インドネシア経済連携協定を可能な限り早期に締結することができるよう引き続き指導力を発揮していくことへのコミットメントを再確認した。

 両首脳は、インドネシアの中小企業のキャパシティ・ビルディングを含め、日インドネシア経済連携協定を推進し、また、日本貿易振興機構とインドネシア商工会議所との間で署名された新たなイニシアティブを通じ、両国間の貿易・投資促進のための活動を拡大・発展させるための民間部門の協力を歓迎した。

(2)戦略的投資行動計画(SIAP)

 両首脳は、SIAPの全118の事項のうち70%に実質的な進展があったことを示す「投資に関するハイレベル官民合同フォーラム」の企画調整委員会が作成した進捗報告書を歓迎した。また、両首脳は、同フォーラムに対し、早期にインドネシアの投資環境を改善するための集中的な努力を継続するよう求めた。

(3)海洋問題

 安倍総理は、日本政府としてマラッカ・シンガポール海峡におけるインドネシアの領海及び排他的経済水域に対する主権及び主権的権利を完全に尊重することを認めた。ユドヨノ大統領は、マラッカ・シンガポール海峡のセキュリティ、航行の安全及び環境保護を確保に引き続き努力するとのインドネシア政府のコミットメントを再確認し、強調した。この点に関し、ユドヨノ大統領は、日本による巡視船艇建造計画のための無償資金協力に対する謝意を表明した。また、両首脳は、キャパシティ・ビルディングのための協力を促進することへのコミットメントを表明するとともに、並びに安全、セキュリティ及び環境保護の強化のために沿岸国と利用国との間の新たな協力メカニズムを模索することの重要性を表明した。

(4)防災

 両首脳は、「防災に関する共同委員会」が、2006年7月、自然災害を予防し、その被害を軽減する包括的かつ効果的な対策を提示した報告書を作成したことを歓迎した。両首脳は、この報告書を踏まえ、防災強化を促進するとともに、この分野で更に協力していくことへのコミットメントを表明した。また、両首脳は、最近のインドネシアにおける地震及び津波被害に関し、アチェにおける西岸道路緊急復旧事業を含む日本の支援が地域の復旧及び復興の着実な進展に役立っていることに喜びの意を表した。
 また、両首脳は、防災分野の地域協力としてアジアの地震発生地域においてデータベースや研究ネットワークの構築が開始されたことを歓迎するとともに、両国の宇宙機関を含む地域協力が防災に貢献するとの認識を共有した。

2.「平和で繁栄する未来へ向けての戦略的パートナーシップ」の下での協力

(1)戦略的関係の更なる強化に向けて

 両首脳は、両国が、自由、民主主義、基本的人権、法の支配という基本的価値を共有していることを再確認するとともに、アジア・太平洋地域の安定と発展へのコミットメントを共有した。また、両首脳は、長年に亘り強化されてきた経済関係に加え、政治及び安全保障の分野における戦略的関係についても強化することを確認した。

 両首脳は、可能な限り頻繁に首脳会談を開催する重要性を強調するとともに、地域及び多国間での会合の機会を利用しつつ、ハイレベルでの協議を強化することに合意した。さらに両首脳は、両国の外務大臣間での定期的な協議も、二国間協力の更なる促進に資するとの考えを示した。

 賢人会議については、政治、経済、文化、科学技術、教育及び観光を含む諸分野における新たなイニシアティブを発展させることを通じ、戦略的パートナーシップという文脈において二国間関係を更に拡大し、深化させる手段についての研究及び提言を両首脳に提示するために必要であれば、これを設置し得る。

 安倍総理は、ユドヨノ大統領が民主化及び経済改革を積極的に進めていることを高く評価した。安倍総理は、2005年8月のアチェ和平合意及び2006年8月のアチェ統治法施行に至ったアチェ問題の平和的解決におけるユドヨノ大統領の努力を賞賛した。安倍総理は、2006年12月に予定されているアチェにおける地方首長選挙が公正かつ円滑に実施されることに対する強い期待を表明した。この点に関し、安倍総理は、日本政府はアチェに選挙監視団を派遣する用意があることを伝えた。また、安倍総理は、アチェにおける持続的な和平の定着に資するべく、地震・津波災害後の地元住民の自立を促進する支援を実施することを表明した。

 両首脳は、2006年7月に開催された両国間の人権対話における有意義な議論を高く評価した。また、両首脳は、両国が二国間及び多国間において人権分野における協力関係を強化すべきとの考えで一致した。

 安倍総理は、ASEAN共同体の実現及び、開かれた、透明性で、包含的な東アジア共同体の構築に向けたASEANの中心的役割に対する日本の継続的な支持を再確認した。東アジアの長期的な平和、安定及び繁栄のため、両首脳は、東アジア首脳会議及びASEANプラス3を含む各種枠組の下、東アジアにおける地域的統合を促進するとの観点から、地域共通の課題に対処する上で、目に見える利益を生む地域協力を強化する意図を改めて表明した。この点に関し、両首脳は、日本が提案したASEAN、豪州、中国、インド、日本、韓国及びニュージーランドの間での経済連携を促進するための民間専門家研究のプロセス及び東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)は有益であるとの考えを共有した。

 両首脳は、核不拡散条約(NPT)の原則及び目的に対する強いコミットメントを改めて表明した。両首脳は、最近北朝鮮が実施し、朝鮮半島の緊張を高めたミサイル発射及び核実験に対する重大な懸念を表明した。両首脳は、北朝鮮に対し、国連安保理決議1695号及び1718号を完全に履行するよう求めた。両首脳は、六者会合の再開に関する最近の進展を歓迎した。また、両首脳は、北朝鮮に対し、拉致問題を含め、その他の国際社会の安全保障上及び人道上の懸念に対応するよう求めた。

 両首脳は、テロリズムの脅威が依然として地域および国際社会の安全に対する懸念であるとの考えを共有し、すべての形態のテロリズムを予防、抑制、根絶する決意を再確認した。このため、両国は、情報交換、テロリズム対処能力向上、テロリズムの根本的原因への対処、穏健派への支援、宗教間対話、及び日ASEANテロ対策対話その他の地域的なアプローチにおいて緊密に協力する。

 安倍総理は、ユドヨノ大統領に対し、インドネシアの国連安全保障理事会への選出について祝意を表し、任期中の積極的な貢献を期待するとした。また、両首脳は、常任及び非常任議席双方の拡大を通じ、早期の安保理改革を達成するために協力するとの決意を表明した。ユドヨノ大統領は、国際の平和と安全の維持における日本の積極的な役割を評価し、安保理改革の文脈において、日本の安保理常任理事国入りに対するインドネシアの支持を表明した。

 両首脳は、NPT体制が直面する現下の挑戦を踏まえ、NPTを基礎とする核軍縮・不拡散体制の維持及び強化に向けて二国間の協力を更に強化する意思を表明した。また、両首脳は包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効の必要性につき一致した。

(2)互恵的関係の強化

 両首脳は、両国の経済関係が、貿易及び投資を含め、重層的に発展してきたことを再確認した。

 両首脳は、二国間及び国際社会におけるエネルギー事情についても意見交換した。また、両首脳は、石油、ガス、電力分野で計画されている日本の投資を歓迎した。安倍総理は、ユドヨノ大統領に対し、インドネシアから日本へのエネルギー、とりわけ液化天然ガス(LNG)の安定供給を確保することについての強い関心を表明した。ユドヨノ大統領は、安倍総理の発言に対し十分な理解を示すとともに、2010年及び2011年に契約満了を迎える現在の契約を尊重することを約束した。両首脳は、本件に関し両国のエネルギー安全保障を強化するための協力関係をさらに良好に維持するため、より緊密な関係を構築することを約束した。ユドヨノ大統領は、日本に対し、特に新たな油田・ガス田の探索を目的として、インドネシアにおけるエネルギー探査及び開発を進めるよう促した。また、ユドヨノ大統領は、日本に対し、バイオエタノールやバイオマスのような持続可能で再生可能なエネルギーについて、キャパシティ・ビルディングを含め、共同開発に関する二国間での協力活動及び互恵的な投資を促進するよう求めた。両首脳は、インドネシアのエネルギー鉱物資源省と日本の国際協力銀行との間で署名された枠組に基づくバイオマス・エネルギー・プロジェクトの促進を歓迎した。

 両首脳は、日インドネシア経済連携協定の下での協力を含め、両国間のエネルギー・鉱物資源協力の一層の発展を追求していくことが重要であるとの考えで一致した。安倍総理は、専門家派遣等の人材育成を通じ、(i)石炭液化の商業化を含む石炭のクリーン利用の促進、(ii)エネルギー効率の向上、及び、(iii)原子力安全・セキュリティ・不拡散の必要性を強調しつつ、原子力発電導入のための制度整備支援、について協力する意図を表明した。両首脳は、日本国経済産業省とインドネシア共和国エネルギー鉱物資源省との間での共同声明への署名を歓迎した。

(3)具体的な協力を通じたパートナーシップの強化

 ユドヨノ大統領は、円借款の供与によるジャカルタ都市高速鉄道計画のエンジニアリング・サービスへの日本の協力に対し、心からの謝意を表明した。両首脳は、この協力が、ジャカルタの交通渋滞の緩和のみならず、経済インフラ整備を通じたインドネシアの投資環境整備にも資するとの認識を共有した。

 両首脳は、両国間の貿易及び投資を更に促進する観点から、1982年の日インドネシア租税条約に対する双方が合意できる改正の可能性に関し、両国の当局間で予備的な会合を開催する必要性で一致した。

 両首脳は、特に両国の大学間で、教育及び科学技術研究の分野における協力を緊密化させる必要性を認めた。

 安倍総理は、効果的な防災におけるインドネシア政府の能力向上の観点から、自然災害管理計画調査のための支援を実施することを表明した。両首脳は、最近の地震及び津波災害後、校舎の再建、保健、その他の公共インフラ、及び耐震建築のノウハウ普及の分野において、日本の支援が進展していることを歓迎した。

 両首脳は、鳥インフルエンザが、インドネシアを含むアジア地域において拡大していることに対する懸念を共有した。両首脳は、常に鳥インフルエンザ情勢の推移に警戒するとの観点から、両国が迅速な情報交換を緊密化すべきであるとの認識で一致した。ユドヨノ大統領は、本件問題に優先的に取り組むとのインドネシア政府の強いコミットメントを表明するとともに、現出しつつある鳥インフルエンザの世界的大流行の予防及び抑制、並びに鳥インフルエンザ発生時の監視及び早期対応のためのキャパシティ・ビルディングの分野において日本が支援を強化してきたことを評価した。

(4)未来への架け橋の構築

(i)国交樹立50周年

 両首脳は、2008年が両国の外交関係開設50周年記念に当たることに留意し、平和で繁栄する未来へ向けての戦略的パートナーシップを前進させるべく、この50周年が、幅広い分野での長年の友好関係を更に強化する絶好の機会を提供するものであるとの考えで一致した。また、両首脳は、次の半世紀に向け、両国国民の交流と世代を超えた相互理解を拡大し、深化させることを目的とする様々な記念行事を実施する重要性で一致した。

(ii)人と人との交流・文化協力

 両首脳は、特に若い世代における人と人との交流の拡大が、両国及び両国国民の間の未来志向の関係、相互理解及び友好的な絆を強化するためのより強固な基盤を提供することを認識した。安倍総理は、高等教育におけるインドネシアの人材育成のための新たな奨学金プログラムに対し、日本政府としても協力する用意があることを伝えた。

 また、両首脳は、文化協力も両国のパートナーシップの理想を前進させることに資することを確信した。安倍総理は、2006年5月のジャワ島中部地震により被害を受けたジョグジャカルタのプランバナン寺院の修復に向けての基礎的工事に係る支援を前向きに検討する意向を伝えた。

 2006年11月28日、東京にて署名した。

日本国内閣総理大臣
安倍 晋三
インドネシア共和国大統領
スシロ・バンバン・ユドヨノ
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