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「中央アジア+日本」知的対話:第4回東京対話
議長サマリー

平成22年2月25日(木曜日)
於:外務省国際会議室
英文露文(PDF)

1.第4回東京対話の概要

 2010年2月25日に日本外務省の主催、国際交流基金の協力により、「中央アジア地域における今後の物流インフラ整備」をテーマとした第4回東京対話が開催された。本対話は「中央アジア+日本」対話の5本柱の一つであるトラック2の知的対話として位置づけられており、「東京対話」はその通称である。第4回東京対話では、中央アジア諸国から5名、日本から有識者・政府関係者等10名が報告、コメントし、さらに本対話に関心を有する約80名の出席を得た。議長は福島安紀子国際交流基金特別研究員が務めた。

 これまでの東京対話において、焦点を絞ったトラック2の会議が政府間対話に有意義なインプットを提供できることが明らかとなったことを受け、今回の対話においては、「中央アジア+日本」対話の「行動計画」において「地域内協力」に向けた支援の重点項目として「輸送分野」が挙げられ、また、第1回及び第3回東京対話においても「具体的協力の可能な分野」として「インフラ整備(鉄道、道路、通信、空港など)」、「物流システムの整備(ソフトの面も含めて)」が挙げられていることを踏まえ、「中央アジア地域における物流インフラ整備」をテーマとして取り上げた。

2.福山哲郎外務副大臣の基調スピーチ

 第4回東京対話の冒頭、福山哲郎外務副大臣は、国際エネルギー安全保障の観点からも注目される中央アジアの地政学的重要性を指摘するとともに、中央アジア地域を一つの大きな可能性を秘めた地域として対話・協力をすすめることが肝要との考えのもと、「中央アジア+日本」対話等を通じて推進してきた日本の対中央アジア外交の基本的立場を説明した。また、今回のテーマである「物流インフラ整備」は、中央アジアにおける地域協力を推進する上での重要課題の一つであるとし、地域全体の経済発展を促進する基盤となる点を強調した。整備された物流インフラが域内貿易の推進にとどまらず、グローバル経済への統合といったプロセスを促進するための布石となるとの期待の下、日本がこれまで物流インフラの整備に向けた中央アジア各国の努力を様々な形で支援してきたことを、具体例を挙げつつ紹介した。また、今後のより重層的で強固な関係構築のためには、日本と中央アジア諸国との間の相互理解の促進が欠かせず、今回の対話が中央アジア諸国と日本の一層の協力深化のために有益な提言を生み出すことへの期待を表明した。

3.主な議論と提言

 第4回東京対話においては、参加者により「中央アジアにおける物流インフラ整備」に関する活発な議論が行われた。

 中央アジア側有識者の報告においては、中央アジア地域の地理的優位性とこれを活用することの重要性についての共通認識が示され、輸送インフラの整備に向けた自国の優先課題やこれに基づき策定された経済自由特区などを含む国家戦略についての説明が行われた。また、欧州とアジア諸国の間の貨物流通を活性化することにより、ユーラシア国際輸送・トランジット網への統合を果たすことは、中央アジア諸国に共通の目標であるとの立場が示された。

 現状における中央アジア地域が抱える問題点としては、グローバル市場からの物理的距離の大きさ、海への出入口を持たず複数国を経由せざるを得ない地理的条件、通関手続の煩雑さ、これらに起因する輸送時間の長さと輸送コストの高さなど様々な指摘がなされた。

 また、自然環境や地理的条件だけでなく、貿易取引量や交通量、輸送コストの水準、既存インフラの敷設状況と補修状態等に応じて、重点を置く輸送手段(港湾、道路、鉄道、空港等)や東西ルートあるいは南北ルートについての比較選択といった政策上の優先方針について中央アジア諸国間での違いも示された。

 こうした点につき、日本の有識者などからは、日本も積極的に支援をしてきているメコン地域開発などを参考例として挙げ、同地域においては、縦横に通る経済回廊や港湾・空港などの物流インフラがハードとソフトの両面で整備されるに伴い、ヒトとモノ、カネの流れが活発化し、地域の一体化が進んでいる例を紹介しつつ、国境を越える物流インフラ整備における政府レベルでの対話の重要性が強調された。

 また、中央アジア諸国への物流インフラ整備支援を行う側として、日本政府単独の取り組みに加え、欧州開発銀行(EBRD)及びアジア開発銀行(ADB)のそれぞれの取り組みや、協調融資を含めた今後の可能性についても紹介があり、特にADBの中央アジア地域経済協力(CAREC)の運輸・貿易促進プログラムの有用性や援助協調の重要性などが指摘された。

 更に、民間のロジスティクス輸送を手がける実務の立場からは、日本と中央アジアを結ぶ輸送ルートの現状についての紹介が行われ、同地域の物流インフラ整備及びそれに伴う通関手続きの円滑化などを行うことが、ひいてはグローバル市場への統合や市場経済化の促進につながることが具体的に示された。

 こうした議論を踏まえ、今後の中央アジアにおける物流インフラ整備及び日本の協力のあり方につき、以下の提言がなされた。

4.総括

 第4回東京対話においては、中央アジアにおける物流インフラ整備のハード面もさることながら、税関システムなど国境通過にかかる手続きの簡素化などソフト面における課題が明らかにされ、いずれの場合においても中央アジア諸国間の対話と地域内協力の重要性が改めて強調された。また、日本を含む主要援助国や国際機関のこの分野における役割についても、地域の特性とニーズを十分認識した支援の継続とさらなる積極的な関与への期待が示された。

 第4回東京対話参加者は、今次会議において自由闊達かつ現状を踏まえた具体的な議論がなされ、中央アジアの物流インフラ整備における今後の発展のために中央アジア側参加者にとっては大変有効なアドバイスが得られたこと、またリアルセクターの参加者が含まれていたことで、実体経済に即した具体的な提言にもつながったこと、日本側の参加者は中央アジア5カ国の専門家が東京において一同に会し、活発な議論を展開した点を高く評価した。(今回の東京対話参加者は、議論の中で物流インフラ整備について出された上記提言を具体的にフォロー・アップするように強く希望した。)

 また、参加者は、このような東京対話が今後とも継続されることの有意性を確認した。また、次回の東京対話のテーマとして、税関システム、ITなど運輸サービスにおける関連分野、人間の安全保障、人材育成と教育、中央アジア地域統合の現状と課題、中小企業育成、マイクロファイナンス、農業セクター育成、外国投資呼び込みにおける問題と克服法等が提案された。

 以上、ここに第4回東京対話の成果を報告し、今後の「中央アジア+日本」対話の政府間対話の参考とされ、提案を実現されることを希望する。

第4回東京対話 議長
国際交流基金特別研究員兼
青山学院大学国際交流共同研究センター客員研究員
福島 安紀子

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