欧州(NIS諸国を含む)

世界地図 アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ

「中央アジア+日本」対話 第2回東京対話
議長サマリー

平成19年1月30日(火曜日)
於国際交流基金国際会議場

英語版はこちら

 2007年1月30日に日本外務省の主催、国際交流基金の協力により、第2回東京対話が開催された。本対話は、「中央アジア+日本」対話の5本柱のひとつである知的対話としてトラック2の位置づけであり、「東京対話」はその通称である。第2回東京対話では、中央アジア諸国から5名、日本から有識者・政府関係者等18名がセンター・テーブルに参加し、さらに本対話に関心を有する約60名の出席を得た。

 第2回東京対話の冒頭、岩屋外務副大臣は、2004年夏以降日本が「中央アジア+日本」対話を推進してきた国際的な背景と日本の動機、2006年6月の東京での第2回外相会合開催、同年8月の小泉前総理の中央アジア訪問など日本と中央アジアとの関係緊密化につき概観した。その上で、中央アジアという単純ならざる地域との関係を長期的視点で検討する際には有識者の知見を活用することが不可欠であることを指摘しつつ、エネルギーをテーマとする第2回東京対話が中央アジア諸国と日本との協力の一層の深化のために有益な提言を生み出し、政府間対話に反映されていくことへの期待を表明した。

 第2回東京対話では「総論にとどまるのではなく、よりテーマを絞った議論が望ましい」との第1回東京対話(2006年3月開催)の提言を受け、「エネルギー問題」に焦点を絞り、「水資源と電力を巡る中央アジア地域協力の展望」と「中央アジアのエネルギー資源供給ルート多角化の展望」の2つのテーマを取り上げた。

 まず、第1議題の「水資源と電力を巡る中央アジア地域協力の展望」については、石油・天然ガスなどの化石燃料がカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンに偏在する一方、水資源はシルダリア川及びアムダリア川の上流に位置するキルギス及びタジキスタンにあり、水資源と電力の最適分配には地域協力が必要とされることは明らかである。

 上流域国への冬季の燃料供給と下流域国への夏季の灌漑用水供給という、ソ連時代の水・エネルギー交換システムは、中央アジア諸国独立後崩壊した。1998年「シルダリア枠組み合意」等、域内の水資源管理と電力取引に関する地域協力の試みは、十分な成果を生むことなく停滞している。そのため、化石燃料の乏しいキルギス、タジキスタンは電力需要ピークの冬季に発電のために大放流を行い、それが下流のウズベキスタンやカザフスタン南部に洪水を起こす、一方夏季には下流域の綿花栽培に必要な水が充分供給されないという問題が生じている。また、予算不足や法制度の未整備などにより灌漑設備が劣化し、水質や土壌の環境問題が深刻化している。アラル海の縮小も、灌漑用水、工業用水の利用により、とめどなく続いている。

 水資源と電力に関する域内協力が上流域国と下流域国の利害対立により困難に直面する現状で、中央アジア諸国が各々自給自足を志向していることは、投資コストや環境への負荷を高めることも指摘された。電力融通について、2005年2月に国際協力銀行の委嘱により東電設計が実施したシミュレーション調査では、送電網の相互接続による地域協力が、電力供給の信頼性向上、長期的な電源開発投資の抑制、発電コストの低減、冬の放水量の減少などのメリットをもたらすことが報告された。

 このような問題意識を踏まえ、以下のような多様な意見が示された。

 ありうべき日本の役割としては、以下の諸点が指摘された。

 次に第2議題である「中央アジアのエネルギー資源供給ルート多角化の展望」については、石油・天然ガスをはじめとする中央アジアのエネルギー資源は、非中東・非OPECの供給源として国際社会の注目を集めているが、海への出口をもたないことがハンディキャップになっている。石油・天然ガス輸送ルートの多角化は、カザフスタンをはじめエネルギー資源を有する中央アジア諸国にとって輸出ポテンシャルを実現する経済面のみならず政治・戦略的にも重要な課題であり、国際エネルギー市場の需給安定にとっても望ましい。すでにいくつかの輸送路の多角化がはじまっており、アタスーアラシャンコウ間の石油パイプラインが2005年からカザフスタンから中国への供給を開始し、BTC(Baku-Tbilisi-Ceyhan)石油パイプラインが2006年から稼動して、欧州への供給もはじまっている。また、トルクメニスタンから中国新疆ウイグル自治区へのガス・パイプライン建設が合意されている。

 南へ向かうルートとしては、石油ではカザフスタン-トルクメニスタン-イラン・ルートがペルシャ湾の港にカザフスタン油田から輸出する最短ルートと評価されている。カザフスタン-トルクメニスタン-アフガニスタン-パキスタン・ルートの構想もある。天然ガスについてはトルクメニスタンからアフガニスタン経由でパキスタン、インドにガスを供給するTAPパイプライン構想も提案されている。

 このような認識のもと、以下が提言された。

 日本の役割については、次のような意見が述べられた。

 第2回東京対話においては、世界のエネルギー安全保障にとって中央アジアのエネルギー資源の開発・輸送が有する意義があらためて確認され、経済的にも政治的・戦略的にも供給ルートの多角化を追求する意味があるとの認識が共有された。また、今後の中央アジアの平和・繁栄・安定にとって、水資源、エネルギー資源が効率よく活用されていくことは極めて重要であり、中央アジア各国政府が地域協力に真剣に取り組むべきこと、この分野で日本が果たしうる役割が少なくないことが認識された。

 以上、ここに第2回東京対話の成果を報告し、今後の「中央アジア+日本」の政府間対話の参考とされることを希望する。また、第2回東京対話の参加者は焦点を絞ったトラック2の会議が、有意義なインプットを政府間対話に提供できることを評価し、次回以降の会合のテーマの候補として「環境と開発」、「技術革新」、「人的資源の活用」、「人的ファクターの発展と環境問題」などが提案された。

以上

第2回東京対話 議長 福島安紀子
(国際交流基金 特別研究員)

このページのトップへ戻る
目次へ戻る