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胡錦濤中国国家主席の訪日(日中首脳会談の概要)

平成20年5月7日

 5月7日午前、福田総理は我が国を国賓として訪問中の胡錦濤中国国家主席との間で、約1時間45分にわたり日中首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。(日本側同席者:町村官房長官、高村外務大臣、額賀財務大臣、甘利経済産業大臣、鴨下環境大臣ほか、中国側同席者:令計劃中央弁公室主任、王滬寧中央政策研究室主任、戴秉国国務委員、楊潔チ外交部長、張平国家発展改革委員会主任、周生賢環境保護部長、陳徳銘商務部長ほか。)

1. 日中関係総論

(1)福田総理の発言概要

(イ)日中は、隣国であり、深い相互依存関係を有するがゆえに、折に触れ問題が生ずることは、ある意味では避けられない。双方が、日中の進むべき道、大局に対する信念を共有し、その中で、問題を一生懸命解決していくことが大切。日中両国の進むべき道、大局とは、国際社会で大きな存在となった日中両国がアジア及び世界の安定と発展に貢献する責任をしっかり認識し、絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、互恵協力を拡大しつつ、アジア太平洋及び世界の良き未来を共に創り上げていくこと。

(ロ)日本は中国の改革開放政策に対し、ODAを含め官民あげて協力してきた。改革開放30周年に開催される北京五輪の成功を期待、協力したい。格差の拡大、環境の悪化等の課題に対応するため、「調和のとれた社会」(和諧社会)の実現に向かい努力していることを評価。日本としても協力を進めたい。

(ハ)本年は、北海道洞爺湖サミット、日中韓首脳会議、ASEAN、APEC、EASと、毎月のように交流の機会があり、胡主席訪日を大きな一歩として、精力的に様々な課題を克服し、目標を達成していきたい。

(2)胡錦濤主席の発言概要

(イ)福田総理の発言に同意。平和、友好、協力が日中両国の進むべき道であり両国民の利益。

(ロ)三つの文書の諸原則を遵守し、歴史・台湾という敏感な問題を適切に処理したい。戦略的相互信頼が重要、対話と協議を通じて相違を処理したい。互恵協力を発展させ、経済・貿易分野等で量から質への転換を図りたい。特に青少年交流を強化し国民感情を改善したい。多様な協力の枠組みを整備したい。

(ハ)日本政府と日本国民が円借款等により、中国の近代化を支えてくれたことに心から感謝。

(ニ)北京五輪はアジア、世界の人々の祭典。国際社会への約束を履行し、成功させたい。長野聖火リレーも含め日本の支持、協力に感謝。多くの日本国民が観戦されること、日本選手の健闘を心から期待。

(3)双方は、毎年どちらか一方の首脳が他方の国を訪問することで一致し、国際会議の場でも頻繁に首脳会談を行っていくことで一致。また、胡主席の北海道洞爺湖サミット出席、福田総理のASEM7出席について、双方積極的に検討していくとのやりとりがあった。

2. 相互理解・相互信頼

(1)青少年交流

 胡主席より、日中平和友好条約30周年の本年、青少年交流等様々な国民交流が行われることを歓迎し、長期的に青少年交流を実施していきたい旨発言。福田総理より、日中関係を進める上で、大切なことは両国民の互いに対する理解、感情の改善、青少年交流の素晴らしさは、やがて両国関係に豊かな実りをもたらすことにあり、前向きに実施していきたい旨発言。

(2)安全保障分野における交流

 両首脳は、防衛交流の着実な進展を歓迎。胡主席より、本年中の防衛大臣訪中、6月の海上自衛隊艦艇の訪中について招請、福田総理より調整を開始したい旨発言。また、福田総理より、若手自衛官と人民解放軍の若手将校の交流に加え、軍種間、防衛関係の教育機関・研究機関間の交流拡大を提起し、検討することで一致。更に、PKOや災害救援等の分野での協力の可能性についても検討することで一致。防衛当局間の連絡メカニズムについても、早期設置で一致。福田総理より、安全保障分野で、互いの透明性を高めることが重要、対話や交流を深めながら、相互理解と信頼関係を一層強化していきたい、この点につき中国側の理解と協力を得たい、我が国国民が大変心配している旨発言。

3. 互恵協力

 両首脳は、世界経済に大きな責任を有する日中両国が、世界経済の持続的成長に貢献していくことが重要であるとの認識を共有。

(1)気候変動/省エネ・環境

(イ)胡主席より、気候変動問題は、両国民の幸福のみならず、世界の持続的発展に関わる問題、国際的協力の促進のためともに努力したい、同時に、各国の国情にあわせ、「共通だが差異のある責任」の原則に従い、物事を運ぶ必要がある、日本と、気候変動、環境について協力を強化したい、関連の共同声明に従い、具体的な協力を行うべく努力したい旨発言。

(ロ)福田総理より、共同声明が発出でき喜ばしい、これに基づき、長期目標の検討、2013年以降の実効的な枠組みの構築、セクター別アプローチの取組の発展に向け協力したい、洞爺湖サミットでも、協力して世界に前向きなメッセージを発信し、国連の下での交渉にも弾みをつけたい旨発言。また、福田総理より、省エネ・環境に関し昨年末の訪中時に提案等した「省エネ・環境相談窓口」(4月1日から業務を開始)、「3年間で1万人の研修」(着実に実施中)、「日中環境情報プラザ」(早期開設に向け協議中)、天津市との協力(日本の自治体との循環型都市協力等)につき説明。更に、1)中国の水汚染対策、2)黄砂の共同研究、3)石炭火力発電所からのCO2回収・石油増進回収のための協力について言及。

(2)知的財産権・ビジネス環境改善

 両首脳は、知財について、法制度整備や人材育成のための協力進展や、地方での法執行強化に向けた議論の進展を歓迎し、この動きを拡大していくことで一致。また、ビジネス環境改善に関し、日中韓ビジネス環境改善アクション・アジェンダについて日中間で合意を得たことを歓迎し、日中韓投資協定の促進等、更なるビジネス環境改善を図っていくことで一致。

(3)食品の安全

 胡主席より、 食品安全は、国民の利益に関わる問題であり、中国政府は非常に重視、関係部門が粘り強く調査を続け、日本側に連絡してきた旨発言し、福田総理より、一つ誤れば不特定の人命が失われていた可能性を指摘し、うやむやにはできない旨述べ、両首脳は、餃子問題の真相究明に関してより一層積極的な取り組みがなされ、協力を通じて一刻も早く真相が解明されることへの期待を表明。

(4)その他、両首脳は、日本産米の恒常的輸出について決着したことを歓迎。また、胡主席から、パンダ雌雄一対を上野動物園に提供する旨表明があり、福田総理より、謝意を表明。両首脳はトキに関する協力も推進していくことで一致。 更に、ハイレベル経済対話については、胡主席より、王岐山副総理が代表を務めるとの表明があり、年内に日本で開催される第二回対話に向けて協力していくことで一致。

4. 北朝鮮

(1)福田総理より、六者会合における中国の役割を評価している、残念ながら第2段階の非核化措置はいまだ実施されていない、第2段階が終了するまでに処理を要する課題は残されている。北朝鮮の核廃棄に向け、引き続き連携していきたい旨発言。

(2)また、福田総理より、拉致問題を含む日朝関係で前進がみられれば、六者会合の下でのエネルギー供与など、北朝鮮の行動に見合った行動をとる用意がある、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現するとの方針に変わりはない、拉致問題に対する中国の立場を心強く思っており、引き続き中国の理解と協力をお願いしたい旨発言。

(3)これに対し、胡主席より、日中両国は、長年来、六者会合において良い協力を行ってきた、第二段階の措置について進展が遅れているが、北朝鮮の核施設の無力化等着実に進んでおり、関係諸国には義務を履行して前進するという意欲がある、第2段階の措置を履行し、六者会合を早く新たな段階に引き上げたい、中国は日朝国交正常化を一貫して支持してきた、日朝関係が進展することを強く期待、諸懸案について、対話と協議を通じて、適切に問題が解決されると信じている旨発言。

5. 国際貢献

(1)東アジア地域協力

 両首脳は、アジアを豊かで安定し開かれたものとするために、日中の果たすべき責任と役割は大きく、EAS、ASEAN+3やAPEC等の枠組みを積極的に活用しつつ、協力して地域共通の課題に取り組んでいくことで一致。

(2)ミャンマー情勢

 福田総理より、ミャンマー情勢について懸念、サイクロン被害について、我が国は緊急援助物資の供与を決定し、7日以降届く予定、我が国は民主化実現に向けて働きかけており、中国とも協力して、その方向で努力していきたい旨発言。胡主席より、ミャンマーは隣国、情勢を安定的に保ち、関係者間で和解に至り、民主的発展が実現することを望む、サイクロン被害については、救済に取り組む、ミャンマーの政治日程は遅れるかもしれないが、和解の方向への勢いが維持されることを望む旨発言。

(3)経済協力・TICAD IV

 福田総理より、月末にTICAD IVを開催する旨紹介。胡主席から、日本がTICAD IVにより、アフリカに注目を集めさせ、問題解決のため積極的に努力していることを評価、中国も、中国・アフリカ協力フォーラムを実施しており、交流、意思疎通を強化していきたい旨発言。両首脳は、開発課題全般に関する協力について話し合いを進め、今後、可能な協力について引き続き協議を強化していくことで一致。

6. 日本の国連安保理常任理事国入り(少人数会合で議論)

 福田総理より、日本の立場について中国側の理解と支持を要請したのに対し、胡主席より、国連安保理改革については、192カ国の利益に関わる多数国間の問題、安保理を如何に改革するかについて現時点で一致した案があるわけではない、当面は各方面の利益に配慮した具体的な改革案を探すべきであり、このため日中双方はともに努力すべき、中国は日本が、国連において積極的な貢献を行っていることに対し、積極的に評価、日本の国連における地位と役割を重視しており、日本の世界の平和と発展のためにさらに大きな貢献を行いたいとの願いを理解、日本が国際社会において更に大きな建設的役割を果たすことを望む、中国側のこの問題に関する積極的な態度を感じ取ってほしい旨発言。

7. 東シナ海資源開発問題(少人数会合で議論)

 両首脳は、これまで日中間で有益な協議が積み重ねられ、大きな進展があり、長年の懸案に解決の目処が立ったことを確認した。両首脳は、また、今後、更に細目を詰めて、できるだけ早期に合意することで一致した。

8. チベット情勢(全体会合、少人数会合で議論)

(1)胡主席より、3月14日の件は、平和的なデモではなく、重大な暴力犯罪行為、対話について、大きな扉は一貫して開かれている、最近ダライ・ラマ側と接触したが、祖国分裂活動、暴力活動、北京五輪に対する破壊・妨害活動には反対、民族、宗教、人権の問題ではなく、祖国の分裂か統一かという国家主権の問題、そうであるにもかかわらず、接触・話し合いを通じて、問題を解決したいと思い、最近接触を行い、今後接触、話し合いを続けていくことになった、積極的な成果があがることを望んでいる、中国側のチベットに関する立場について、日本側が一層理解し、支持して頂けるよう希望する。

(2)これに対し、福田総理より、我が国国内も含め国際社会に状況を懸念、心配する声が広がっていることは事実、北京五輪の持つ意味の大きさを良く理解、この世紀の祭典を成功させて欲しい旨述べ、チベット情勢について、十分な説明を尽くすことを要請。また、福田総理より、ダライ・ラマ氏側との話し合いに踏み切ったこと、今回の接触への評価を表明した上で、粘り強く交渉を続けていくことを要請。更に、福田総理より、複雑かつ難しい問題であることは理解しているが、国際社会は大国である中国の動きに関心を寄せており、話し合いを通じて、状況が改善されることを強く期待する旨表明。

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