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温家宝中国国務院総理来日(概要)

平成19年4月13日

1.日程概要(4月11日~13日)(詳細日程

日程概要
日付 概要
11日 歓迎行事、首脳会談、署名式、総理主催晩餐会
12日 両院議長との会談、国会演説、経済団体共催歓迎昼食会、天皇陛下御引見、日中ハイレベル経済対話、各政党幹部との懇談、歓迎レセプション(国交正常化35周年、日中文化・スポーツ交流年)、中国側開幕式典「文芸の夕べ」
13日 京都府等歓迎会、嵐山周恩来詩碑参観、農家視察、立命館大学との交流(以上京都)、華人等との交流、関西地区政財界代表による歓迎レセプション(以上大阪)

2.評価・成果

(1)昨年10月の安倍総理訪中以来の日中関係の発展を確かなものとし、日中の「戦略的互恵関係」の構築に向け、幅広い分野において着実に具体的な進展が見られていることを示す有意義な訪日であった。

(2)日中首脳会談では戦略的互恵関係の構築に向けた数多くの具体的協力について話し合われ、その成果は「日中共同プレス発表」として発表された。首脳往来については、安倍総理から年内訪中の意向を表明し、温総理も、胡錦濤国家主席の明年早期の訪日を積極的に検討する旨表明。拉致問題(温総理より、日本国民の感情に理解と同情が示され、必要な協力を提供したい旨表明)、国連改革(温総理より、我が国が国際社会で一層大きな建設的役割を果たすことを望んでいる旨表明)等も話し合われた。尚、東シナ海資源開発問題については、一定の進展はあったものの決着に向け一層の努力が必要。

(3)首脳会談後、環境協力、エネルギー協力についてもそれぞれ共同声明が署名された。

(4)政治のみならず経済の車輪を力強く動かすため、各分野に跨る事項を一括してハイレベルで取り上げる日中ハイレベル経済対話の立ち上げ会合を両総理の出席を得て開催。

(5)国会演説では今後の日中関係の発展についての考え方と決意を示し、基本的に前向きの受け止め。日程全体として、親しみ易い印象を強く残した訪日となった(ジョギング、キャッチボール等)。

3.日中首脳会談

日中共同プレス発表(以下「共同発表」)

(1)「戦略的互恵関係」

 両首脳間で以下のとおり一致をみた。(共同発表4.

(イ)「戦略的互恵関係」の基本精神(ポイント)

 日中両国がアジア及び世界に対して厳粛な責任を負うとの認識の下、アジア及び世界に共に貢献する中で、お互い利益を得て共通利益を拡大し、日中関係を発展させること。

(ロ)「戦略的互恵関係」の基本的な内容(概要)

1)平和的発展を相互に支持し、政治面の相互信頼を増進。各々の政策の透明性に努力。

2)エネルギー、環境、金融、情報通信技術、知的財産権保護等互恵協力を深化させる。

3)防衛分野の対話及び交流を強化し、共に地域の安定に向け力を尽くす。

4)相互理解及び友好的感情を増進。青少年、メディア等の交流、文化交流を強化する。

5)朝鮮半島、国連改革、東アジア地域協力等、地域及び地球規模の課題に共に対応。

(2)対話・交流・相互理解の強化(共同発表5.(1)

(イ)首脳レベルの交流:安倍総理より、中国側の招待に応じ本年中に訪中を実現したい旨表明し、胡錦濤国家主席の来年早期の訪日を招請。温家宝総理より安倍総理の年内訪中は大変嬉しい旨述べ、胡錦濤主席への訪日招請に謝意を示し、積極的に検討したい旨発言。

(ロ)日中ハイレベル経済対話:立ち上げ会合開催(12日)を歓迎。

(ハ)人的交流、文化交流等:安倍総理より「21世紀東アジア青少年大交流計画」による大規模な中国高校生の訪日を、温総理より今後5年間で毎年1,000名の日本の青少年の訪中を相互に招請。直行便のある中国の都市への2万人規模の訪問団派遣の実施で一致。温総理は羽田-上海虹橋チャーター便の開設に同意。更に、文化センターの相互開設を歓迎。

(ニ)安全保障:中国国防部長の本年秋の訪日、艦艇相互訪問の早期実施で一致。防衛当局間の海上での連絡体制整備につき引き続き議論。安倍総理より、中国の軍事の透明性向上を要請したのに対し、温総理は、中国は平和的発展を堅持し、脅威とならない旨発言。

(3)互恵協力の強化(共同発表5.(2)

(イ)エネルギー・環境:第一回エネルギー閣僚政策対話の開催を歓迎。安倍総理より、温室効果ガス排出削減と2013年以降の実効的な枠組みの構築の重要性を強調し、日中間で協力することで一致。また、双方は、日中緑化基金による植林活動の支持で一致。

(ロ)農業:安倍総理は、日本産米の対中輸出への中国の同意を歓迎。

(ハ)トキ:温総理から二羽のトキを提供する旨表明し、安倍総理より高く評価。

(ニ)その他、医薬品分野(医学協力構想)、知的財産権、中小企業博覧会共催、情報通信技術、金融、刑事共助条約等刑事司法の分野における協力強化で一致。

(4)地域・国際社会における協力(共同発表5.(3)

(イ)国連改革:安倍総理から常任理事国入りについて大局的判断を要請。温総理は、日本が国際社会で一層大きな役割を果たすことを望んでいる旨発言。対話の継続で一致。

(ロ)北朝鮮:安倍総理より拉致問題につき協力を得たい旨伝達。温総理より、日本国民の拉致問題に関する人道主義的関心への理解と同情を示し、必要な協力を提供する旨発言。

(ハ)東アジア地域協力等:両国が重要な責任を担っているとの認識で一致。安倍総理より開放性・透明性・包含性の原則に言及。また、安倍総理から、日中韓投資協定の早期合意及び日中韓ビジネス環境改善行動アジェンダの策定のため努力していく必要性に言及。

(ニ)経済協力:安倍総理から、対外援助に関し、透明で国際的規範に沿った援助の重要性を指摘。温総理より、国際的に認められたルールを遵守する、日本とも協力したい旨発言。

(5)東シナ海資源開発問題(共同発表6.

 双方が受け入れ可能な比較的広い海域において共同開発を行い、必要に応じハイレベルの協議を行いつつ、協議のプロセスを加速させ、本年秋に具体的方策を首脳に報告することを目指すことで一致。安倍総理より、決着に向けて一層の努力が必要である旨強調。

(6)台湾

 温総理より、台湾は中国の核心的利益であり、日本側が適切に対処することを望む旨発言。安倍総理より、我が国の立場は日中共同声明にあるとおりである旨応答。

(7)歴史

 温総理より、本年は敏感な年であり、歴史を適切に処理することを望む旨発言。安倍総理より、歴史認識は、これまで述べているとおりであり、その思いは、60年生きた人達、そして自分の共通の気持ちでありこれから変わることはない旨発言。

(8)遺棄化学兵器

 ハルバ嶺事業の枠組みの合意を確認。安倍総理より、移動式の処理設備を導入する旨表明し、温総理は積極的な態度を表明。

4.国会演説

(1)ポイント

 挿話をはさみつつ、日中間の歴史の問題に言及したが、日本側の態度表明を「積極的に評価」していた点等が注目される。その上で、日中関係の発展の方向について、相互信頼の増進等の諸原則を提示し、戦略的互恵関係の新たな局面を切り開くために、アジア及び平和と発展のためにともに努力奮闘していこうと呼びかけて締め括った。

(2)演説の骨子

(イ)友情と協力のために、長い日中友好の歴史の伝統を受け継ぎ、発揚する必要があるとして、両国が互いの経験を学び合ってきたことを例示を踏まえ紹介。

(ロ)友情と協力のために、不幸な歳月の歴史的教訓を総括し銘記する必要があるとして、中国人が日本人を助けた三つのエピソードを紹介。日本政府と指導者の歴史問題に対する態度表明を中国政府と人民は積極的に評価するとした上で、日本側がそれを実際の行動で示すことを心から希望する旨発言。

(ハ)友情と協力のために、日中関係の発展の方向を正しく把握する必要があるとして、中国の改革開放と近代化建設は、日本からの支援を頂いたものであり、中国人民はいつまでも忘れないとした上で、以下の原則を提示。1)相互信頼を増進し、約束を履行すること。(三つの政治的文書に定められた諸原則を厳守しさえすれば、両国関係は順調に前進。台湾問題について慎重な対応を希望)。2)大局を念頭に置いて、小異を残し大同につくこと。3)平等互恵、共同発展を目指すこと。4)未来に目を向け、交流を強化すること。5)協議を密接にし、挑戦に立ち向かうこと。

(ニ)中国が依然として発展途上国であり、近代化実現のため、経済体制改革及び政治体制改革を推進し、科学的発展観を確立・実行する旨表明。

(ホ)鑑真和上のエピソードに触れつつ、戦略的互恵関係の新たな局面を切り開くために、アジア及び世界の平和と発展のためにともに努力奮闘したい旨呼びかけ。

5.日中ハイレベル経済対話立ち上げ会合(概要)

(1)両総理出席のもと、立ち上げ会合を開催。安倍総理は麻生外務大臣を、温家宝総理は曾培炎副総理を、「日中ハイレベル経済対話」の共同議長に指名。両首脳は、日本側基本構成員を財務大臣、経済産業大臣及び内閣府経済財政政策担当大臣とし、中国側基本構成員を外交部長、国家発展改革委員会主任、商務部長及び財政部長とし、議題に応じてこれら以外の閣僚が本件対話に参加するものとすることで一致した(但し、曾培炎副総理は今回は訪日せず)。第一回会合を本年内に北京で開催すべく調整することで一致。

(2)立ち上げ会合では、両総理の挨拶に続き、各大臣から発言。国際経済における日中経済の重要性と協力のあり方にについて話し合った。

6.その他の行事

(1)総理主催晩餐会

 全体として和やかな雰囲気で進行。谷村新司さん、アグネス・チャンさん、後藤真希さんが歌を披露。中国国内の昭恵夫人人気、映画「三丁目の夕日」(温総理より同映画を訪日前に見た旨紹介)、野球等が話題となった。

(2)日中文化・スポーツ交流年

 温総理は、安倍総理夫妻とともに「日中文化・スポーツ交流年」の日本側実行委員会、友好7団体及び華僑団体等の共催による歓迎レセプションに出席した。また「日中文化スポーツ交流年」の中国側交流年関連行事の開幕式典である「文芸の夕べ」に出席。中国のユネスコ無形文化遺産(古琴、少数民族の民謡等)の公演を鑑賞した。

(3)地方日程

(イ)京都日程

 京都府知事・京都市長・京都商工会議所会頭の共催による歓迎昼食会(於:京都迎賓館)に出席。会食前に裏千家千宗室家元による呈茶が行われた。その後嵐山公園内にある故周恩来総理の詩碑を参観、詩碑建立の経緯を知る関係者からの説明を受けた後、詩碑に献花。また桂川周辺を参観中、中国人観光客と交流。続いて京都郊外の一般農家においてトマトと苦瓜の苗を自ら植えた後、客間で一家と交流した。

 更に、日本で初めて孔子学院を設立した立命館大学において、中国語学習者との交流を楽しみ、王之渙(おうしかん)の詩を揮毫し、中国語図書の寄贈を行った。また、西京極球場において、同大学野球部と、国交正常化35周年にちなみ背番号35と「WEN JIABAO」の名前の入ったユニフォーム姿で野球交流を楽しんだ。最後に「氷を溶かす旅」を総括するぶら下がり記者会見を行った。

(ロ)大阪日程

 華人・華僑と交流を行った後、大阪府知事他関西地区の府県・政令市及び経済団体の長と会見。また、関西地区の府県・政令市及び経済団体の長(150人規模)が集まり、歓迎レセプションを実施。その後帰国の途についた。

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