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ハシナ・バングラデシュ首相の訪日(概要と評価)

平成22年12月2日

I 日程概要

  1. (1) ハシナ・バングラデシュ人民共和国首相は,公式実務訪問賓客として,11月28日から12月2日の日程で訪日。モニ外務大臣,ムヒト財務大臣等複数の閣僚に加え,経済界関係者約40名も同行した。
  2. (2) 29日夕刻より菅総理との日バングラデシュ首脳会談及び夕食会が行われ,二国間関係,経済,経済協力や国際的課題等に関し意見交換が行われた。会談後,両首脳は「国際社会と南アジアの平和と繁栄にむけての強固なパートナーシップの拡大」と題する日本・バングラデシュ共同声明に署名。同日の首脳会談前には前原外務大臣による表敬が行われた。
  3. (3) 29日には,日本バングラデシュ経済委員会主催の昼食会,ビジネスセミナーに出席(日本政府からは菊田外務大臣政務官が出席)。30日には,広島,大阪を訪問し,広島平和記念公園を訪れ,原爆慰霊碑への献花を行った後,非核特使から被爆体験について説明を受けた。大阪では,橋下大阪府知事等地元自治体及び商工会主催の歓迎夕食会に出席した。
  4. (4) 12月1日には,天皇陛下によるご引見,日・バングラデシュ議連主催昼食会が行われた。2日の離日時には羽田空港にて菊田政務官が見送りを行った。

II 首脳会談概要

1.日・バングラデシュ関係総論

  1. (1) 両首脳は,両国間の良好な二国間関係を確認し,更に発展させていくことで一致。
  2. (2) ハシナ首相からのバングラデシュ訪問招請に対し,菅総理は感謝の意を表明。

2.経済関係

  1. (1) ハシナ首相より,「ビジョン2021」の下,2021年までの中所得国入りを目指しており,日本との経済関係を更に深めたいと述べるとともに,日本企業からの更なる直接投資及び将来的な経済連携協定(EPA)の締結を要請。
  2. (2) 菅総理より,バングラデシュに対する我が国の企業進出を更に促進するため,バングラデシュによる投資環境の整備を要請。また,経済分野における協議を行うため,政府間協議を立ち上げることを提案した。さらに,バングラデシュが推進する投資整備のための行動計画を歓迎。
  3. (3) ニット製品の一般特恵関税の条件緩和の要請に対し,菅総理は前向きに検討する旨述べた。

3.経済協力

  1. (1) ハシナ首相から,日本の様々な分野における協力に対する感謝の意が述べられるとともに,パドマ多目的橋建設計画への支援要請があった。
  2. (2) 菅総理より,バングラデシュの経済発展と貧困削減のために引き続き支援をしていく旨表明。また,パドマ多目的橋建設計画に対し,4億ドル相当の円借款を供与する意向である旨を伝えた。これに対し,ハシナ首相より,深甚なる謝意が示された。
  3. (3) 第32次円借款への支援要請に対し,菅総理より,現在検討中である旨返答。

4.グローバルな課題

  1. (1) ハシナ首相より,バングラデシュは日本とともに平和構築や核廃絶にコミットしており,国際場裡においても日本を支持してきている旨述べた。
  2. (2) 菅総理より,国際場裡における支援に感謝し,特に我が国の国連安全保障理事会の常任理事国入りに対するバングラデシュの支持に謝意を表明。また,核軍縮・不拡散において両国が同じ方向性を向いている点を指摘。広島訪問に際し,唯一の被爆国である我が国国民の想いを是非バングラデシュ国民にも伝えて頂きたいと述べた。

III 前原大臣によるハシナ首相表敬概要

  1. (1) 前原大臣から,ハシナ首相の訪日を歓迎。これまでの両国の友好関係及び2012年の国交樹立40周年に触れつつ,両国間の経済関係強化のために尽力する旨述べた。また,バングラデシュの年6%の高成長や日本企業の関心の高さを指摘し,バングラデシュによる投資環境の更なる整備を要請。
  2. (2) ハシナ首相は日本側の歓待に感謝。また,バングラデシュにおける様々なインフラプロジェクトに触れ,官民連携等による日本企業の更なる進出を通じて両国間の経済関係が更に強化されるよう,投資環境の整備などに尽力する旨発言。
  3. (3) 前原大臣から,「菅コミットメント」を活用した教育や母子保健分野における支援に言及。ハシナ首相より謝意が述べられるとともに,教育,医療,食料安全保障や社会保障面における改善目標につき説明があった。

IV 評価

  1. (1) 菅総理とハシナ首相は,首脳会談及び夕食会において,非常に和やかな雰囲気の下で意見交換を行い,双方から両国の国旗が非常に似ている点を捉え,両国は兄弟のような国であるとの発言もなされるなど,両首脳間の間に信頼関係を構築することができたことは,今後の日バングラデシュ関係の発展にとり重要な基盤となる。
  2. (2) ハシナ首相がバングラデシュにおける投資環境の整備に積極的に取り組む意向を表明したこと,菅総理からの経済分野における政府間協議の立ち上げ提案や,ニット製品の一般特恵関税の基準緩和要請に対して前向きな検討を約束したことなど,今次訪日は,両国間の経済関係を更に強化する契機となるものと評価される。
  3. (3) 経済協力分野において,菅総理からパドマ多目的橋建設計画への約4億ドルの支援を表明したことは,これまでの支援と併せ,我が国のODAによる同国の経済発展と貧困削減への貢献をバングラデシュ側に強く印象づけることとなったと思われる。
  4. (4) 2012年の国交樹立40周年を1つの契機として,両国関係の強化や人的交流の拡大を目指すことで両首脳は一致した。日本・バングラデシュ友好議員連盟主催行事の開催は国会議員の交流を更に拡大させる契機となるものと期待される。
  5. (5) 広島訪問では,ハシナ首相は非核特使の被爆体験証言に深い共感を示し,「多くの国が広島の心から学ぶべきだ」と述べるなど,核兵器使用による被害の悲惨さに強い印象を受けた趣であり,今後,核軍縮問題に関して,非同盟諸国(NAM)で一定の影響力を有する同国と協働していく契機となりうるものとして評価される。
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